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もすこみゅーるだんでぃー

だらだら垂れ流しています
sideB 26
あれから手癖だけで作れるような作品でなんとかほぼ毎日徹夜で描き上げた。
ろくな作品ではない。
生み出しておいていうのも何だが読者にも作品にも申し訳のないものだった。
漫画好きには到底納得できないような内容で自分でも最低だと思っていた。

「クリスマスは家族と過ごすけど23日は泊まりに来るから好きなだけできるよ!」とメイは宣言していた。
「俺はそんなにセックス好きじゃない」とかいうと「私じゃ満足でないっていうの?」とか面倒な切り返しをしてくるのが目に見えていたから「友達の家に泊まるとか言うのか?ずいぶんと信用されているんだな」と言った。
「ううん。彼氏の家に行くってちゃんと言った」
「は?」
それが俺が出せた精一杯の言葉だった。
「私友達少ないし、泊まりがけで遊べるような友達は居ないの」
「そうなのか?」
「うん。みんなバカだし話が合う子は連むのが好きじゃないタイプの子ばっかりだし」
こめかみ辺りを強く抑えて目を閉じる。
俺の周りにはどうしてこうも生き方が不器用というかなんというか、そういうタイプの人間しかいないのだろうか。
「好きな人が一緒にいればそれだけでいいもの」
「幸せというのはこういうことを言うのよ」と言わんばかりの満ち足りた優しい笑顔でメイは言った。
メイと付き合っていなかったらメイは俺のストーカーになったんじゃないかと不安になることがある。
かといってそれらしい素振りは見せたことがないから、そんな心配はいらないのかな。
携帯をのぞき見したり、尾行されたりというのはない。
ただ、俺の仲のいい人を毛嫌いする傾向はある。
男なのに剣崎さんが筆頭にだったりするから、女心というかメイの考えはわからない。

「だから早く子供作ろう」
「なんでそうなるんだよ」と普通のツッコミをいれて言葉を続けた。
「高校生だろ。これから大学だって社会人になって色々体験した方がいいだろ」
するとメイはわかっていないとため息を一つついた。
「だって、私の人生は一度きりだよ。自分のしたいことを優先するなんて当たり前じゃない」
「出会った頃は世界一周が夢とか言ってなかったっけ?」
「そんなのセイちゃんが亡くなった後にだってできるじゃない」
「先に逝くの前提かよ。まあ年の差から行くと俺のが断然先だけど」
「そうでしょ。私はセイちゃんが亡くなるのを看取ることも人生に含まれているの。だって、セイちゃん私が先に死んだら生きていけないもの。セイちゃんと付き合って私の人生設計は変わったの。優先事項の一番はセイちゃんと家庭を作ること」
きっぱりとすっきりとさっぱりと言ってのけた。

「本当に俺の所に泊まるって言ったのか? 親はなんて言ってたんだ」
「避妊はしっかりしろって。あと近いうちに連れてこいって」
「ずいぶんと放任主義な親だな」
あっけにとられながらそう言った。
「社会適応能力の低い私のことを考えると嫁に早く出したいんじゃない。でも、世間体があるから学生のうちに子供は作らせたくない」
「おまえは斜に構えすぎだよ。もう少し愛されているだろ」
「うちは妹が体が弱いからそっちにどうしても気持ちが行っちゃうから。私もそれでいいと思ってるし、妹はかわいいし、両親が好きだから早く独り立ちしたいんだ」
「それでいて目指せ扶養家族はないんじゃないか?」
「遅かれ早かれなら若い奥さんもらった方がお得じゃない? それにちゃんと仕事はします。セイちゃん養えるくらいの稼ぎを目指さなくちゃだけどね。そうなると大学は出た方がいいか……うーん。家族計画が遠のいていく」
漫画のキャラクターのように首を深くひねって悩んでいる。
滑稽だがそれもよく似合う。
愛しさ半分おかしさ半分で吹き出したらメイがキッと睨んで飛びついてきた。
メイはこの上なくキスが好きだ。
ただ、それは俺が距離を置こうとするから安心が欲しいからなんだと思う。
中途半端に逃げようとするスタンスが彼女を拘束していることに気がついていた。
それでもそれを辞められない俺は孤独が苦手なクズなのだう。
孤独が本当に得意なやつなんていない。だから、誰かに寄り添いたい。
俺のようなクズはそうやって誰かを殺してゆく。
相手の時間を浪費させるのは死を与えるのと同じだ。
その人間の一生は限られている。それを俺が台無しにしようとしている。

「おまえは優しすぎる。他人の舞台で脇役演じてどうするんだよ」と剣崎さんに言われたことがある。
自分の舞台で主役を演じるより他人の舞台で脇役に甘んじている方が楽だった。
それが他人の時間を無為にさせるものだとしても。

メイの柔らかい唇が押し当てられる。
少し体温の低いメイの舌が滑り込んでくると脳の奥の方がじわりと麻痺にも似た感覚が広がる。
これが何かはわからない。罪悪感なのかあるいはもっと甘いなにかなのか。
そして、この後は必ずセックスに流れる。
ほら当たり前のように俺は反応している。

それから当たり前のように12月23日にメイは泊まりに来て二人きりで過ごすことになった。

クリスマスイブは結局一人で過ごしている。
日中はメイに引っ張り回されたが夜は一人になった。
分かれた後に一抹の寂しさがあったがそれは素知らぬ顔をしておくことにする。

けんちゃんの店で飯を食って酒を飲んだ。
「ミツルさんがいないと寂しいだろ?」
「いや、今日はちょっと会いたくないかな。それにデートだって聞いているよ」
「へー。それは奇特な相手もいたもんだ。まあ、確かにこんな夜に男三人ってのもつまらないからこれぐらがちょうどいいか」
「ああ。そうだろ」

なんとなくまっすぐ帰る気になれず剣崎さんに連れて行かれたバーを探してみることにした。
デートの時に自分のねぐらを使わないと前に言っていたからきっといないだろう。
別れたときに面倒くさいというのが剣崎さんの言だが、別れるのが前提で場所を選ぶ
人に連れて行かれると道を覚えない。
見つからなければそれまでだ。縁がなかったと諦めよう。

不意に一人の男が目に入った。

男は建物の入り口で佇んでいる。
首の後ろに一度右手を当てるとそこを二度掻いた。
掻いた右手を眺めて胸から倒れ込むようにして建物の中に消えていった。

男の挙動が奇妙でなんとなくそちらを避けて違う道を進んだ。
数分うろうろして結局見つからずあの奇妙な男のいた辺りに行くことしにた。

男のいた建物の前に近づくと目的の店だった。
ふとあの男のことが気になって階段の先を見上げていた。

気がつくと男と同じ姿勢になっていた。
右手で首の後ろを押さえて掻いていた。
なんだか気味が悪くて俺はその手を見た。その姿勢まで同じになったとき後ろから何かがぶつかってきた。たまらず前のめりに倒れそうになる。
数分前に見た男の挙動と一致していた。

「す、すみません」

振り返ると大きな鞄を持った女が立っていた。
かわいらしいタイプに属する女性だ。

「あ、いえ。大丈夫です」
実際に大丈夫だったが、それよりも男の動きと一致していることが気持ち悪かった。
俺の言葉を聞いてほっとした表情を浮かべてもう一度謝ると彼女は階段を登っていった。
行く先はどうやら同じらしい。
レトロ映画に出てくるような狭い階段を登ると「OPEN」の表示の看板が出ていた。

中から声が聞こえてきた。

「せ、先生ぇ。先に1人でお店に入らないで下さいって、あれほど言ったじゃないですか!!」
息を切らせて先ほどの若い女が声を上げていた。

「紹介するよ、ボクの助手をやって貰っている、美島麗ちゃん。あ、彼女については、ボクより皆さんの方が詳しかったかな?」
その声を発したのは先ほど見かけた奇妙な男だった。
正しくは覚えていないが間違いようがない。纏っている空気がここの階下で見た人物と同じで特異だったからだ。

「うん? おや。やはりきたかね。来ると思っていたよ。いや、来るべくして来たと言うべきかな」
漫画のキャラクターを切り抜いて外見を人間風に味付けしたようなタイプだ。
それ故に不安と不快感を与える。
人の姿をしているのに人ではないような雰囲気がそこにある。
これを異質と感じるのは当たり前だ。

「どういうことですか?」
「なにがだね?」
「さっきの言葉です」
「どの言葉かね?」

不毛な気がして俺は口を閉じた。
「大抵酔っていなければここでボクの相手をするのを諦める。きみは実に模範的だよ。」
「お客様」
マスターと思われるバーテンダーが割ってはいらければ店を出ていたことだろう。
「おっとこれは失敬失敬。美島君も来たことだしぼくは彼女との会話に興じよう」
「お断りします。あ、マスターご無沙汰しております。」
奇妙な男の待ち人と思われる美人は男の隣に座る前に一度深々と挨拶をした。
この男は一緒にいる女性を見習うべきだと思う。
「そうなると他にボクは話す相手を探さなくてはならないな」
「黙っていればいいじゃないですか」
「美島君は厳しいな」
「先生はただでさえ人を不快にさせるのですから黙っていた方がいいんです」
「おや。しかし、人は言語でコミュニケーションをおこなう生き物だよ。それができなければ社会不適合者じゃないか」
「それをして先生は不適合者じゃないですか」

所在なげに突っ立っていると長身のマスターが柔らかいバリトンで「こちらへどうぞ」と席へと促してくれた。
席はカウンターのやや中央あたりで常連らしき男の席をひとつ空けて座った。
「確か以前剣崎さんといらっしゃっいましたよね」
「え? 覚えているんですか? 1回しか来たことがないのに」
「たまたまですよ。常連の方と一緒の場合は気をつけているだけですので」
謙遜しているがたぶんこの人は一度あった人を忘れないタイプの人だろう。
漫画のような人がいるものだ。
「飲んだものとかは覚えてませんよね?」
「……ジントニック、ホワイトレディ、サイドカー、スティンガー、フェイマスグラウスの水割りだったと思いますが。なにか好みのカクテルがございましたか?よろしければお作り致しますが」
ドラゴンボールなら感嘆符が10くらい並んでいるような表情をしていたに違いない。
「すごいですね。よく覚えていらっしゃいますね」
「職業病のようなものですよ」
はにかんだように少し笑いながらマスターはそう言った。
記憶の良さが職業病ならバーテンダーになりたいものだ。
「ああ、えーとロングアイランドアイスティーを」
一瞬周りの空気が緊張感に包まれた。
何か地雷を踏んだのだろうか。
「美味しいって話だったので」
緊張から出た言葉が更に空気をただならぬものに変えた。
俺はこんなにも空気が読めなかっただろうか。

「ははは。いいじゃないか。ロングアイランドアイスティー」
そう言ったのはあの奇妙な男だった。
片手に持ったグラスは茶色の液体で満たされていて俺に向けて乾杯するように小さく上げた。
同じものをオーダーしたのかと後悔する。
カウンターを軽く見るべきだった。
それをしなかったことが悔いたが今となっては意味がない。

「かしこまりました」
マスターの声が後悔の坩堝にいた俺の耳に届いた。
ずいぶんと長い間待たされたような気もするがほんのわずかな時間だった。

マスターは手際よくボトルを俺の前に並べた。
ラム、テキーラ、ウオッカ、ドライジン、ホワイトキュラソーのボトルを並べる。
4大スピリッツをシェーカーに入れ、風味付けにホワイトキュラソーを少しだけ入れる。
レモンを搾りシェーカーに入れる。粉糖を少し入れ手早く混ぜ合わせシェーカーに氷を詰める。
長目のタンブラーにシェーカーから注ぎ、コーラを注いで軽く混ぜ合わせる。
レモンスライスとストローを入れて完成する。
一連の動作に淀みがなく美しい。

「お待たせしました。ロングアイランドアイスティーです」

シェイクしたことで口当たりが柔らかくなりコーラ以外の材料は十分混ぜられているので、炭酸も必要以上に攪拌しないで済むので飛んでいない。
アイスティーだからそれほど炭酸にこだわる必要はないのだが、気の抜けた炭酸はやはりまずい。
紅茶飲料であれば十分に通じる不思議な飲み物だ。
アルコール度数は決して低くなく、この飲みやすさは悪用できそうな印象だった。
実際に悪用するやつらもいただろう。

件の男が乾杯とこちらにグラスを上げて見せた。
断る理由もないのと酔いも手伝って乾杯した。
あの手の手合いは相手にすればしたで面倒だし、何もしなければそれはそれで絡んでくるので面倒だということはわかっている。
そして後者になった場合大抵ろくなことにならない。
執拗に絡まれる。
あの手の手合いは相手にすればしたで面倒だし、何もしなければそれはそれで絡んでくるので面倒だということはわかっている。
そして後者になった場合大抵ろくなことにならない。
間違いなく執拗に絡まれる。

そんな心を見透かしてか男は意味がありそうで全くないであろう笑みを浮かべてこちらを一瞥した。
仮に意味があったとしてもそれに関与するつもりはなかった。
それにこの手の連中は本来相手にとって意味のないことに意味を持たせることで、自分を優位にする。詐欺師かペテン師の類だ。

まっすぐ家に帰れば良かった。
今更だが俺は少しの後悔を酒で流し込んだ。

到底普通ではない男に対して隣にいる女性は普通に接している。
それが異常なことのように思える。
異常に対して正常な対応というのはどこか壊れているのではないか。
不可解なのはそういうことなのだろう。

女子高生と真剣に付き合うおっさんもそういう意味では異常なのかもしれない。
普通には見られない。
そういう意味では俺とあの男との差は見てくれくらないものかもしれない。

「そう。人間なんて見た目以外は大差ない。ことによっては見た目だって大差ない。他の人種の見分けが付きにくいように人は以外とどんな姿でも他者から見れば差がないように見えるものだ。差をつけるとすればそれが特殊な存在になったときだよ」

俺に話しかけたのかと思って男の方を見ると女性に向かって話していただけだった。
心を見透かされたのかと思ったがそうでもないようだった。
同じ人間とは思えなかった。さっきとはまるで違うことを考えている自分に驚く。
俺とあの男では住んでいる世界も生きるというベクトルさえも違うのかもしれない。
同じ時間軸に居合わせただけかもしれない。
二度と会うことはないかもしれない。
ただ、男の持つ特有の雰囲気のせいかもしれないがきっとこの男とは再び会うことになると思った。

「さて、今日はこれで帰るとするか」
「もうですか? 私まだ飲み足りませんよ」
「きみ。麗くん。なんでも満ち足りればいいというものではないのだよ」
「でも」
「そうだね。確かにきみはここに残ればいい。きっときみに聞きたいことが山ほどあるだろうから」
「……帰ります」
「いや、きみは残りたまえ。今日はそのために来たのだから」
「そんな。先生を帰して飲むなんてできません」
「まあ、いいじゃないか。本来ここにいるべき人物が飲むロングアイランドアイスティーを飲んだわけだし。ボクの役目は終わった。では、勘定は任せたよ。あとで請求してくれたえ」

そういうと男は風のように店からいなくなった。
残された女性は所在なげにその場に座るとカウンターの中の美人に声をかけられた。

ストローで一気に中身を無くすと俺は「ウォッカアイスバーグ」とマスターに向かって言った。
男のまねでここにいるべき人物が飲むであろう酒をオーダーした。

この後俺はこの歯磨き粉のような香りのする液体と暫く格闘しその後飲む酒の大半がその香りで汚染されるという中々に酷いクリスマスイブを過ごすことになった。

JUGEMテーマ:小説/詩

| Scrap Heaven | 11:30 | comments(1) | - |
思いの淵
壊れかけたブラインドから夕日が差し込んでいる。
布団の中でもぞもぞとメイは動いていた。
下着を身につけているのだろう。
俺はといえば素っ裸で腹ぐらいまで布団を掛けたままの姿勢でたばこを吸っていた。
まるでドラマで情事の後の男がするように。

「やめなさい」

冗談半分でメイは俺の股間にキスをしてきた。

「くすぐったい?」
布団の中からくぐもったような声が聞こえてきた。
「そうじゃない。勃つだろ」
「じゃあ、口でしてあげる」
「さっき出たばかりだから。こら」
既に口で始めようとしていた。
布団の中に両手を突っ込んでメイの脇の下に差し込み引きずり出す。
わざと止めていないフロントホックのブラがだらしなく肩からぶら下がっている。
その間から見える胸はお世辞にも大きいとは言えない。
「毎日揉んでもらって大きくするから平気」と言って毎日揉まされるが大きくなる気配はない。
それでも形がいいから時々参考にしそうになるが、さすがにそれはできない。

布団から引きずり出されたメイは脇を持ち上げられた猫のようにも見える。
重さをどこかに忘れてきたように思えるほどメイの体は軽かった。
細くしなやかな肢体だが夕日の影響で女性らしい陰影を濃くする。
そこはかとないエロティシズムを感じずにはいられないが「にゃー」と言って飛びついてから全てが後和讃になる。
そして、いくら軽いとは言え人ひとりの体重を踏ん張りがきかない状況では受け止めきない。
俺は強かに後頭部をベッドの角にぶつけた。
180センチを越える身長と辞めて久しいがラグビーで鍛えた体……といっても、今は無残なものだが。ただ、160センチちょっと越えるくらいのメイを受け止められなかったことにどこかショックを受けていたのは事実だった。

「いってー。危ないだ」
「危ないだろ」とは言わせてもらえなかった。
メイの少し湿り気のある唇が生々しい感触を持って俺の唇をふさぐ。
ちらっとだけ舌を滑り込ませてすぐに唇から離れて笑う。
いたずら者の猫が笑うとこんな感じだろう。そんな笑顔だった。

「間接フェ○チオ」

「はー」とうんざりしながら息を吐き出している間にメイは体を離しベッドから降りる。
雑にブラを止めパンツの中におしりのあまり肉を納める。
下半身デブというがそうでもないと思う。
女の子のコンプレックスはわからない。
俺は頭をさすりながら体を引き起こして着替えているメイを見ながら壁に背を預けた。

何かをハミングしながらブラウスの袖に腕を通しボタンを留めていく。
その姿を見る度罪悪感が胸にこみ上げてくる。

「なあ、いい加減やめないか。こんな関係」

鳩尾辺りまでボタンを留めた手が動きを止めて泣くような顔でこっちを見る。
そして勢いよく飛びついてきた。
「捨てないでー。もっとちゃんとご奉仕するから。終わった後もお口でお掃除するから。そのときちゃんと「お掃除させてください」って言うから。中出しもいいし、アナルも開発していいから。クンニされたら「らめええ」って言うから。イク時は大声で「イクッ」っていうし、中出されたら「熱い!」って言うから」
「いや、全部やらなくていいから」
「じゃあ、どうしたらいい?」
「どうもしなくていいよ」
「セイちゃんの描く漫画ってこんな女の子ばかりじゃない」と頬を膨らませながらメイはそう言った。
その顔が漫画のように滑稽で俺は吹き出した。
「いや、あれは仕事だから。俺はいたってノーマルだろ」
「セイちゃんが初めてで他の知らないからわからない」
なんだか罪悪感と気恥ずかしさで俺は奇妙な表情を浮かべたに違いない。
メイは再びベッドから降りてボタンを留め終えるとここら辺では有名な進学校のスカートを短めに調整して履いた。
リボンをしてブレザーを着ると普通の女子高生の完成だ。
ただ普通と言うには美人過ぎるのだが。
校則がうるさいと髪の毛は染めていない。肩胛骨まで伸びたさらさらとした黒髪が着替えの時に揺れていたシルエットがどこか昔見た心象風景のようで寂しくなった。

「じゃあ、帰るね。あ、そうだ。セイちゃん締切いつ?」
「来週の木曜日」
「じゃあ、今週末トーン張り手伝いに来ようか?」
「いや、あれを一緒に書くのはちょっとしたプレイのような気がするから止めてくれ」
「でも、それじゃあ週末一緒にいれないじゃない」
「そういう約束だっただろ……てか、本当に俺じゃなきゃダメなの?」
「うん。セイちゃん以外はいらいない」
力強く肯定して即決。メイはいつもそうだった。
目的のために手段を選ばないしたたかさも持っている。
「じゃあ、締切終わったら来るね」
俺の頬にお別れのキスをして部屋を出て行った。
きっと10分後にはメールが来て0時前におやすみの電話がかかってくるのだろう。

携帯を見ると剣崎さんから連絡が来ていた。
どうせ飲みの誘いだ。全く筆が進まないから飲みに出かけるか。

いつも使っている居酒屋に行くと剣崎さんはカウンターでビールを飲んでいた。
「お疲れ様です」
「よー犯罪者」
「剣崎さん。ちょっと」
「じゃあ。ロリコンか?」
「いい加減にしてください」
「冗談だよ」
「毎度それで入るのやめてもらえませんか」
「すまんすまん。別に羨ましいからやっかんでるわけじゃないよ?」
剣崎さんは面倒見は良いんだけど口の悪さと性格に難のあるところが玉に瑕だろう。
前に連れて行ってもらったバーで女性のバーテンダーと口喧嘩していたしなぁ。でも、あれは仲がいいんだと思えたからきっと彼女候補なんだろうな。
そんなことを思っていたら剣崎さんが勝手にオーダーを始めた。

「ビールでいいよな。けんちゃん。生とあと適当に料理見繕って」
「適当って賞味期限切れそうなもので出しますよ?」
「いいよ」
「まったく。はい。生。おまちどうさま」
そう言って店主のけんちゃんは俺に生ビールを出してくれた。
同い年とは思えない貫禄がけんちゃんにはある。これが一国一城の主というものだろうか。
「かんぱーい。っと、そういや締切は?」
喉を潤す間もなく剣崎さんは聞いてきた。そんなこと気にするなら呼ばなきゃ良いのに。
似たような業界にいるとそうなるのはわかるけど。
俺は生ビールを喉を鳴らして飲んだ。
「来週の木曜日です」
「描けてんのか? 今日が水曜日だから8日で大丈夫なのか」
「いや、一枚も」
「何ページ?」
「12ページです」
「大丈夫なのかよ」
「いやー。まずいですねえ。でも座っていてもなにも浮かばないので今日は飲んで明日から描きます」
「はー担当泣くぞ」
「毎度のことですから」
「編集として困るからちゃんと上げてやれよ」
「はは。剣崎さんの方はどうなんですか。毎日飲み歩いてるみたいですけど」
「俺はもう終わったからな。基本堅いところ向けだから原稿は確実に上がる」

けんちゃんが「とりあえず」と言って豆腐サラダのようなものを俺たちの前に置いた。
「これミョウガ? おれ苦手なんだよね」
「あれ? 剣崎さん苦手でしたっけ?」
けんちゃんが本当に意外そうな顔してそう言った。
「苦手だよ。全然食えない訳じゃないけどない方がいい」
「意外と偏食なんですね」
「嫌いなものが1つしかないのに偏食扱いかよ」
「いや、剣崎さんって美味いもののためなら食えないもの克服するタイプだろうなぁって思っていたから」
「大した偏見だな。まあ、納豆もニンニクも食べることができるようになったし、むしろ好きになったけどさ。まあミョウガはよけて食うから、早く次のもの出せよ」
「はいはい。じゃあミョウガ尽くしにしようかねえっと」
けんちゃんはそう言いながらカウンター越しのキッチンで料理を作り始めた。

料理と酒を十分に楽しんだ頃剣崎さんが思いがけない言葉を口にした。

「少年誌か青年誌に描きたいなら口添えするぞ」
あまり手を付けていなかった豆腐のサラダのミョウガも面倒になったのか除けることなく口にしながらそう言った。
他人の人生を背負い込むようなことはまずしない人にしては珍しい言葉だった。
嬉しかった。それでも俺は……
「いいですよ……もう、そっちの描き方忘れちゃいましたよ」
徳利を持って剣崎さんの飲みかけのおちょこに近づけた。
「そんなことないだろ。エロゲーだってエロをそぎ落として一般に売り出されるような時代だぞ」
「それとこれとは別の話ですよ」
「絵だけで描いたようなもんに価値なんかないだろ」
「エロ漫画はエロ漫画で必要なんですよ」
「本気で漫画を描けって言ってんだよ。びびるなよ」
「……疲れたんですよ。誰かに何かを期待されるのも期待するのも」
「違うだろ。おまえが期待して失望しているのは自分自身だろ。言わせんなよ。おまえは存分に他人に期待させるものを持ってるんだ。少なくとも期待してんだよ。俺は」
そう言って徳利を引ったくるように奪って自分のおちょこになみなみと注いだ。
追い詰めるようで持ち上げたり引き上げたり。
根がお人好しのくせに屈折しているから素直に表現できない。
けど時々出るストレートな言葉が愚直すぎて、こういうところが嫌いになれないところなんだよな。
長く付き合ってみないとわからないところだからなぁ。敵が多いんだろうな。

「それにメイちゃんのこと考えたらそろそろ潮時だろ」
「なんでメイのことが。関係ないじゃないですか。真面目にってことですか。俺はこれでもエロ漫画にプライドを持ってるんです」
「違うよ。メイちゃんがエロ漫画に反映される前に手を引けっていってんだよ。人間なんて身近にあるものが記憶にすり込まれちまうから反復するように見たり触れたりしたもんは気がつかないうちに出ちまうもんだろ。十代の女の子に背負わせるにはちょっと問題があるだろ」
「そんなこと……言われなくたってわかってますよ」
「仏頂面になるな。そんな反応するってことは危ないと思ってるんだろ」
的を射られすぎて反論さえできない。
剣崎さんは俺のおちょこに酒を注いだ。

「俺はおまえの人生を背負うことはできないし、付き合うつもりもない。それでも横にいるやつが転びそうなのに手を差し出さないほど鈍感にもなれない」
「すみません」
「謝るな。これは俺が勝手にやってることなんだから。こっちも転びそうなら手は離す」
「あー剣崎さんってそういうタイプですよね」
「わかってんな」
「そりゃ長いですから」

大学2年で足の靱帯断裂と骨折でラグビーは諦めた。
それからバカみたいに女と酒におぼれた。身長の高さと筋肉はそれなりに女子からの需要もあった。
半年もしないうちにそれは飽きた。そして金も尽きた。
同じ大学の先輩筋にあたるということで、何人かの先輩を経由して剣崎さんが紹介された。
小遣い稼ぎに趣味だった絵を生かしてバイトでイラストを描かせてくれたのは剣崎さんだった。

「イラストよりは漫画向きだな」の一言で俺は漫画家を目指すようになった。
いや、逃げ込める何かが欲しかったそれだけかもしれない。
簡単なアシスタント業務から入ってイロハを覚えた。
そして最初の作品で少年誌の入選した。
案外簡単なんだな。と思ったが結局大賞との違いの差を見せつけられて俺は萎縮した。
絵だけならと少年誌から同人誌へ移行して、そこから今の雑誌に拾われた。
ほとんど運だけでこの世界にいる。

逃げ込んだ先で更に逃げ出した。
本気になって裏切られるのは怖かった。
本気でラグビーに取り組んでいたときと同じように漫画に裏切られるのが怖かった。
努力だけでは超えられない才能という壁を恐れていた。
夢を語れず、浪費されるだけの取り替えの利く存在に身をやつしていた。
そんなものにファンが付くはずもなく、遠くない将来この仕事も辞めなければならなくなるだろう。
俺はいつでもスペアでしかない。そういう生き方を選んできた。
それでもこの世界から足を洗うことができないでいる。

俺が二十歳そこそこで知り合った剣崎さんとももう10年の付き合いになる。
もう30歳だというのにつぶしの利かない仕事を選んでいる。
両親からはいい加減に定職を見つけろと言われている。
エロ漫画を描いているとは言っていない。ただ、売れない漫画家で見せるような作品は書けていないというニートのような話をしていた。

積み重なった夢の瓦礫が手のつけようのないほど高くなっていた。
それをどうすることもできずに俺は立ちすくんでいる。

「兎に角1回エロ抜きで描いてみろよ。話はそれからだ」
「描きませんよ。俺にはもうそんな才能はないですから」
「才能のせいにしてんじゃねえよ。無骨でもなんでもいいだよ。届ける力を見せろ。その先は編集の仕事だろ。発信者に必要なのは届けようとする力でそいつを手伝うのが俺らなんだよ。編集信じろよ」
「自分を信じられないのになんで他人を信用できるんですか。だいたい剣崎さんは漫画の編集じゃないじゃないですか。わかるんですか?」
「わかるさ。編集じゃなくたってそんなもんは」
話が堂々巡りになりそうだった。
兎に角俺は自分に期待していなかった。
その期待さえしていない俺に期待していると剣崎さんは言う。
いつか剣崎さんが「おまえは俺に似てるんだよ。だから嫌いだけど放っておけない」と酷く酔いながら言っていたのを思いだした。
本心だろう。剣崎さんは俺のことを時々苦しそうに見ることがある。
剣崎さんほど不器用じゃないが生きにくいタイプに俺も属しているのは間違いない。
似ているところを見つける度に救えないもどかしさから苦痛を感じているのだろう。
剣崎さんはSっけたっぷりなのにどMでしかない。

少なくとも自分よりマシな生き方を選んでもらいたいと思っているのは感じる。
だから、エロ漫画家ではなく少年誌や青年誌で働いてもらいたいと思っているに違いない。

結局この日も剣崎さんとは物別れで終わった。
京浜東北線に乗り込む剣崎さんを見送り俺は京急の赤い電車に乗った。
上大岡まではそう遠くない。
酔った頭で締切間際のエロ漫画のプロットを考えていたが、剣崎さんの口添えするという言葉が頭の隅で鈍い痛みのようになって思考をとりとめのないものにしていた。

JUGEMテーマ:小説/詩

| 駄文 | 15:46 | comments(1) | - |
彼の思い彼女の思い
栗色の少年はわざとらしく大きなため息をひとつ漏らした。
隣を歩いている少年はここ数日同じことの繰り返しで飽き飽きしている言葉をそれでも口にした。
「どうした?」
「あーやっぱり今年もチョコ、ゼロの予感」
「いいじゃねえか。別にチョコなんて」
バレンタインデーだと言うのに男二人で歩いていた。
そしてチョコはもらえていない。
「バカ言え。バレンタインのチョコは古来より御チョコ様と呼ばれている格式高く霊験あらたかで、食べると寿命が10年単位で延びるという一品だぞ」
「バカはおまえだ。タカ」
「酷いなー。サトシはいつも冷たてえな」
明るい栗色の髪の毛で左右の耳に5ずつピアスをしている少年はグレーのカラーコンタクトの瞳で、睨み付けながら隣を歩く少年にそう言った。

サトシとよばれた少年は隣の派手な少年とは対照的にどこにでもいるような風貌だった。
端正とまではいかないがそれなりに整った顔立ちで、髪型もありがちなものだから若者が沢山いる場所なら探すのに苦労しそうだった。
服装だけならお互いの関係は逆転しそうなものだが、インテリヤクザとチンピラと言えば立場は逆転していてもおかしくはない。

サトシは普通であることを望んだ。
ただ、普通であることが良かった。
突出すれば叩かれる。その煩わしさを避けて通りたかった。
自分の限界がわかっているから無理をしない。
無理をしても辛いだけだ。
だから普通であることを選ぶようにした。
その普通の中でタカは異質だが、あえてそれを切り捨てるほど強くは普通を望んでもいなかった。

いわゆる一般人からするとタカのファッションは近寄りがたい雰囲気のあるものだった。
とはいえ、サトシはタカと幼なじみで生まれてこの方怖いと感じたことはない。
今でこそ体格は似たり寄ったりだが、タカは不思議とサトシのことを大きく感じている。
子供の頃の体格の差がすり込まれているからかもしれない。
それが災いしているのかタカは虚勢を張るために奇行とも思われるような特有のファッションに身を包んでいる。
サトシはこの奇抜なファッションに身を包まなければアイデンティティを保てないタカを少し不憫に思っていた。
そして、いつまでも自分に叶わないと思い込んでいてもらえればよかった。
実際のところ喧嘩しても勝てるだろうが、こちらも無事では済まない。
痛い思いをしてまで検証する必要のないだろう。
それに負けたら何故かタカが傷つきそうだと思っている。
だから虚勢でもタカの前では強くいる必要があった。
こういうことを考える度にサトシはタカに対する友情が正しい形をしているか悩んでしまうところがあった。

「あれ? 棚橋じゃね? おーい。たなはしー」
目に付いた知り合いに無条件に声をかけるようにタカは見た目に反して子供過ぎるところがある。
サトシは自分以外の連中からカモにされているのではないかと不安になる。

棚橋と呼ばれたのはすらりとした少女だった。
天は二物も三物も与えたのではないかと思うほど彼女は完璧に思えた。
見た目もさることながら学年で5位以下に落ちたことのない頭脳、芸術面でも才能を発揮し、料理の腕もそこら辺のカリスマ主婦なら裸足で逃げ出すほどだという。
まさしく才色兼備だ。

最大の欠点である協調性の欠落を除いては。

才色兼備には性格を表現する部分がない。
それは重大な問題だとサトシは棚橋を呼ばれた少女を見るといつも思っていた。

ツカツカと少女はタカの前に歩を進めパンと音がするくらいの勢いでタカの頭を掌で叩いた。
「なに私の個人情報を漏洩してるのかな?」
「個人情報って言ったって名字だけじゃん」
「もし、私が今日からストーカー被害にあったら、あんたの人生に暗い影を落とすような結末になったとしても全く問題ないと言えるの?」
「そんなことないだろ」
「絶対に? 絶対にないと言えるの? 私こんなに美人なんだけど」

自分で言いやがったとサトシは思ったが、事実だから仕方がないとも思った。
謙遜しても認めても美人は損をする。特に性格に難がある場合はそのことが顕著になる。

「おまえの性格知ったらストーカーだってストーキングしたこと後悔するだろ」
タカはおくびれもせずに笑いながらそう言った。
「どの口がそれを言うの?」
そう言いながら少女はタカの下唇の下の辺りを強くつまみ上げた。
「ひてててて。こめんこめん」
情けない声を上げてタカは謝った。
少女の腕を振り払おうと思えば簡単に振り払えた。
それをしなかったのは自分の力が強いことをタカが理解していたからだった。
「そのくらいにしておかないと指が涎まみれになるぞ」
「それは困るわ」
サトシの言葉に反応して少女は指を離した。
「いてて」
タカは強く握られた場所をさすっていた。
タカは見た目から想像が付かないほど女性に優しかった。
男に対しては動けなくなるほど殴り倒すのに、こと女が相手だとまるで無抵抗主義者のように何もしない。
「女は絶対に殴らない」という頑ななまでの男らしい一面をタカは持っていた。
タカは自分から喧嘩を売るようなことはしない。
タカは残念な方向に道を踏み外した好青年と言えるのかもしれない。

どこからか流行のJ-POPが流れてきた。
タカはズボンからスマートフォンを取り出すと電話に出た。
「もっしー。あーうん。大丈夫だよ……マジで? オッケー。じゃあ今から行くわ。そういやさ」
タカは途中一度サトシに目を向けたがすぐに電話に戻り片手を上げて二人の前から立ち去った。
サトシは少し苦い表情をしてそれを見送った。
「変な気を遣いやがって」とサトシは心の中でタカに悪態をつく。
サトシの心は少し重くなった。

サトシは無言で歩き出した。
その横を少女が歩く。
サトシはこのときばかりは帰り道が同じ方向であることを呪った。
無言を選んだのもその無言に耐えかねたのもサトシの方だった。
「うまくいってんのか?」
「心配される理由が見あたらないくらいに」
「そうか」
再び無言が辺りを支配した。
サトシは少し前に少女に告白して玉砕している。

「まだ私のこと好きなんだ」
少女は残酷な一言を少年に向けて言い放った。
「ああ」
サトシはなんの躊躇いもなくそう答える。
「そう。大変ね」
少女は自分には関係のないことのようにそう言った。
聞いておいてなんという言いぐさかとも思ったが仕方がないとも思った。

少女は援助交際をしていると噂があった。
さえないおっさんと腕を組んで歩いているのを目撃したという情報があった。
元々少女は敵が多いからそういう噂が立てられても仕方がなかった。
何度かそういうことがあったが事実無根であるといつの間にか噂は消えてなくなっていた。
それには彼女の与り知らないところで「棚橋盟友会」なる集団が動いているのだが、それは別の話であるのでいつか語ることにする。

そんな得体の知れない集団が何かしたかはどうでもいいことだし、もちろんサトシは噂をいちいち信じてはいなかった。
少女こと棚橋メイがやるならもっとわかりやすい方法に違いないからだ。
影に隠れるようなことはいちいちしない。
だから援助交際などあり得なかった。自分の目で三十代近いおっさんと腕を組んで歩いているのを見るまでは。

だが、そこにあったのは好きな人にしか見せない特有の表情であり、援助交際でないが自分の中にある恋心が実を結ばないものだと確信した瞬間でもあった。
援助交際ではないが明らかに年上の男と一緒にいた。それも男に付きまとっているのではないかと思うくらいに愛情のバランスは棚橋メイの方が大きいように見えた。

その直後に二人が別れたのを見てサトシは別の道を選んで帰ろうとした。
自分の中の動揺が隠しきれそうにもなかったからだ。
しかし、一瞬だけメイを見ようと彼女を見た時に目が合った。
顔を背けようとしたがそれはそれで酷く不自然に思えて極力自然を装い今気がついたという顔で手を挙げた。
「よう」
「見てたんでしょ?」
どう切り返そうか考えて時間がかかれば相手のペースにはまるのが見えていたし、嘘をついてもばれるだろうから正直に話をすることにした。
「ああ。見た」
「そう」
「彼氏か?」
自ら止め刺しに行くような行為だった。
「そうよ」
改めて本人から言われると胸の奥にざっくりとえぐられるような痛みがあり、そこが悲鳴を上げているのがわかる。
「なんであんなおっさんを」
「たまたま年が離れているだけだし、言われるほどおっさんでもないわ」
「まわりが普通には見ないぞ」
「関係ないわ。私の人生を私が生きるのになんの問題があるの」
「社会一般の通念の話だろ。そんなのわかるだろ」
「わかるけど、それがなに? 好きになったのがただの30近い男で職業がエロ漫画家なだけよ」
開き直りや逆ギレっぽくもあるがメイの反論に返す言葉がないのも事実だった。
「は? エロ漫画家!? 30近いってのだってどうかと思うけど職業が問題だろ」
とてもエロ漫画家には見えなかった。
180センチを超えるであろう身長と喧嘩したら負けそうなほどがっちりとした体つきだった。

「些末なことね。18歳のアラブの石油王の息子ならサトシは諦められたの?」
「それは……」
「結局サトシは相手が間違えているということで論破しようとしているのだけど、それは意味がないことよ。恋愛は異常な精神状態なのだから常に正しくないのよ。正しい恋愛があるならそれこそ異常なことよ」
勝ち誇るでもなく、熱を帯びたように浮かされたようになるわけでもなく、ただ淡々とそう言った。
サトシはメイに対して昔から芯が強くて揺るがなかった印象をもっていた。
昔と言っても小学校の中学年の頃だから10年も経過してはいないのだが。
当時から不思議な魅力と人を敵に回すところは変わっていない。

明確に好きだったわけではないが気になる存在ではあった。
好きだと明確に気がついたのはこのときだった。

「じゃあ、おれも異常なんだろうな。おまえのことを誰かに渡したくない」

既にあの男が彼氏だと宣言されているのに、そんなことを口走ったことに動揺した。
だが、言わずにはいられなかった。
サトシは自分にしては珍しく歯止めが利かなくなっている自分を感じていた。
「おれは確かに自分の金で生活できていない。でも、負けていないと思う」
身長や体格は負けていたがトータル的なルックスなら勝っている。
身長も175センチはいっている。割と細身だが貧弱ではない。
若いしメイの隣に並んでも遜色がない自信はある。
権力や金銭的な事情を持ち出されたら負けるがそれ以外なら勝てる自信があった。
喧嘩になれば若さでなんとかするつもりだった。

「何に勝って何に負けてもセイちゃん以外はいらいない」
「何がそんなにいいんだよ」
サトシは思わず声を荒げる。
それに臆することなくメイは淡々と言葉を続ける。
「私の何がいいの?」
「え?」
「私じゃないとダメなんでしょ?」
「え、ああ。そうだよ」
言葉の意味をサトシは掴みかねていた。

「じゃあ、私がセイちゃんじゃないとダメなのわかるんじゃないの?」
「それとこれとは別だろ」
サトシはふてくされたように言葉を出した。
「わかってるはずでしょ。私を諦めるように言っても私じゃないとダメだとサトシはいうのでしょ。私が他にいい人が現れるなんて言ってもサトシは想像できないでしょ。確かに私よりもいい人なんて早々見つからないと思うけど」
最後の言葉は余計だが事実今の気持ちが萎えることはないだろうと思った。

「私はサトシの思いを止める術を知らないの。だから、あなたが好きでいるのを辞めるまで私はその気持ちを放置するより他がないの」
「もうチャンスはないのか?」
「それはすなわち私が不幸になることを望んでいると受け取っていいのかしら?」
「そういう訳じゃないけど」
「じゃあ、どういう訳なの?」
「俺があいつよりいい男になって振り向かせるって意味だよ」
「それは無理ね。確かにセイちゃんよりもいい男になることはあるかもしれないけど、セイちゃん以外はいらない私に超えるとか以下とかは一切意味がないの」
サトシにとっては勝ち目がゼロと通告されたようなものだった。
「それでも俺はおまえのことを好きでいてもいいというのか?残酷だな」
「あなたにとっては残酷でも私にはなんの感慨もないわ」
「酷いな。でも、そのとおりだろうし、それでいいんだと思うよ」

メイは小さく笑った。

「なんだよ」
「物わかりがいい割にあきらめが悪いのはどうしてかなと思って」
「そりゃ……」
「相手がいい女だからだろ」と続けようとして飲み込んだ。
「そりゃの後はなに?」
「まあ、思考と感情は必ずしも結びつかないって話だろ」
「……そう、まあいいわ」
見透かしているのだろうと思ったがそれを口にして真意を当てられるのは癪に障るので黙っていた。
それはそれで見透かされていそうなのだが。

グーとメイのおなかが鳴った。
メイは鞄を漁ると茶色の包み紙に覆われたチョコレートを取り出して小さくそれを割ってそれを口に放り込んだ。
その動作を3回ほど繰り返したところで、少し大きく板チョコを割りサトシに差し出した。
「はい」
「え?」
「いらない? 物ほしそうにしていたから」
「ああ、もらうよ」
これでも寿命が10年延びるのだろうか。
まったく意味が込められていないチョコレートだとしても好きな子からのものなら効果はありそうだ。
詳細は伏せてタカには一つもらえたと言ってみようと思った。
悔しがるタカの顔を思い浮かべてサトシは笑った。
メイはそれを怪訝そうにそれから優しい目でそれを見ていた。

という話をバレンタインデーに上げようと思ったらこんなことに。

JUGEMテーマ:小説/詩

| レンアイ | 01:03 | comments(1) | - |
よろしく
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 下痢ばかりのだいです。もう止まりません。

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

今更ですが新年の挨拶です。
言っちゃいけない人もいるかもしれませんけど、ここ見ているの最近はれいらくらいでしょうから大丈夫ですよね?

一応新年ですし一年の計は元旦にありなんて申しますから……元旦も糞もないですね。
うーん。書くことがない。

今年の目標も「変わらない」ですからねぇ。
進化はいいことですが変わらないで居続けることも重要です。
「ああ、ここはいつ見てもなにも変わってないなぁ」と思われるのは、相手が自分を見つめ直すのに必要な存在であると漫画のバーテンダーに書いてありました。
確かにそうだと思います。

基準になるものがあると自分がどれだけ変わったかを知ることができます。
成長した自分を見つけることもできます。
何かあって落ち込んだときに変わらないこと見つけると安心できます。

ドリフのコントと同じですね。ドリフ自体が既にないので変わりようがないですが。
あ、調べたらまだやっていたようです。すみません。
いかりや長介が亡くなったら終了だと思ってました。

まあ、面白みを感じないので見てないので書いてみたものの意味がありませんでした。
面白みを感じないというのも田舎との共通点ですね。
あと見たくないという意味では故郷に辛い過去しかない人と同じでしょうか。
同じものにするなというお叱りの言葉が聞こえてきそうですね。
どっちがどっちに対してかわかりませんが。

冗長で書くのはいつものことなのですが、とりあえず、内容はなくても1月に1回くらいの更新をしなくてはならないという強迫観念に駆られているので無理矢理書いています。

誰も読んでないので更新する必要ないのだろうけど。
ああ、そうか。誰も読んでいないというところが、毎年の目標の変わらないというところに合致するのか。
とほほん。

いつもよりも短かったので最近始まったドラマの感想を1話を見た時点で書きます。

平清盛
出家しても偉い人の性欲は強いんだなぁと思った。さすがタフマン。
某知事から汚いと言われたがそうかなあ?と思いました。武蔵も似たり寄ったりだったと思う。
とりあえず、2話まで見たはずですが毎回酔って見てるので記憶がありません。
江よりはいい。でも、大河だなぁ。

運命の人
もっくんの胴体ってあんなに太かったっけ?
やっぱり力(権力)のあるイケメンってもてるんだなぁ。どっちかあればもてそうだけど。
雨の日の情事の後が葉っぱから雫が落ちる朝って演出が古い。これは時代設定が古いからですか?
1話目でどろどろした展開になったので気分が重いから見るかどうかは考えよう。
この時間帯は戦後をやるのが好きなのか?

ステップファーザーステップ
TBSが時代劇の代わりに出した結論がこれです。
水戸黄門を終わらせる理由もよくわからない。
2時間ドラマで終わらせてもよかったのでは?
見られるときに見られたらいいなーくらいの継続視聴気分。
切り捨て候補。

ラッキー7
松潤が浮いている。
瑛太の体がすごい。女性に対してのサービスカットか?
脱恋愛路線の月9らしいから女性を掴まえるためにそういうサービスですかね。
ファーストカットに出てくる女の背中がエロくてよかった。
なんだかんだで善人の松潤が周りを変えていくというような有り体な話で進行するのだろうと見える。
メガネの女子が出ていたのでとりあえず継続視聴。

ストロベリーナイト
間違いなくあんな風に人は死なないだろうが、そこはドラマとして割り切ろう。
2時間ドラマもとんでもでしたが、これからもその路線ですね。
真木よう子、篠原涼子、竹内結子。刑事役でこいつらが着ている白シャツがなんとなくエロを感じさせるのは病気でしょうか。病気ですね。
病気が進行しているのか白シャツが見たいので継続視聴。

ハングリー
向井理が最初からシャワーを浴びているという一部女子のためのオープニング。
稲垣吾郎は悪役しかやらなくなったの?
ドラマの仕立ては酷い部類だが、料理が見たいので継続視聴。

孤独のグルメ
友達から「だいさんっぽい人が出てるドラマ」と言われて見たが、主演は松重豊で見た目は似てもにつかない。キャラクターもおいらはそこまで奇抜じゃないけど、食に対するスタンスが似ているという意味かな?
まあ、情報収集のために見る。(食的な意味で)

ダーティママ
タイトルはダーティーハリーあたりのパクリかな?
永作ってあんなにエラ張ってましたっけ?
内容が土曜の9時です。水曜10時ではないよね。
とりあえず、見ないことにした。

最高の人生の終わらせ方
山ピー(伏せ字)滑舌悪いなぁ。ジャニーズは敵に回したくないので。
あと前田敦子って最初わからなかった。地味すぎる。元からだけど。演技下手?
なんでトップなのかごにょごにょ。
榮倉奈々が刑事役で白シャツなので継続して見ることにした。

聖なる怪物たち
怪物くんを彷彿させるようなタイトルですが、医療ミステリーですね。
登場人物が主人公以外後ろ暗かったり壊れていたりでどろどろの予感がバンバンします。
ミステリーだからポップすぎても困るのだけど。
中谷美紀が美人と言うよりは無表情では虫類にしか見えない。怖い。
とりあえず、話がいい意味で酷くなりそうなので継続視聴。

最後から二番目の恋
中井貴一が主演かと思ったら小泉今日子だったのね。
しかし、老けたなぁ。キョンキョン。
真っ赤な女の子から紫色の女性に変わった気がします。
内田有紀のぼさぼさ頭がちょっとかわいいと思う変態だと気がついた。
恋愛というよりホームコメディとして展開して欲しいなぁ。
とりあえず、継続視聴。

恋愛ニート
うーん。確実にどろどろするでしょ。これ。
爆笑問題の田中は実際に猫好きなのでそのままのキャスティングだなあ。
仲間由紀恵がずば抜けて美人なので他の女性たちがどうやって恋愛に絡んでくるのか微妙だ。
仲間由紀恵の演技も微妙だ。苦手なのかなぁ。しゃべり方が。
佐々木蔵之介はプライドが高い男の役ばかりだなぁ。
継続視聴は微妙。

13歳のハローワーク
松岡君ってかっこいいけど横から見ると正面の方が絶壁ぽく見えるよね?
こうバブル時代を懐古するようなのはどうなんだろう?
タイムパラドックスは起こらないという辺りが斬新。
松岡くんも演技の幅が狭いような……いや、かっこいいんだけど。
ドラマの全体のオチは何も変わらなくて今の自分が努力してどうこうとか、バタフライエフェクトのように過去を元に戻すと言う辺りかなぁ。
とりあえず、見ないです。

理想の息子
これは最初から見てない。

とりあえず、こんなところかなぁ。

よし、無駄に書いたしこんなところで、今年もダラダラと垂れ流していきます。

| 雑記 | 00:36 | comments(0) | - |
side B25
JUGEMテーマ:小説/詩

 「明後日は来るの?」
12月22日の深夜にミツルはサキからそう尋ねられた。
「残念ながらその日は予定があるんだよ」
「そう。気を遣って損したわ」
「似合わないことするからそうなるんだよ」
「そうね。あんたに気を遣うなんてバカだったわ」
「そう自分を責めるなよ。おれだって予定があるなんって思ってもみなかったんだから」
おどけた調子でそう言うといつものようにウオッカアイスバーグを一口含んだ。
「確かに予定があるあんたが悪く思えてきたわ」
「助けなきゃ良かった。ところで、24日に来ると何かあるのか? プレゼントとか?」
「そうね。時間を潰すことができるなんてプレゼントがあるけど?」
「それは今ももらってるだろ」
「じゃあ、ほぼ毎日プレゼントを与えてるってことになるのかしら?」
「それなりの対価は払ってるだろ」
「そうね。それなりの対価よね。それなりの」
サキは「それなり」の部分の語気を強めてそう言った。

「サキ」
マスターの穏やかなバリトンボイスがサキをたしなめた。
名前を呼んだだけだが含まれる音の響きにそれがあった。
掛け合いはいつものことだが、新しい客が居るときにこの掛け合いは内輪すぎて引く可能性が高い。
だから客が誰もいないとは放置するが新規の客が居るときは、適当なタイミングで嗜める。
サキが叱られるとミツルは引く。
ミツルの察しの良さがわかっているからマスターはサキを嗜める。
それで十分だった。

ミツルはそれを契機に帰ることにした。
なんとなくタイミングとしてはそれがベストのように思えたからだった。
それに下手にサキにつっこまれるのを避けるためにはそれでいいように思えた。

そして、クリスマスイブになった。
ミツルは片瀬江ノ島の駅を降りた。
ちょっと張り切りすぎているくらいの女がいて声をかける。

「よう。ナタリア」
「おはようございます。その呼び方辞めてくれませんか?」
「ははは。そんなことより服装若干クリスマス仕様だね。似合ってるよ」
全体的に黒っぽい色が流行の中でもこの日だけは赤が女子の間では利用される。
そういうのは嫌いじゃないが好きでもなかった。
「ええ。せっかくですし」
「しかし、連休の中日だってのになんで片瀬江ノ島はこんなに人がいるんだ? 8割は江ノ水目当てか?」
「でも、江ノ島にも行けますよ?」
「そうだけど。まあいいか。とりあえず、飯に行こう。帝国ホテル上がりのシェフがやってる安いフレンチが近くにあるからそこに行こう」
「はい!」

片瀬江ノ島の駅から近くにその店はあった。
ナタリアは本日のランチを注文してミツルは魚のランチにした。
クリスマスらしく本日のランチは鶏のもも肉のコンフィだった。
魚は鱈のムニエルでケイパーを使ったバターソースが特徴の一品だった。

「今日は限定でグラスシャンパンもご用意しています」
「じゃあ、それを二つ」
ミツルはなんとなく注文してから少しだけ流れが問題のある方向に流れ出してきているような気持ちになった。

クリスマスイブに狙ってもいない女と二人で過ごす羽目になったのは、11月の下旬に世界大会で優勝したバーテンダーの店になんとか祝いに行った後ほろ酔い気分でばったりナタリアこと成田アヤに会ったことに起因する。

「あれ? 剣崎さん?」
「おーナタリア。これからスクヘブか?」
「どうしようかなぁって思って。ちょっとお腹も空いているけど今日シンゴさん休みでしょ?」
「そうか。じゃあ、なんかそこらの居酒屋に付き合ってやるよ」
「え? いや、大丈夫ですよ。リンガーハットとか行きますし」
「なんだよ。じゃあ、イタリアン行こう。パスタにしろ。パスタに」
アヤは押し切られる形でダイニングバーに近い形態のイタリアンに二人は行った。

ミツルはワインをボトルでオーダーしチーズの盛り合わせでダラダラと飲み始める。
始めてくる店でミツルと二人きりなことにアヤは少し緊張していた。

「適当に飲んでいいよ。まあ、常連面できるほど来てる店じゃないから、その辺は察してな」
「え。あ、はい」
上司と部下という感じに見えるかもしれない。
必要以上に敬語のアヤとフラットすぎるミツルは見た感じは恋人でもおかしくないが、空気感が上下関係を醸し出していた。
もちろんアヤが一方的にその空気を作っているのだが。

店内のディスプレイがどこかクリスマスムードになっているのに気がついてアヤが口を開いた。
「すっかりクリスマスムードですね」
「そうだなぁ。まあ特に関係ない行事の一つだけどな」
「今年も女子会ですよ。あれに出るとなんか負けた気がするんですよねぇ」
「そうなのか? じゃあ、なにかするか?」
「え? あ、えーと、じゃあ、お願いします」
少し照れたようにアヤはそう言ったのでミツルは少し訝しんだ。
「じゃあ、なにかしたいことはある?」
「えーと、水族館とか行きたいです」
「水族館?」

このときミツルは自分の言葉の足りなさを呪った。
「じゃあ、いつもの店で常連集めて何かするか?」と別口でパーティーを開くことを想定したつもりだったが、このタイミングで男が女を誘うとなればデート以外のなにものでもない。
しかし、気付くのが遅かったのとアヤを傷つけないようにするためにミツルは「水族館ねぇ。江ノ島水族館だと月9でやってたからなんかあったような?」とはじめからそのつもりだったように演じた。

そして現在に至る。

フルートグラスのシャンパンを一口含むときに天を仰いだ。
がっちりクリスマスの展開になりつつある。
昼だからさすがにムードはない。とは言いつつもこの先の展開を考えれば、相手が自分のことを心底嫌いじゃなければ、普通に急造カップルのできあがりまで行く自信はある。
それ故にミツルは敢えて店の予約をしなかったし、意味がこもらないようなプレゼントを選んだ。
不機嫌にならないように上機嫌にならないように努めた。
クリスマスイブに何をしているのか。

新江ノ島水族館は不必要に込んでいた。
当たり前だ。クリスマスで特殊仕様のイベントであふれかえっているし、八景島よりも安くてフレンドリーだ。庶民派水族館といえるのかもしれない。
すし詰め状態の水族館でも幸せムードが空間を支配していた。
それ自体は悪いことではないがミツルにとっては少し疲れる空間だった。
幸せになれていないとかそういうことではない。ただ、まわりの空気に圧力のようなものを感じた。
幸せを演出するというような感覚を感じていた。
幸せは悲しみと違って演出でいくらでも生み出せる。だからこの空間の演出された幸せの雰囲気に圧力を感じていたのかもしれない。
ミツルはぼんやりとクラゲの入っているグラスのツリーを眺めていた。
多くの人が写真を撮っている。アヤも携帯で撮影していた。
クリスマスカラーのライトに照らされたクラゲがゆらゆらと大型水槽で揺れていた。
喜んでいるカップルを画面越しに見ているような気分で眺めていた。

こういうところに来るとミツルは世界から隔絶された気分になる。いや正しくは自分から世界に線を引く。
逃げているだけかもしれないが幸せになる資格を拒絶している。いつか来る不幸を恐れているだけと言われたらそれまでだがそれでもミツルはそれを許容しがたいと考えている。
純粋にクリスマスの空気を楽しんでいるアヤを漠然とした不安とちりちりと焦がすような嫌悪を感じている。

繰り返す。ただ繰り返す。
「嫌うな。嫌うな。嫌うな」
繰り返す。ただ繰り返す。呪文のように。

「剣崎さんもどうですか?」
「ああ……いいよ。おじさんは人ごみ苦手だから」
「きれいですよ」
「……そうか。じゃあ見に行くか」

やや押し切られる形でミツルはクラゲやイルカのショーを見ることになった。
はしゃぐアヤを見て普通にかわいいこだなと思ったし、当たり前のクリスマスの幸せを受け入れていた。

夕方になり二人は水族館を出た。
「江の島行きませんか?」
「寒いし遠いからなぁ」
「せっかく来たんですから」
「うーん。まあ、せっかくだしな」
結局ここも押し切られる形だった。

紫色のイルミネーションにライトアップされたシーキャンドルを下から眺める。最速で20分待ちだといういうことで寒さも手伝い下から眺めるだけにした。
西側が赤と青のグラデーションに彩られカップルや家族が写真を撮っていた。
当たり前のようにある温かい光景で心が揺さぶられる。
塔の上のほうを見上げる。アヤは登りたかったかもしれないがさすがにそこまでロマンチックなことはできなかった。
ただでさえ流されているというのにこのままどこまで自分は流されていくのだろう。
ミツルはぼんやりとこのままいつものように流されて付き合いことになるのだろうかと考えていた。
アヤのような普通のいい子なら仮にそうなったとしてもうまくやっていけるのではないか。
こうした風景の中に自分も溶け込めるのではないか思った。

そのときある光景が浮かんだ。
そして、サキの顔が浮かんだ。
次にマスターとシンゴが浮かんだ。

サキだけなら自分の恋愛感情を疑うが店を最初に思い出したことで自分の流儀を思い出した。
そうだ。バーでの恋愛はご法度だ。
だからこの先は自分で流れを変えようと決めた。
少しだけ幸せに酔ったのかもしれない。しかも悪酔いだ。

「寒いし腹も減ったな。そろそろ行こうか」
「そうですね」

それから二人で居酒屋に行く。
Scrap Heavenに行くかという話もあったが今日は違う店にした。
普段よりも気を遣い過ぎていたのかミツルは泥酔した。

目を覚ますと見知らぬ天井があった。
喉がひどく傷む。
「おはようございます」
アヤの声だった。

ホテルか!?

アヤが上から覗き込んでいる。
「どこ?」
「覚えてないんですか? カラオケですよ」
「うん?……ああ、そういえば、なんかが上手いからとかで行くことにしたんだよな」
「ええ」
「どれくらい寝ていた?」
相変わらずアヤを見上げながらしゃべっていることが不自然だがどのタイミングで膝枕から脱出するべきか悩んでいた。
「1時間くらい……」

嘘だろう。

「ごめん。てか、ありがとうかなぁ。でも、やっぱりごめん」
「気にしないでください」
「気にするわなぁ」
そう言ってミツルは起き上がった。
「本当にすまなかった。今何時だ?」
「5時半くらいです」
「うわー。マジで今度穴埋めす……るわ」
「いや、いいですよ。楽しかったし、好き勝手に歌ってたんで」
「そう言われてもなぁ」
「じゃあ、今度スクヘブで1杯ください」
「……別の店にしないか?」
何かを感じ取ったのかアヤは「そうですね。じゃあ美味しいものごちそうしてください」と、少しいたずらっぽく笑ってそう言った。
少し高くつきそうだが、店でこの展開を詮索されるくらいなら安いものかとため息を吐き出さずに笑顔を作って「まあ、そんなに高い店じゃないけどそれで許してよ」とおどけてそう言った。

| Scrap Heaven | 02:21 | comments(1) | - |
等価交換?
オタクの女友達が欲しいだいです。てか、友達って何味?え?色なの?危うく恥を書くところじゃったよー。

もうね。眠い以外のなにものでもない。最近は仕事が遅いし、アプリで遊びすぎだしで日記書く時間がないよ!
あとバサラ3宴とか。
撮りだめた番組が1週間分丸々たまり続けたり。もう。疲労困憊ね。生活の至るところにゲームが潜みすぎていて。

そんなこんなで妄想とかしてられへん!ホンマえらいこっちゃで!
なにが?

そんな中なんかニュースないかなぁと思ったらたまに行くバーのバーテンダーが世界一になったよ。少し前のことだけど。
職場で休憩時間にNBA(日本バーテンダー協会)のホームページ見たら「速報!世界一になったよ」みたいなこと書かれていてマジで軽く興奮した。

彼が地区大会から出してきたカクテルについては大会前に必ず飲んでいた。
「よかったら大会に出すカクテルどうですか?」
たまたま地区大会の開催の近くに店に行ったときに何を飲むか考えあぐねていたら、そう言われた。
実のところ大会向けのカクテルは苦手だ。
基本的に一口しか飲まない審査員のために複雑で強めの味わいと腰を出すためのアルコールの強さが中盤以降しんどくなるからだ。

しかし、さすがはプロで横浜で日本一になる期待をされていただけのことはある。

やや重さはあるがそれでも最後まで飲ませる力は抜群だ。

日本一なったレオンは素晴らしいカクテルだと思う。
このカクテルも全国大会の前に飲んだ。
このカクテルは飲んで大会にこんなバランスのいい状態で出すのかといぶかしんだものだ。

彼はこの年アジアチャンピオンにもなってる。出場資格は前年度全国二位。まさに破竹の勢いで世界大会へ向かう。

ちなみに前年の横浜カクテルコンペディションの優勝者のカクテルも事前に飲んでいる。
「日本一になる前に飲んだんだよ」
「じゃああやかってもいいですか?」
「そんなんで役に立てたるならいくらでも」
試飲する。というか普通に金は払うけどね。
「美味いけど大会向けじゃないな。あと一味あるといい。少し重厚感を出すといいね」
「山田さんにも同じこと言われました。調整段階なので少し控えたんですけど増やしてみます」

で、横浜チャンピオンになった。
いやはや。こうなるとという感じでアジア大会の前に行き、世界大会の前にも飲みに行かなくてはならないと思い至る。

実力だろうけど運がないよりはある方がいいだろう。それくらいの話だが一助となれば幸いじゃないか。

おいらがその分運を減らしたって構わない!
明るい話題が増えればいいじゃないか。

そして、彼は優勝して、おいらは女友達と仲たがいし、担当業務じゃないもの担当になりその業務の影響で残業祭りになり、果てしなく治らない風邪をひいて、激太りして、携帯を閉じるとなぜか電源が落ちて再起動するという憂き目に遭っている。

ストップ!アンラッキー!
| 携帯 | 01:21 | comments(0) | - |
さよなら、さゆりさん
さゆりさんとの出会いは10年前……いや、9年前のちょうど今ごろの季節だった。
あの頃より少し温暖化は進んだかな?
暑かったり寒かったりして嫌になるよ。
そして洒落にならない災害も起きたこの年にきみはいなくなった。

あの日と変わらない姿できみはただ物言わぬ姿になった。前から少し調子が悪そうだったから心配していたけど、前にもやばいことがあったから今回も大丈夫だとおもったけど二回目の奇跡は起こらなかった。

誰かが言ってた。
「奇跡は1回しか起きないから奇跡なんだよ」
そうだ。ぼくはあまりにも奇跡を信じていた。叶わないものが叶うから奇跡であってそれにすがれば盲目に宗教にはまる人間と変わらない。
変えようのない出来事をただ一度の奇跡を信じて。

たゆまない努力のもとにしか結果は訪れない。何かしたか?ボクは何かしただろうか。
ただ漫然と彼女が動かなくなるのを見ていただけじゃないか。

3年前に一度死にかけた時だって本当は彼女は死にたかったのかもしれない。無理矢理延命させたにすぎない。ボクはボクのエゴで彼女を助けてしまった。

死にたがっていたのかもしれない。ボクに彼女助ける権利や義務があったのか?

有り体に寿命と言って切り捨ててしまうべきではなかったのか。生まれてすぐに終わるものもいる。事故や病気だって寿命と言えるのではないか。

それならあの時……

言っても栓なきことだ。ボクにはあの時そうすべきだと思っていてそうしてしまったのだから。

だから最期の時まで彼女に付き合うことにした。
あの時元気に見えたのに目をそらした瞬間気づかないうちに彼女は最期の時を迎えた。

ヒルクライムじゃないが何度季節を越えたろう。
思い出をあげられることはない関係だったけどいつも側にいてくれてありがとう。

もう無理はしなくていいんだ。
謝ることしかできないけど、君かいてくれて本当によかったと思うよ。
ごめんだけじゃ足りないからちゃんと感謝とお別れを言うよ。

ありがとう。
本当にありがとう。

そしてさようなら。
さようなら。さゆりさん。

ボクのVAIO。

(車に名前つける人の心境で自分のパソコンが壊れた話を書いてみました)
| 携帯 | 22:37 | comments(1) | - |
ほら話「左側」

 友達の友達の話。
その人は霊感が強い方ではないらしいのだが、怪談やその手のテレビを見聞きすると本物が絡んでいる場合サインがあるそうだ。
この手の番組は大抵悪霊関係なので良くないものが近くにいるのだと感じるときはサインが必ずあるみたいでそれを感じると「ああ、これは本物だなぁ」と思うそうだ。

実際にそのサインがあるだけで見えたり聞こえたりするようなことはない。
ただ、サインがあるだけなのだという。
再現話のドラマでもそれはあるそうだ。

例えば感動するような亡くなったお母さんの霊が助けてくれたとか、作り話の時はどんなに怖くてもそれは感じないが、大して怖くなくても、本物が関与していると左肩が重くなり痛みがでるそうだ。
重くなるので肩こりが悪化したような印象だという。
元々肩こりが酷い人物なので座っている姿勢が悪いのかな?と最初は思っていたそうだが、どんな体制になっても痛むのは左肩ばかりなのでどうやら姿勢のせいではないと気がついたのだという。

なので、サインだと気がついた。
これは何かあるときに痛みが出るのだと。
左肩越しに月を見るのは不幸になるというジンクスが西洋にはあるので、左肩に負荷がかかるのは悪い霊の象徴ではないかと思ったそうだ。
不幸と悪霊を一緒にしてはいけないが霊感のない人間からすれば似たようなものなのだろう。

更に彼は大変に験を担ぐタイプなので子供の頃に知り得たその左肩越しの話を聞いてからは、極力左肩越しに振り返ることがなかった。
すでに右から振り返ることが癖になっていた。
子供の頃からなので本人も今となっては無自覚に右から振り返るのが普通になっていたという。
たまに姿勢が左から振り返る方が自然な場合があるときに限って左から振り返るが基本的には右から振り返っていた。

夏のある日録画した怪奇現象の再現ドラマを昼間に見ていたそうだ。夜に飲み会があるのでそれまでの時間つぶしだった。適当に携帯をいじりながら流し見をしていた。
いつものように怖い話が続き亡くなったおばあさんだかお母さんだかが助けてくれる話になった。
普通この手の話なら肩は痛くならないはずなのだが、その日見たものの中では一番重く感じた。
だから、今までの悪霊を感じていたというのは勘違いではないかと思った。
ドラマはめでたしめでたしのような話でハッピーエンドを迎えた。

暫く左肩の重みはとれなかったが、飲み会があるので出かけて夜遅くに帰宅した。
左肩の重みはすっかりなくなり友人との飲み会でそんなことも忘れていた。
ずいぶんと酔った。自分の呼気に含まれる酒の香りでもう一度酔いそうだった。
コンビニで翌日の朝食と飲み物を少し買ってマンションについた。

同じマンションに6年住んでいる。入居したときは新築だった。

最近管理人の手抜きなのか廊下が汚れていたり、廊下の電灯が切れてたりしていることがあり、この日はエントランスに入ると電灯が明滅していた。
オートロックの鍵穴に鍵を差し込み解錠すると何事もなかったかのように開いた。不思議な話だが何故か開けてはいけない気持ちになった。
開いた自動ドアから流れてきた空気は外に比べて少し冷たい気がした。

エレベーターホールで上矢印のボタンを押す。
左肩が重くだるい。痛みはないのでストレッチのようにグルグルと回してみた。
少しはマシになったが違和感は変わらずに左肩にあった。

地下からエレベーターは上がってきた。
小さく電子音を立てて到着を知らせる音が鳴った。
ゴトンと重たい音がしてエレベーターのドアが開く。
中には誰もいなかった。
コンビニの袋を持った右手でそのまま5ボタンを押す。
「閉」のボタンを数回押した。
反応よくすぐにドアは閉まった。
そこである違和感に気づく。B1のボタンがない、
そうだ。この建物に地下階はない。なのに今、地下から上がってきたように見えたのは何故だろう。
酔っているのか?そう思った。

11階建てのマンションに着いているエレベーターだからそれほど早くはないが、遅くもない。
階層が上がる度に肩の違和感は増して行く。目を瞑って左肩を回す。
そろそろつく頃だと思い目を開くと4階と5階の間を通過するところだった。
そのとき大きく息をのんだ。
階層の間は暗い闇が広がっているため鏡のようになる。
そのエレベーターの窓ガラスを見たときに自分の左肩越しに一瞬だがぼさぼさの長い髪の女が映っていた。
いや、たぶん女だろう。女だったと思う。ちゃんと顔は見られなかったのだが女だと思った。
5階につくとエレベーターのドアが開いた。
早く降りたいが降りるとそれも一緒に降りてきそうで怖かった。
しかし、このままエレベーターに乗ったままではどうなるかわからない。地下に連れて行かれるかもしれない。

恐怖に駆られて閉まる直前に飛び出した。
廊下の電灯は所々消えている。気のせいかもしれないが暗がりには何かが息を潜めているような気がした。
夏だというのに鳥肌が立つように寒い。
背後で扉が閉まりエレベーターが下に動き出す。
その気配を感じて左側から振り返りそうになったときあり得ないほどの力で左肩を握られたような痛みが走った。思わず目を瞑る。

目を開けたときには既にエレベーターは下に降りていた。
1階で止まった。地下から来たのは錯覚だったのだろうか。
左肩は痛むが自分の部屋に早く帰り着きたい。

その思いだけで部屋の前にたどり着いた。
マンションは自体がL字の建物で彼の部屋は一番奥だった。
L字の折れているところを中心がエントランスで左右に伸びている。
一番奥の部屋のドアはどん詰まりのような位置にあり他の部屋の扉に対して直角の位置にある。
部屋の前の電灯が消えていた。
鍵穴も見るのは難しいが6年も住んでいたらなんとなく位置はわかる。
慌てているのかなかなか入らない。
闇の中で何かが居るような気がするので焦りだけが募ってゆく。
ガチャンという音を立てて鍵が開いた。
ドアノブは右手で開けるような位置にあるからコンビニの袋を左手に持ち替えて右手で扉を開いた。

ガチャン

背後で大きな音がした。
恐怖に支配されている彼にとってはどれほどのプレッシャーだっただろう。
思わず彼は振り返ってしまった。

左肩越しに。

右手でドアノブを持っている都合上そう振り向かざるを得なかった。
そしてそこにはそれがいた。

エレベーターの中で見かけたぼさぼさの髪の女。
髪の間から見える濁った瞳は焦点が合っていない。
くすんだ皮膚も生きている人のそれとはまるで違う。
もうダメだと思った。
隣の住人がこっちを怪訝そうに見ていることに気がついた。
彼はそのとき隣に誰が住んでいるのかを初めて知った。
隣の住人は女だったから視線の先が自分に向けられていることを不審に思ったのだろう。
実際には隣人の先にいる形容しがたい何かだった。
引きつった顔で自分の方を見ている人物を不審に思わないわけはない。
隣の住人に視線が動いたときそれも一緒に動いた。

そして、そのまま隣の部屋に入っていった。
それはまるで煙が風に流されるようにふわりとするりと動き隣の部屋に入っていった。
彼は隣の住人に何か言おうとしたが、隣の住人は彼を気味の悪い隣人ととらえたらしく足早にエレベーターの前に移動した。

彼はなにも言えずに自室に入り扉を閉めた。
そのままトイレに行くとその日口にしたもの全てを吐き出した。
正直助かったという思いと隣人に何かが起こるのではないかという不安からだった。

その日は一睡も出来なかった。
壁の向こうからやってくるのではないかと不安が心を締め付けた。
そして、隣人の身に何かが起こるのではないかという心苦しさからだった。
結果としては遅くに外出した隣人はその日は帰って来なかった。
翌日彼は不動産屋に行って即日入居可能な家を探した。
少しでも遠くに行こうと別の町の家を探した。
引っ越し先は程なく決まり彼はそのマンションを出ることになった。
家に帰るのは怖くてホテルに引っ越しの日まで泊まることにした。

それから友人に電話をしてことの顛末を全て話した。

彼は無事に引っ越しをすることが出来たのだが、引っ越してから彼の消息が不明になった。
引っ越し荷物もろくに解かれないまま彼はいなくなった。
部屋には無数の長い女の髪の毛が落ちていた。

あの日肩が痛くなったドラマの内容はいわく付きの物件に越したが祖母の霊によって助かったという話だった。
彼が反応したのはその悪霊で悪霊が彼を呼んだのだろうか。
そして、彼の祖父母は健在で彼を救う霊は現れなかったということなのだろうか。

| ほら話 | 00:58 | comments(0) | - |
ヴァーチャル?
世紀末覇王だいです。世紀末っていつだ?

いやー本当にせっくすってどんな行為でしたっけ?
てか、それ自体がリアルに存在するのかさえ疑問です。
いま出ているAVってぜんぶCGでしょ? 違うの?
てか、あれで興奮する理由ってなに?

裸の男女が出てきて男が女の胸を揉んだり舐めたりすると女の人が「あん」とか言ってるうちに、女の人のパンツの上から股間をまさぐると「あん」とかいうでしょ?
それでパンツに染みが出来るまで大抵いじり倒して、そこから脱がせて直接股間いじると男の人の手がべとべとになるくらいいじり続けるんだけど「だめ、いく!」とか「ああああああああ」とか言うんだよね。

で、大抵そうなったら勃起した男の股間を女の人が舐めるわけ。
むしろしゃぶるんだよね。
それが終わると「早く入れて」みたいなことを女の人が言って股間に男の人が勃起したそれをいれるわけですよね。

そうすると女の人が「気持ちいい」とか言うんだけど大抵困ったような辛いような顔しているんだよね。
だからあれって絶対女の人気持ちよくないけど我慢しているんだって思うんだよ。
だって、粘膜いじられて気持ちいいわけないじゃん。
眼球とか触られたらもうダメでしょ?てか、触らせたくない。
傷口だって痛いし。一応最初から開いている穴だからいいのかもしれないけど、でも粘膜だよ?
それあんなんでこすられたら普通痛いでしょ。
口だってサイズがある程度小さいものを入れるから別に問題ないわけで、過度に大きなものだったり暑いものとか冷たいものとか入ったら苦痛なわけでしょ?喉なんてすぐに痛むし。

だから、よく鍛えられた女優だけが歩むことができる道ですよ。
しかも演技が求められるからAV専用の女優ってことでAV女優って言うじゃないですか。
それで納得できましたよ。
彼女たちは子供を増やすために政府が仕組んだ忍耐強く演技に長けた女性であるってことでしょ。
つまり国家の子作り政策ですよ。
子供手当とかなんとかじゃなくて若者の性的な情動を揺り動かすプロパガンダです。

だから、普通にせっくすしたら男の子とかびっくりするんじゃないかと思うんだよね。
たぶん粘膜が引きつられて女の子痛いとか言うと思うので。
なのでAVで必要以上に濡らしてみたりするシーンが多いんですよね。
そうしないと痛いことになるので。
十分濡らしてね。みたいな。

でも、そう考えると粘膜いじられて気持ちいいことなんかないじゃない。
なんでするのかなぁ。
ああ、そうか。出産するときは痛いって言うものね。
それの予行練習だ。こんなの比じゃないくらいに痛いよ。だから指や男のそれでなんかでめげちゃダメだよと言う話か。なるほどね。

でも、ちゃんと見るとわかるんだけど、実際には最後女の人の口に出すじゃない。
だから、妊娠させるには口に出さないとならないわけ。
そうなると途中でしゃぶってもらうシーンで出しちゃえば良いんじゃないかと思うんだよね。
ただね。そうすると言われちゃうんですよ。

「早漏」って。

たぶん口の中は相当気持ちいいので、すぐに出ちゃうから女性の出産の儀式に付き合うために男はわざわざしなくちゃいけないんだと思うんですよ。

だから、基本的に愛がないと出来ない行為なんだと思うんだよね。
相手のつらさをちゃんと理解しないとならないから。
うん。そうですよ。
愛のない行為は寂しいです。悲しいです。

だから、誰とでもなんて思っちゃダメだよ。

ちゃんと好きな人としよう。それまでは童貞だって処女だっていいじゃない。
格好悪いなんてことはないよ。若い頃の格好良いなんてことはよくよく見ると軽薄だったり軽率だったりでそれをスマートなんて呼んでいたことを大人になると赤面することや後悔することの連続なんだから。

ちゃんと好きなるってことは相手をちゃんと見ることが出来て初めて言えること。
お互いに向き合えて視線を逸らさずに相手の良いところも悪いところも全部理解して理解してもらうことが出来ること。

人は自分を理解してもらいたい生き物だから、上っ面を理解してもらっただけで喜んだりするけど、本当は悪いところも理解して欲しいんだよね。そしてそれをどうやって受け止めたり変えていくか。
変わることはいいことだよ。怖くない。生きると言うことは変化の連続だからね。変化がなくなるということは死んでしまうのと相違ないんだよ。
だから変化は受け入れよう。
そういう変化を受け入れ昇華していくのことが出来る人との関係が愛なんだと思うよ。

きみたちの周りには愛があふれているけど、子孫を残しても良いほどの関係性は滅多にない。
生きるために選ぶのだから。

で、俺もそろそろてかいい加減親になっても良いかなぁて思ったのね。
うさぎドロップとか全開ガールとか見ていて。
とりあえず、子供だけでもいいかなぁって思ったんだけど、なかなかそんな展開にもないらないし、やっぱりちゃんと作らないとならないのかなぁって思ったんだよね。

でも、女の人の困ったような辛そうな顔見るのがちょっと気になるので、口の中に出すだけにします。
そうしたら子供出来るしさ。
うん。そうしよう。
え? それはふぇらちおっていう行為なの?
じゃあ、ふぇらちおだけで満足してくれる女の人募集します。

うん。今日もおいらは屑だ。


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| 駄文 | 23:10 | comments(0) | - |
ほら話「医務室」
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 友達の友達の話です。

ある日の金曜日。
毎日の残業と上司とのつきあいの飲み会で疲労がピークに達したらしく友達の友達(仮にYさんとします。)は、どうしても眠くなって机でもうつらうつらするので、どうせ今日も残業だからと同僚に声をかけて医務室に行ったそうです。

医務室と言っても名ばかりの週に1回産業医が来るだけでものだったようです。
一応薬棚のようなものはありますが、鍵は産業医が持っているので勝手に取り出すことは出来ず、そのため休息するための仮眠室のようなものだったようです。
産業医は毎週水曜日の午後だけ来るのが通例なので、この日は誰もいません。
いるとすれば仮眠目的の人くらいなものです。

自社ビルですが古いビルで4階建ての2階の西側に医務室はあったそうです。
一応エレベーターはあるのですが、遅いし積載量も少ないので大抵の人は階段で上り下りをすることが多かったようです。

Yさんも疲れてはいましたが待つのが面倒で階段を使って3階から2階に降りていきました。
医務室の近くには会議室しかない構造だったそうです。

医務室に入ると夕方の割には温度が低いくらいで一瞬身震いしたそうです。
全館空調で発熱するものがほとんどないからこんなに冷えているのかと思ったそうです。

ベッドは3つあったそうです。
一番奥のベッドは誰かが使っているのかよくある医務室のようにカーテンで仕切られていました。
一番奥のベッドは窓に近いこともあるので、うっすらと人がいるようなシルエットが窓から差し込む西日でわかったそうです。
そうなると真ん中で眠るのも隣が気になるので間をひとつ空けて入り口に一番近いベッドで眠ることにしたそうです。

当然カーテンは閉じますが、カーテンレールはL字なので、入り口側と足下までしか来ません。
隣のベッドの方は丸見えで、それも気持ち悪いからと隣のベッドのカーテンも他人から見られないように真ん中のベッドのカーテンを足下の手前まで下げたそうです。
少しだけ隙間ができましたが窓から遠いこともあって光は遮られたように思えたそうです。

おかげですぐに意識を失うように眠ったそうです。
そのとき隣のベッドに誰かが来たような気がしたらしいのですが、襲ってくる睡魔には勝てなかったそうです。

それからどれくらい経ったかわかりませんが酷く寝苦しくて目を覚ましたそうです。
全身汗まみれで目を覚ましたそうです。
先ほどより薄暗くなっていて部屋の温度は相変わらず低いままだったそうです。

寝汗の意味がいまいちわからないまま、ふと視線を感じてそちらを見ると隣のベッドとこちらのベッドの足下の方のカーテンの隙間から覗いている顔が上下に並んで2つ見えたそうです。
隙間から見ているので顔は半分しか見えません。
上の人は右側だけが見えて、下の人は左側だけが見えたそうです。
髪の長い女性だったようです。
充血したように赤い目でじっとことらを睨むように見ていたそうです。

バチン

上の方から金属が飛ぶような音が聞こえたそうです。

バチン

もう一度。

音のした方向がわかったのでそこを見るとテニスラケットのトップよりも大きな手が隣のカーテンの上部をつかんで下に引き下げようとしていたのです。
見たこともないような大きくいびつで節くれ立った泥のような色の肌をした手がカーテンを引きちぎろうとしてそれに耐えきれなかったカーテンレールの金属部分がはじけ飛んだ音だったようです。

逃げ出したかったのですが、足下の方には覗き込んでいる女性がいます。
もう一度そちらを見てYさんは気を失ったそうです。

上下に見えた顔はよくよく見ると同一人物で上下とも顔のない方はただ空間が広がっているだけだったからです。

目を覚ますと既に日は暮れていたそうです。
隣のカーテンは何事もなかったかのように普通にそこにあり、足下を見ても誰もいません。
Yさんは怖かったのですが、思い切って隣のカーテンを開けました。
そこには誰もいませんでした。
誰か板気配さえなかったそうです。
ふっと息を吐いて安心した時のことです。

ガシャン

一番奥のベッドのあるところから音が聞こえたそうです。

街灯に照らされて浮かび上がったのは無人のベッドが宙に浮き落下するというものでした。
最初はゆっくり落下していたものが、持ち上げ叩き付けるように激しくなったそうです。

ガシャン
ガシャン
ガシャン

それに反応するように室内の机や薬棚がガタガタと揺れ始めたそうです。

さすがにYさんは怖くなってベッドから飛び出して着の身着のまま会社を飛び出したそうです。それまでの間は一度も振り返らなかったそうです。

運良く正門は開いていました。

ゼイゼイと荒い呼吸で会社を振り返ると、ほとんどの明かりが消えていてそうです。

ただ、明かりの消えた会社の窓の全から真っ赤な目がYさんをじっと見つめていたそうです。

友達はこの話を聞いてからYさんとは会っていないそうです。
というか、行方不明になったそうです。

そして、友達からこの話を聞いてからうちのカーテンの隙間から赤い目が見えるようになりました。

あなたは大丈夫ですか?

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