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もすこみゅーるだんでぃー

だらだら垂れ流しています
よろしく
JUGEMテーマ:日記・一般

 下痢ばかりのだいです。もう止まりません。

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

今更ですが新年の挨拶です。
言っちゃいけない人もいるかもしれませんけど、ここ見ているの最近はれいらくらいでしょうから大丈夫ですよね?

一応新年ですし一年の計は元旦にありなんて申しますから……元旦も糞もないですね。
うーん。書くことがない。

今年の目標も「変わらない」ですからねぇ。
進化はいいことですが変わらないで居続けることも重要です。
「ああ、ここはいつ見てもなにも変わってないなぁ」と思われるのは、相手が自分を見つめ直すのに必要な存在であると漫画のバーテンダーに書いてありました。
確かにそうだと思います。

基準になるものがあると自分がどれだけ変わったかを知ることができます。
成長した自分を見つけることもできます。
何かあって落ち込んだときに変わらないこと見つけると安心できます。

ドリフのコントと同じですね。ドリフ自体が既にないので変わりようがないですが。
あ、調べたらまだやっていたようです。すみません。
いかりや長介が亡くなったら終了だと思ってました。

まあ、面白みを感じないので見てないので書いてみたものの意味がありませんでした。
面白みを感じないというのも田舎との共通点ですね。
あと見たくないという意味では故郷に辛い過去しかない人と同じでしょうか。
同じものにするなというお叱りの言葉が聞こえてきそうですね。
どっちがどっちに対してかわかりませんが。

冗長で書くのはいつものことなのですが、とりあえず、内容はなくても1月に1回くらいの更新をしなくてはならないという強迫観念に駆られているので無理矢理書いています。

誰も読んでないので更新する必要ないのだろうけど。
ああ、そうか。誰も読んでいないというところが、毎年の目標の変わらないというところに合致するのか。
とほほん。

いつもよりも短かったので最近始まったドラマの感想を1話を見た時点で書きます。

平清盛
出家しても偉い人の性欲は強いんだなぁと思った。さすがタフマン。
某知事から汚いと言われたがそうかなあ?と思いました。武蔵も似たり寄ったりだったと思う。
とりあえず、2話まで見たはずですが毎回酔って見てるので記憶がありません。
江よりはいい。でも、大河だなぁ。

運命の人
もっくんの胴体ってあんなに太かったっけ?
やっぱり力(権力)のあるイケメンってもてるんだなぁ。どっちかあればもてそうだけど。
雨の日の情事の後が葉っぱから雫が落ちる朝って演出が古い。これは時代設定が古いからですか?
1話目でどろどろした展開になったので気分が重いから見るかどうかは考えよう。
この時間帯は戦後をやるのが好きなのか?

ステップファーザーステップ
TBSが時代劇の代わりに出した結論がこれです。
水戸黄門を終わらせる理由もよくわからない。
2時間ドラマで終わらせてもよかったのでは?
見られるときに見られたらいいなーくらいの継続視聴気分。
切り捨て候補。

ラッキー7
松潤が浮いている。
瑛太の体がすごい。女性に対してのサービスカットか?
脱恋愛路線の月9らしいから女性を掴まえるためにそういうサービスですかね。
ファーストカットに出てくる女の背中がエロくてよかった。
なんだかんだで善人の松潤が周りを変えていくというような有り体な話で進行するのだろうと見える。
メガネの女子が出ていたのでとりあえず継続視聴。

ストロベリーナイト
間違いなくあんな風に人は死なないだろうが、そこはドラマとして割り切ろう。
2時間ドラマもとんでもでしたが、これからもその路線ですね。
真木よう子、篠原涼子、竹内結子。刑事役でこいつらが着ている白シャツがなんとなくエロを感じさせるのは病気でしょうか。病気ですね。
病気が進行しているのか白シャツが見たいので継続視聴。

ハングリー
向井理が最初からシャワーを浴びているという一部女子のためのオープニング。
稲垣吾郎は悪役しかやらなくなったの?
ドラマの仕立ては酷い部類だが、料理が見たいので継続視聴。

孤独のグルメ
友達から「だいさんっぽい人が出てるドラマ」と言われて見たが、主演は松重豊で見た目は似てもにつかない。キャラクターもおいらはそこまで奇抜じゃないけど、食に対するスタンスが似ているという意味かな?
まあ、情報収集のために見る。(食的な意味で)

ダーティママ
タイトルはダーティーハリーあたりのパクリかな?
永作ってあんなにエラ張ってましたっけ?
内容が土曜の9時です。水曜10時ではないよね。
とりあえず、見ないことにした。

最高の人生の終わらせ方
山ピー(伏せ字)滑舌悪いなぁ。ジャニーズは敵に回したくないので。
あと前田敦子って最初わからなかった。地味すぎる。元からだけど。演技下手?
なんでトップなのかごにょごにょ。
榮倉奈々が刑事役で白シャツなので継続して見ることにした。

聖なる怪物たち
怪物くんを彷彿させるようなタイトルですが、医療ミステリーですね。
登場人物が主人公以外後ろ暗かったり壊れていたりでどろどろの予感がバンバンします。
ミステリーだからポップすぎても困るのだけど。
中谷美紀が美人と言うよりは無表情では虫類にしか見えない。怖い。
とりあえず、話がいい意味で酷くなりそうなので継続視聴。

最後から二番目の恋
中井貴一が主演かと思ったら小泉今日子だったのね。
しかし、老けたなぁ。キョンキョン。
真っ赤な女の子から紫色の女性に変わった気がします。
内田有紀のぼさぼさ頭がちょっとかわいいと思う変態だと気がついた。
恋愛というよりホームコメディとして展開して欲しいなぁ。
とりあえず、継続視聴。

恋愛ニート
うーん。確実にどろどろするでしょ。これ。
爆笑問題の田中は実際に猫好きなのでそのままのキャスティングだなあ。
仲間由紀恵がずば抜けて美人なので他の女性たちがどうやって恋愛に絡んでくるのか微妙だ。
仲間由紀恵の演技も微妙だ。苦手なのかなぁ。しゃべり方が。
佐々木蔵之介はプライドが高い男の役ばかりだなぁ。
継続視聴は微妙。

13歳のハローワーク
松岡君ってかっこいいけど横から見ると正面の方が絶壁ぽく見えるよね?
こうバブル時代を懐古するようなのはどうなんだろう?
タイムパラドックスは起こらないという辺りが斬新。
松岡くんも演技の幅が狭いような……いや、かっこいいんだけど。
ドラマの全体のオチは何も変わらなくて今の自分が努力してどうこうとか、バタフライエフェクトのように過去を元に戻すと言う辺りかなぁ。
とりあえず、見ないです。

理想の息子
これは最初から見てない。

とりあえず、こんなところかなぁ。

よし、無駄に書いたしこんなところで、今年もダラダラと垂れ流していきます。

| 雑記 | 00:36 | comments(0) | - |
side B25
JUGEMテーマ:小説/詩

 「明後日は来るの?」
12月22日の深夜にミツルはサキからそう尋ねられた。
「残念ながらその日は予定があるんだよ」
「そう。気を遣って損したわ」
「似合わないことするからそうなるんだよ」
「そうね。あんたに気を遣うなんてバカだったわ」
「そう自分を責めるなよ。おれだって予定があるなんって思ってもみなかったんだから」
おどけた調子でそう言うといつものようにウオッカアイスバーグを一口含んだ。
「確かに予定があるあんたが悪く思えてきたわ」
「助けなきゃ良かった。ところで、24日に来ると何かあるのか? プレゼントとか?」
「そうね。時間を潰すことができるなんてプレゼントがあるけど?」
「それは今ももらってるだろ」
「じゃあ、ほぼ毎日プレゼントを与えてるってことになるのかしら?」
「それなりの対価は払ってるだろ」
「そうね。それなりの対価よね。それなりの」
サキは「それなり」の部分の語気を強めてそう言った。

「サキ」
マスターの穏やかなバリトンボイスがサキをたしなめた。
名前を呼んだだけだが含まれる音の響きにそれがあった。
掛け合いはいつものことだが、新しい客が居るときにこの掛け合いは内輪すぎて引く可能性が高い。
だから客が誰もいないとは放置するが新規の客が居るときは、適当なタイミングで嗜める。
サキが叱られるとミツルは引く。
ミツルの察しの良さがわかっているからマスターはサキを嗜める。
それで十分だった。

ミツルはそれを契機に帰ることにした。
なんとなくタイミングとしてはそれがベストのように思えたからだった。
それに下手にサキにつっこまれるのを避けるためにはそれでいいように思えた。

そして、クリスマスイブになった。
ミツルは片瀬江ノ島の駅を降りた。
ちょっと張り切りすぎているくらいの女がいて声をかける。

「よう。ナタリア」
「おはようございます。その呼び方辞めてくれませんか?」
「ははは。そんなことより服装若干クリスマス仕様だね。似合ってるよ」
全体的に黒っぽい色が流行の中でもこの日だけは赤が女子の間では利用される。
そういうのは嫌いじゃないが好きでもなかった。
「ええ。せっかくですし」
「しかし、連休の中日だってのになんで片瀬江ノ島はこんなに人がいるんだ? 8割は江ノ水目当てか?」
「でも、江ノ島にも行けますよ?」
「そうだけど。まあいいか。とりあえず、飯に行こう。帝国ホテル上がりのシェフがやってる安いフレンチが近くにあるからそこに行こう」
「はい!」

片瀬江ノ島の駅から近くにその店はあった。
ナタリアは本日のランチを注文してミツルは魚のランチにした。
クリスマスらしく本日のランチは鶏のもも肉のコンフィだった。
魚は鱈のムニエルでケイパーを使ったバターソースが特徴の一品だった。

「今日は限定でグラスシャンパンもご用意しています」
「じゃあ、それを二つ」
ミツルはなんとなく注文してから少しだけ流れが問題のある方向に流れ出してきているような気持ちになった。

クリスマスイブに狙ってもいない女と二人で過ごす羽目になったのは、11月の下旬に世界大会で優勝したバーテンダーの店になんとか祝いに行った後ほろ酔い気分でばったりナタリアこと成田アヤに会ったことに起因する。

「あれ? 剣崎さん?」
「おーナタリア。これからスクヘブか?」
「どうしようかなぁって思って。ちょっとお腹も空いているけど今日シンゴさん休みでしょ?」
「そうか。じゃあ、なんかそこらの居酒屋に付き合ってやるよ」
「え? いや、大丈夫ですよ。リンガーハットとか行きますし」
「なんだよ。じゃあ、イタリアン行こう。パスタにしろ。パスタに」
アヤは押し切られる形でダイニングバーに近い形態のイタリアンに二人は行った。

ミツルはワインをボトルでオーダーしチーズの盛り合わせでダラダラと飲み始める。
始めてくる店でミツルと二人きりなことにアヤは少し緊張していた。

「適当に飲んでいいよ。まあ、常連面できるほど来てる店じゃないから、その辺は察してな」
「え。あ、はい」
上司と部下という感じに見えるかもしれない。
必要以上に敬語のアヤとフラットすぎるミツルは見た感じは恋人でもおかしくないが、空気感が上下関係を醸し出していた。
もちろんアヤが一方的にその空気を作っているのだが。

店内のディスプレイがどこかクリスマスムードになっているのに気がついてアヤが口を開いた。
「すっかりクリスマスムードですね」
「そうだなぁ。まあ特に関係ない行事の一つだけどな」
「今年も女子会ですよ。あれに出るとなんか負けた気がするんですよねぇ」
「そうなのか? じゃあ、なにかするか?」
「え? あ、えーと、じゃあ、お願いします」
少し照れたようにアヤはそう言ったのでミツルは少し訝しんだ。
「じゃあ、なにかしたいことはある?」
「えーと、水族館とか行きたいです」
「水族館?」

このときミツルは自分の言葉の足りなさを呪った。
「じゃあ、いつもの店で常連集めて何かするか?」と別口でパーティーを開くことを想定したつもりだったが、このタイミングで男が女を誘うとなればデート以外のなにものでもない。
しかし、気付くのが遅かったのとアヤを傷つけないようにするためにミツルは「水族館ねぇ。江ノ島水族館だと月9でやってたからなんかあったような?」とはじめからそのつもりだったように演じた。

そして現在に至る。

フルートグラスのシャンパンを一口含むときに天を仰いだ。
がっちりクリスマスの展開になりつつある。
昼だからさすがにムードはない。とは言いつつもこの先の展開を考えれば、相手が自分のことを心底嫌いじゃなければ、普通に急造カップルのできあがりまで行く自信はある。
それ故にミツルは敢えて店の予約をしなかったし、意味がこもらないようなプレゼントを選んだ。
不機嫌にならないように上機嫌にならないように努めた。
クリスマスイブに何をしているのか。

新江ノ島水族館は不必要に込んでいた。
当たり前だ。クリスマスで特殊仕様のイベントであふれかえっているし、八景島よりも安くてフレンドリーだ。庶民派水族館といえるのかもしれない。
すし詰め状態の水族館でも幸せムードが空間を支配していた。
それ自体は悪いことではないがミツルにとっては少し疲れる空間だった。
幸せになれていないとかそういうことではない。ただ、まわりの空気に圧力のようなものを感じた。
幸せを演出するというような感覚を感じていた。
幸せは悲しみと違って演出でいくらでも生み出せる。だからこの空間の演出された幸せの雰囲気に圧力を感じていたのかもしれない。
ミツルはぼんやりとクラゲの入っているグラスのツリーを眺めていた。
多くの人が写真を撮っている。アヤも携帯で撮影していた。
クリスマスカラーのライトに照らされたクラゲがゆらゆらと大型水槽で揺れていた。
喜んでいるカップルを画面越しに見ているような気分で眺めていた。

こういうところに来るとミツルは世界から隔絶された気分になる。いや正しくは自分から世界に線を引く。
逃げているだけかもしれないが幸せになる資格を拒絶している。いつか来る不幸を恐れているだけと言われたらそれまでだがそれでもミツルはそれを許容しがたいと考えている。
純粋にクリスマスの空気を楽しんでいるアヤを漠然とした不安とちりちりと焦がすような嫌悪を感じている。

繰り返す。ただ繰り返す。
「嫌うな。嫌うな。嫌うな」
繰り返す。ただ繰り返す。呪文のように。

「剣崎さんもどうですか?」
「ああ……いいよ。おじさんは人ごみ苦手だから」
「きれいですよ」
「……そうか。じゃあ見に行くか」

やや押し切られる形でミツルはクラゲやイルカのショーを見ることになった。
はしゃぐアヤを見て普通にかわいいこだなと思ったし、当たり前のクリスマスの幸せを受け入れていた。

夕方になり二人は水族館を出た。
「江の島行きませんか?」
「寒いし遠いからなぁ」
「せっかく来たんですから」
「うーん。まあ、せっかくだしな」
結局ここも押し切られる形だった。

紫色のイルミネーションにライトアップされたシーキャンドルを下から眺める。最速で20分待ちだといういうことで寒さも手伝い下から眺めるだけにした。
西側が赤と青のグラデーションに彩られカップルや家族が写真を撮っていた。
当たり前のようにある温かい光景で心が揺さぶられる。
塔の上のほうを見上げる。アヤは登りたかったかもしれないがさすがにそこまでロマンチックなことはできなかった。
ただでさえ流されているというのにこのままどこまで自分は流されていくのだろう。
ミツルはぼんやりとこのままいつものように流されて付き合いことになるのだろうかと考えていた。
アヤのような普通のいい子なら仮にそうなったとしてもうまくやっていけるのではないか。
こうした風景の中に自分も溶け込めるのではないか思った。

そのときある光景が浮かんだ。
そして、サキの顔が浮かんだ。
次にマスターとシンゴが浮かんだ。

サキだけなら自分の恋愛感情を疑うが店を最初に思い出したことで自分の流儀を思い出した。
そうだ。バーでの恋愛はご法度だ。
だからこの先は自分で流れを変えようと決めた。
少しだけ幸せに酔ったのかもしれない。しかも悪酔いだ。

「寒いし腹も減ったな。そろそろ行こうか」
「そうですね」

それから二人で居酒屋に行く。
Scrap Heavenに行くかという話もあったが今日は違う店にした。
普段よりも気を遣い過ぎていたのかミツルは泥酔した。

目を覚ますと見知らぬ天井があった。
喉がひどく傷む。
「おはようございます」
アヤの声だった。

ホテルか!?

アヤが上から覗き込んでいる。
「どこ?」
「覚えてないんですか? カラオケですよ」
「うん?……ああ、そういえば、なんかが上手いからとかで行くことにしたんだよな」
「ええ」
「どれくらい寝ていた?」
相変わらずアヤを見上げながらしゃべっていることが不自然だがどのタイミングで膝枕から脱出するべきか悩んでいた。
「1時間くらい……」

嘘だろう。

「ごめん。てか、ありがとうかなぁ。でも、やっぱりごめん」
「気にしないでください」
「気にするわなぁ」
そう言ってミツルは起き上がった。
「本当にすまなかった。今何時だ?」
「5時半くらいです」
「うわー。マジで今度穴埋めす……るわ」
「いや、いいですよ。楽しかったし、好き勝手に歌ってたんで」
「そう言われてもなぁ」
「じゃあ、今度スクヘブで1杯ください」
「……別の店にしないか?」
何かを感じ取ったのかアヤは「そうですね。じゃあ美味しいものごちそうしてください」と、少しいたずらっぽく笑ってそう言った。
少し高くつきそうだが、店でこの展開を詮索されるくらいなら安いものかとため息を吐き出さずに笑顔を作って「まあ、そんなに高い店じゃないけどそれで許してよ」とおどけてそう言った。

| Scrap Heaven | 02:21 | comments(1) | - |
等価交換?
オタクの女友達が欲しいだいです。てか、友達って何味?え?色なの?危うく恥を書くところじゃったよー。

もうね。眠い以外のなにものでもない。最近は仕事が遅いし、アプリで遊びすぎだしで日記書く時間がないよ!
あとバサラ3宴とか。
撮りだめた番組が1週間分丸々たまり続けたり。もう。疲労困憊ね。生活の至るところにゲームが潜みすぎていて。

そんなこんなで妄想とかしてられへん!ホンマえらいこっちゃで!
なにが?

そんな中なんかニュースないかなぁと思ったらたまに行くバーのバーテンダーが世界一になったよ。少し前のことだけど。
職場で休憩時間にNBA(日本バーテンダー協会)のホームページ見たら「速報!世界一になったよ」みたいなこと書かれていてマジで軽く興奮した。

彼が地区大会から出してきたカクテルについては大会前に必ず飲んでいた。
「よかったら大会に出すカクテルどうですか?」
たまたま地区大会の開催の近くに店に行ったときに何を飲むか考えあぐねていたら、そう言われた。
実のところ大会向けのカクテルは苦手だ。
基本的に一口しか飲まない審査員のために複雑で強めの味わいと腰を出すためのアルコールの強さが中盤以降しんどくなるからだ。

しかし、さすがはプロで横浜で日本一になる期待をされていただけのことはある。

やや重さはあるがそれでも最後まで飲ませる力は抜群だ。

日本一なったレオンは素晴らしいカクテルだと思う。
このカクテルも全国大会の前に飲んだ。
このカクテルは飲んで大会にこんなバランスのいい状態で出すのかといぶかしんだものだ。

彼はこの年アジアチャンピオンにもなってる。出場資格は前年度全国二位。まさに破竹の勢いで世界大会へ向かう。

ちなみに前年の横浜カクテルコンペディションの優勝者のカクテルも事前に飲んでいる。
「日本一になる前に飲んだんだよ」
「じゃああやかってもいいですか?」
「そんなんで役に立てたるならいくらでも」
試飲する。というか普通に金は払うけどね。
「美味いけど大会向けじゃないな。あと一味あるといい。少し重厚感を出すといいね」
「山田さんにも同じこと言われました。調整段階なので少し控えたんですけど増やしてみます」

で、横浜チャンピオンになった。
いやはや。こうなるとという感じでアジア大会の前に行き、世界大会の前にも飲みに行かなくてはならないと思い至る。

実力だろうけど運がないよりはある方がいいだろう。それくらいの話だが一助となれば幸いじゃないか。

おいらがその分運を減らしたって構わない!
明るい話題が増えればいいじゃないか。

そして、彼は優勝して、おいらは女友達と仲たがいし、担当業務じゃないもの担当になりその業務の影響で残業祭りになり、果てしなく治らない風邪をひいて、激太りして、携帯を閉じるとなぜか電源が落ちて再起動するという憂き目に遭っている。

ストップ!アンラッキー!
| 携帯 | 01:21 | comments(0) | - |
さよなら、さゆりさん
さゆりさんとの出会いは10年前……いや、9年前のちょうど今ごろの季節だった。
あの頃より少し温暖化は進んだかな?
暑かったり寒かったりして嫌になるよ。
そして洒落にならない災害も起きたこの年にきみはいなくなった。

あの日と変わらない姿できみはただ物言わぬ姿になった。前から少し調子が悪そうだったから心配していたけど、前にもやばいことがあったから今回も大丈夫だとおもったけど二回目の奇跡は起こらなかった。

誰かが言ってた。
「奇跡は1回しか起きないから奇跡なんだよ」
そうだ。ぼくはあまりにも奇跡を信じていた。叶わないものが叶うから奇跡であってそれにすがれば盲目に宗教にはまる人間と変わらない。
変えようのない出来事をただ一度の奇跡を信じて。

たゆまない努力のもとにしか結果は訪れない。何かしたか?ボクは何かしただろうか。
ただ漫然と彼女が動かなくなるのを見ていただけじゃないか。

3年前に一度死にかけた時だって本当は彼女は死にたかったのかもしれない。無理矢理延命させたにすぎない。ボクはボクのエゴで彼女を助けてしまった。

死にたがっていたのかもしれない。ボクに彼女助ける権利や義務があったのか?

有り体に寿命と言って切り捨ててしまうべきではなかったのか。生まれてすぐに終わるものもいる。事故や病気だって寿命と言えるのではないか。

それならあの時……

言っても栓なきことだ。ボクにはあの時そうすべきだと思っていてそうしてしまったのだから。

だから最期の時まで彼女に付き合うことにした。
あの時元気に見えたのに目をそらした瞬間気づかないうちに彼女は最期の時を迎えた。

ヒルクライムじゃないが何度季節を越えたろう。
思い出をあげられることはない関係だったけどいつも側にいてくれてありがとう。

もう無理はしなくていいんだ。
謝ることしかできないけど、君かいてくれて本当によかったと思うよ。
ごめんだけじゃ足りないからちゃんと感謝とお別れを言うよ。

ありがとう。
本当にありがとう。

そしてさようなら。
さようなら。さゆりさん。

ボクのVAIO。

(車に名前つける人の心境で自分のパソコンが壊れた話を書いてみました)
| 携帯 | 22:37 | comments(1) | - |
ほら話「左側」

 友達の友達の話。
その人は霊感が強い方ではないらしいのだが、怪談やその手のテレビを見聞きすると本物が絡んでいる場合サインがあるそうだ。
この手の番組は大抵悪霊関係なので良くないものが近くにいるのだと感じるときはサインが必ずあるみたいでそれを感じると「ああ、これは本物だなぁ」と思うそうだ。

実際にそのサインがあるだけで見えたり聞こえたりするようなことはない。
ただ、サインがあるだけなのだという。
再現話のドラマでもそれはあるそうだ。

例えば感動するような亡くなったお母さんの霊が助けてくれたとか、作り話の時はどんなに怖くてもそれは感じないが、大して怖くなくても、本物が関与していると左肩が重くなり痛みがでるそうだ。
重くなるので肩こりが悪化したような印象だという。
元々肩こりが酷い人物なので座っている姿勢が悪いのかな?と最初は思っていたそうだが、どんな体制になっても痛むのは左肩ばかりなのでどうやら姿勢のせいではないと気がついたのだという。

なので、サインだと気がついた。
これは何かあるときに痛みが出るのだと。
左肩越しに月を見るのは不幸になるというジンクスが西洋にはあるので、左肩に負荷がかかるのは悪い霊の象徴ではないかと思ったそうだ。
不幸と悪霊を一緒にしてはいけないが霊感のない人間からすれば似たようなものなのだろう。

更に彼は大変に験を担ぐタイプなので子供の頃に知り得たその左肩越しの話を聞いてからは、極力左肩越しに振り返ることがなかった。
すでに右から振り返ることが癖になっていた。
子供の頃からなので本人も今となっては無自覚に右から振り返るのが普通になっていたという。
たまに姿勢が左から振り返る方が自然な場合があるときに限って左から振り返るが基本的には右から振り返っていた。

夏のある日録画した怪奇現象の再現ドラマを昼間に見ていたそうだ。夜に飲み会があるのでそれまでの時間つぶしだった。適当に携帯をいじりながら流し見をしていた。
いつものように怖い話が続き亡くなったおばあさんだかお母さんだかが助けてくれる話になった。
普通この手の話なら肩は痛くならないはずなのだが、その日見たものの中では一番重く感じた。
だから、今までの悪霊を感じていたというのは勘違いではないかと思った。
ドラマはめでたしめでたしのような話でハッピーエンドを迎えた。

暫く左肩の重みはとれなかったが、飲み会があるので出かけて夜遅くに帰宅した。
左肩の重みはすっかりなくなり友人との飲み会でそんなことも忘れていた。
ずいぶんと酔った。自分の呼気に含まれる酒の香りでもう一度酔いそうだった。
コンビニで翌日の朝食と飲み物を少し買ってマンションについた。

同じマンションに6年住んでいる。入居したときは新築だった。

最近管理人の手抜きなのか廊下が汚れていたり、廊下の電灯が切れてたりしていることがあり、この日はエントランスに入ると電灯が明滅していた。
オートロックの鍵穴に鍵を差し込み解錠すると何事もなかったかのように開いた。不思議な話だが何故か開けてはいけない気持ちになった。
開いた自動ドアから流れてきた空気は外に比べて少し冷たい気がした。

エレベーターホールで上矢印のボタンを押す。
左肩が重くだるい。痛みはないのでストレッチのようにグルグルと回してみた。
少しはマシになったが違和感は変わらずに左肩にあった。

地下からエレベーターは上がってきた。
小さく電子音を立てて到着を知らせる音が鳴った。
ゴトンと重たい音がしてエレベーターのドアが開く。
中には誰もいなかった。
コンビニの袋を持った右手でそのまま5ボタンを押す。
「閉」のボタンを数回押した。
反応よくすぐにドアは閉まった。
そこである違和感に気づく。B1のボタンがない、
そうだ。この建物に地下階はない。なのに今、地下から上がってきたように見えたのは何故だろう。
酔っているのか?そう思った。

11階建てのマンションに着いているエレベーターだからそれほど早くはないが、遅くもない。
階層が上がる度に肩の違和感は増して行く。目を瞑って左肩を回す。
そろそろつく頃だと思い目を開くと4階と5階の間を通過するところだった。
そのとき大きく息をのんだ。
階層の間は暗い闇が広がっているため鏡のようになる。
そのエレベーターの窓ガラスを見たときに自分の左肩越しに一瞬だがぼさぼさの長い髪の女が映っていた。
いや、たぶん女だろう。女だったと思う。ちゃんと顔は見られなかったのだが女だと思った。
5階につくとエレベーターのドアが開いた。
早く降りたいが降りるとそれも一緒に降りてきそうで怖かった。
しかし、このままエレベーターに乗ったままではどうなるかわからない。地下に連れて行かれるかもしれない。

恐怖に駆られて閉まる直前に飛び出した。
廊下の電灯は所々消えている。気のせいかもしれないが暗がりには何かが息を潜めているような気がした。
夏だというのに鳥肌が立つように寒い。
背後で扉が閉まりエレベーターが下に動き出す。
その気配を感じて左側から振り返りそうになったときあり得ないほどの力で左肩を握られたような痛みが走った。思わず目を瞑る。

目を開けたときには既にエレベーターは下に降りていた。
1階で止まった。地下から来たのは錯覚だったのだろうか。
左肩は痛むが自分の部屋に早く帰り着きたい。

その思いだけで部屋の前にたどり着いた。
マンションは自体がL字の建物で彼の部屋は一番奥だった。
L字の折れているところを中心がエントランスで左右に伸びている。
一番奥の部屋のドアはどん詰まりのような位置にあり他の部屋の扉に対して直角の位置にある。
部屋の前の電灯が消えていた。
鍵穴も見るのは難しいが6年も住んでいたらなんとなく位置はわかる。
慌てているのかなかなか入らない。
闇の中で何かが居るような気がするので焦りだけが募ってゆく。
ガチャンという音を立てて鍵が開いた。
ドアノブは右手で開けるような位置にあるからコンビニの袋を左手に持ち替えて右手で扉を開いた。

ガチャン

背後で大きな音がした。
恐怖に支配されている彼にとってはどれほどのプレッシャーだっただろう。
思わず彼は振り返ってしまった。

左肩越しに。

右手でドアノブを持っている都合上そう振り向かざるを得なかった。
そしてそこにはそれがいた。

エレベーターの中で見かけたぼさぼさの髪の女。
髪の間から見える濁った瞳は焦点が合っていない。
くすんだ皮膚も生きている人のそれとはまるで違う。
もうダメだと思った。
隣の住人がこっちを怪訝そうに見ていることに気がついた。
彼はそのとき隣に誰が住んでいるのかを初めて知った。
隣の住人は女だったから視線の先が自分に向けられていることを不審に思ったのだろう。
実際には隣人の先にいる形容しがたい何かだった。
引きつった顔で自分の方を見ている人物を不審に思わないわけはない。
隣の住人に視線が動いたときそれも一緒に動いた。

そして、そのまま隣の部屋に入っていった。
それはまるで煙が風に流されるようにふわりとするりと動き隣の部屋に入っていった。
彼は隣の住人に何か言おうとしたが、隣の住人は彼を気味の悪い隣人ととらえたらしく足早にエレベーターの前に移動した。

彼はなにも言えずに自室に入り扉を閉めた。
そのままトイレに行くとその日口にしたもの全てを吐き出した。
正直助かったという思いと隣人に何かが起こるのではないかという不安からだった。

その日は一睡も出来なかった。
壁の向こうからやってくるのではないかと不安が心を締め付けた。
そして、隣人の身に何かが起こるのではないかという心苦しさからだった。
結果としては遅くに外出した隣人はその日は帰って来なかった。
翌日彼は不動産屋に行って即日入居可能な家を探した。
少しでも遠くに行こうと別の町の家を探した。
引っ越し先は程なく決まり彼はそのマンションを出ることになった。
家に帰るのは怖くてホテルに引っ越しの日まで泊まることにした。

それから友人に電話をしてことの顛末を全て話した。

彼は無事に引っ越しをすることが出来たのだが、引っ越してから彼の消息が不明になった。
引っ越し荷物もろくに解かれないまま彼はいなくなった。
部屋には無数の長い女の髪の毛が落ちていた。

あの日肩が痛くなったドラマの内容はいわく付きの物件に越したが祖母の霊によって助かったという話だった。
彼が反応したのはその悪霊で悪霊が彼を呼んだのだろうか。
そして、彼の祖父母は健在で彼を救う霊は現れなかったということなのだろうか。

| ほら話 | 00:58 | comments(0) | - |
ヴァーチャル?
世紀末覇王だいです。世紀末っていつだ?

いやー本当にせっくすってどんな行為でしたっけ?
てか、それ自体がリアルに存在するのかさえ疑問です。
いま出ているAVってぜんぶCGでしょ? 違うの?
てか、あれで興奮する理由ってなに?

裸の男女が出てきて男が女の胸を揉んだり舐めたりすると女の人が「あん」とか言ってるうちに、女の人のパンツの上から股間をまさぐると「あん」とかいうでしょ?
それでパンツに染みが出来るまで大抵いじり倒して、そこから脱がせて直接股間いじると男の人の手がべとべとになるくらいいじり続けるんだけど「だめ、いく!」とか「ああああああああ」とか言うんだよね。

で、大抵そうなったら勃起した男の股間を女の人が舐めるわけ。
むしろしゃぶるんだよね。
それが終わると「早く入れて」みたいなことを女の人が言って股間に男の人が勃起したそれをいれるわけですよね。

そうすると女の人が「気持ちいい」とか言うんだけど大抵困ったような辛いような顔しているんだよね。
だからあれって絶対女の人気持ちよくないけど我慢しているんだって思うんだよ。
だって、粘膜いじられて気持ちいいわけないじゃん。
眼球とか触られたらもうダメでしょ?てか、触らせたくない。
傷口だって痛いし。一応最初から開いている穴だからいいのかもしれないけど、でも粘膜だよ?
それあんなんでこすられたら普通痛いでしょ。
口だってサイズがある程度小さいものを入れるから別に問題ないわけで、過度に大きなものだったり暑いものとか冷たいものとか入ったら苦痛なわけでしょ?喉なんてすぐに痛むし。

だから、よく鍛えられた女優だけが歩むことができる道ですよ。
しかも演技が求められるからAV専用の女優ってことでAV女優って言うじゃないですか。
それで納得できましたよ。
彼女たちは子供を増やすために政府が仕組んだ忍耐強く演技に長けた女性であるってことでしょ。
つまり国家の子作り政策ですよ。
子供手当とかなんとかじゃなくて若者の性的な情動を揺り動かすプロパガンダです。

だから、普通にせっくすしたら男の子とかびっくりするんじゃないかと思うんだよね。
たぶん粘膜が引きつられて女の子痛いとか言うと思うので。
なのでAVで必要以上に濡らしてみたりするシーンが多いんですよね。
そうしないと痛いことになるので。
十分濡らしてね。みたいな。

でも、そう考えると粘膜いじられて気持ちいいことなんかないじゃない。
なんでするのかなぁ。
ああ、そうか。出産するときは痛いって言うものね。
それの予行練習だ。こんなの比じゃないくらいに痛いよ。だから指や男のそれでなんかでめげちゃダメだよと言う話か。なるほどね。

でも、ちゃんと見るとわかるんだけど、実際には最後女の人の口に出すじゃない。
だから、妊娠させるには口に出さないとならないわけ。
そうなると途中でしゃぶってもらうシーンで出しちゃえば良いんじゃないかと思うんだよね。
ただね。そうすると言われちゃうんですよ。

「早漏」って。

たぶん口の中は相当気持ちいいので、すぐに出ちゃうから女性の出産の儀式に付き合うために男はわざわざしなくちゃいけないんだと思うんですよ。

だから、基本的に愛がないと出来ない行為なんだと思うんだよね。
相手のつらさをちゃんと理解しないとならないから。
うん。そうですよ。
愛のない行為は寂しいです。悲しいです。

だから、誰とでもなんて思っちゃダメだよ。

ちゃんと好きな人としよう。それまでは童貞だって処女だっていいじゃない。
格好悪いなんてことはないよ。若い頃の格好良いなんてことはよくよく見ると軽薄だったり軽率だったりでそれをスマートなんて呼んでいたことを大人になると赤面することや後悔することの連続なんだから。

ちゃんと好きなるってことは相手をちゃんと見ることが出来て初めて言えること。
お互いに向き合えて視線を逸らさずに相手の良いところも悪いところも全部理解して理解してもらうことが出来ること。

人は自分を理解してもらいたい生き物だから、上っ面を理解してもらっただけで喜んだりするけど、本当は悪いところも理解して欲しいんだよね。そしてそれをどうやって受け止めたり変えていくか。
変わることはいいことだよ。怖くない。生きると言うことは変化の連続だからね。変化がなくなるということは死んでしまうのと相違ないんだよ。
だから変化は受け入れよう。
そういう変化を受け入れ昇華していくのことが出来る人との関係が愛なんだと思うよ。

きみたちの周りには愛があふれているけど、子孫を残しても良いほどの関係性は滅多にない。
生きるために選ぶのだから。

で、俺もそろそろてかいい加減親になっても良いかなぁて思ったのね。
うさぎドロップとか全開ガールとか見ていて。
とりあえず、子供だけでもいいかなぁって思ったんだけど、なかなかそんな展開にもないらないし、やっぱりちゃんと作らないとならないのかなぁって思ったんだよね。

でも、女の人の困ったような辛そうな顔見るのがちょっと気になるので、口の中に出すだけにします。
そうしたら子供出来るしさ。
うん。そうしよう。
え? それはふぇらちおっていう行為なの?
じゃあ、ふぇらちおだけで満足してくれる女の人募集します。

うん。今日もおいらは屑だ。


JUGEMテーマ:日記・一般 
| 駄文 | 23:10 | comments(0) | - |
ほら話「医務室」
JUGEMテーマ:小説/詩

 友達の友達の話です。

ある日の金曜日。
毎日の残業と上司とのつきあいの飲み会で疲労がピークに達したらしく友達の友達(仮にYさんとします。)は、どうしても眠くなって机でもうつらうつらするので、どうせ今日も残業だからと同僚に声をかけて医務室に行ったそうです。

医務室と言っても名ばかりの週に1回産業医が来るだけでものだったようです。
一応薬棚のようなものはありますが、鍵は産業医が持っているので勝手に取り出すことは出来ず、そのため休息するための仮眠室のようなものだったようです。
産業医は毎週水曜日の午後だけ来るのが通例なので、この日は誰もいません。
いるとすれば仮眠目的の人くらいなものです。

自社ビルですが古いビルで4階建ての2階の西側に医務室はあったそうです。
一応エレベーターはあるのですが、遅いし積載量も少ないので大抵の人は階段で上り下りをすることが多かったようです。

Yさんも疲れてはいましたが待つのが面倒で階段を使って3階から2階に降りていきました。
医務室の近くには会議室しかない構造だったそうです。

医務室に入ると夕方の割には温度が低いくらいで一瞬身震いしたそうです。
全館空調で発熱するものがほとんどないからこんなに冷えているのかと思ったそうです。

ベッドは3つあったそうです。
一番奥のベッドは誰かが使っているのかよくある医務室のようにカーテンで仕切られていました。
一番奥のベッドは窓に近いこともあるので、うっすらと人がいるようなシルエットが窓から差し込む西日でわかったそうです。
そうなると真ん中で眠るのも隣が気になるので間をひとつ空けて入り口に一番近いベッドで眠ることにしたそうです。

当然カーテンは閉じますが、カーテンレールはL字なので、入り口側と足下までしか来ません。
隣のベッドの方は丸見えで、それも気持ち悪いからと隣のベッドのカーテンも他人から見られないように真ん中のベッドのカーテンを足下の手前まで下げたそうです。
少しだけ隙間ができましたが窓から遠いこともあって光は遮られたように思えたそうです。

おかげですぐに意識を失うように眠ったそうです。
そのとき隣のベッドに誰かが来たような気がしたらしいのですが、襲ってくる睡魔には勝てなかったそうです。

それからどれくらい経ったかわかりませんが酷く寝苦しくて目を覚ましたそうです。
全身汗まみれで目を覚ましたそうです。
先ほどより薄暗くなっていて部屋の温度は相変わらず低いままだったそうです。

寝汗の意味がいまいちわからないまま、ふと視線を感じてそちらを見ると隣のベッドとこちらのベッドの足下の方のカーテンの隙間から覗いている顔が上下に並んで2つ見えたそうです。
隙間から見ているので顔は半分しか見えません。
上の人は右側だけが見えて、下の人は左側だけが見えたそうです。
髪の長い女性だったようです。
充血したように赤い目でじっとことらを睨むように見ていたそうです。

バチン

上の方から金属が飛ぶような音が聞こえたそうです。

バチン

もう一度。

音のした方向がわかったのでそこを見るとテニスラケットのトップよりも大きな手が隣のカーテンの上部をつかんで下に引き下げようとしていたのです。
見たこともないような大きくいびつで節くれ立った泥のような色の肌をした手がカーテンを引きちぎろうとしてそれに耐えきれなかったカーテンレールの金属部分がはじけ飛んだ音だったようです。

逃げ出したかったのですが、足下の方には覗き込んでいる女性がいます。
もう一度そちらを見てYさんは気を失ったそうです。

上下に見えた顔はよくよく見ると同一人物で上下とも顔のない方はただ空間が広がっているだけだったからです。

目を覚ますと既に日は暮れていたそうです。
隣のカーテンは何事もなかったかのように普通にそこにあり、足下を見ても誰もいません。
Yさんは怖かったのですが、思い切って隣のカーテンを開けました。
そこには誰もいませんでした。
誰か板気配さえなかったそうです。
ふっと息を吐いて安心した時のことです。

ガシャン

一番奥のベッドのあるところから音が聞こえたそうです。

街灯に照らされて浮かび上がったのは無人のベッドが宙に浮き落下するというものでした。
最初はゆっくり落下していたものが、持ち上げ叩き付けるように激しくなったそうです。

ガシャン
ガシャン
ガシャン

それに反応するように室内の机や薬棚がガタガタと揺れ始めたそうです。

さすがにYさんは怖くなってベッドから飛び出して着の身着のまま会社を飛び出したそうです。それまでの間は一度も振り返らなかったそうです。

運良く正門は開いていました。

ゼイゼイと荒い呼吸で会社を振り返ると、ほとんどの明かりが消えていてそうです。

ただ、明かりの消えた会社の窓の全から真っ赤な目がYさんをじっと見つめていたそうです。

友達はこの話を聞いてからYさんとは会っていないそうです。
というか、行方不明になったそうです。

そして、友達からこの話を聞いてからうちのカーテンの隙間から赤い目が見えるようになりました。

あなたは大丈夫ですか?

| ほら話 | 10:01 | comments(3) | trackbacks(0) |
1年後のその先も
JUGEMテーマ:小説/詩

 3年間付きあった彼と遠距離恋愛になって「あっ」という間に転勤先で女が出来た。
しかも妊娠までさせて向こうと結婚するなんて。それもあたしより美人じゃない胸が大きいだけの女となんか。
そう言えば、聞いたことがある遠距離や単身赴任になると男は近場の女に手を出して高確率で妊娠させると言う話を。
理由は何だったか忘れたけど男とはそういう生き物らしい。

こっちは結納も済ませて結婚するまで半年もないところでドタキャンされた。
両親から親族の恥と罵られ、向こうの両親にも謝られるどころかちゃんと掴まえていないあたしが悪いと言われた。
社会恋愛で相手は将来有望で今回の転勤もそのステップのためのものだった。
そうなると私のいる場所はどんどんなくなっていく。
中も外も針の筵だ。そんな感じで1週間も過ごしてきた。
でも、こんなことで負けたくはなかった。
前を向いて行きたい。

ははは。でも、さすがに心が折れそうだ。
1週間目の今日。彼と新しいカノジョが一緒の所を見てしまったからだと思う。

だから、こんな所に来てしまった。
近所のビルの屋上なんて……死ぬ気なんてないの……え!?

「ちょっと、なにやってんのよ!」
あたしは走り出してその人に飛びついた。
今にも飛び降りそうな人がいたからだ。
その人は柵を越えている。柵の向こう側で柵を背にして両手で掴まっている。片手でも離したら間違いなく転落する。そんな気がした。
「わっ。落ちる!」
「落ちるって。飛び降りる気でしょ!?」
「そうだけど。危ないだろ」
「何言ってんのよ」
「いや、きみまで落ちるじゃないか」
「……じゃあ、中に戻ってきて。それまでは離さない」

彼は一つ息を吐き出し「戻るから離して。大丈夫約束する」と言った。
狭い足場で器用にこっちに向き直ると柵を越えてこっちに入ってきた。

……あれ? 足に力が入らない。
あたしはその場にへたり込んでしまった。
腰が抜けたというやつだ。初めての体験だった。

彼はあたしのそばに来て「大丈夫?」と尋ねてきた。
「大丈夫じゃないわよ!」
「そうみたいですね」
そういって小さく笑った。
「笑わないでよ。誰のせいだと思ってるの!?」
「すみません」
そう言いながらまだ彼は笑っていた。

「おねえさんはどうしてこんなところに?」
「どうしてって……」
「同じなんですね」
「……」
「でも、こうやって俺を助けてくれた。おねえさんには感謝します。おねえさんも死なないでくださいね」
「……最初からそんなつもりなかったわよ。ただ、ここなら空が見えると思ったから」
「空?」
「……天の川」
「ああ、そうか。今日は七夕か」
そう言って彼は空を見上げた。

「織姫と彦星ってわかる?」
沈黙が怖くてあたしがそう聞くと彼は首を横に振った。
この辺りは少し明かりが少ないから町が暗くなっている。だから、明るい二つの星は見つけやすかった。

婚約者と初めて会ったのは七夕の日でその日に意気投合して3回目のデートで付き合うことになった。
次の年の七夕に二人で星を見に出かけて織姫と彦星を教えてもらった。
そして次の年のプロポーズされて、今は彼が隣からいなくなった。

「じゃあ、教えてあげる」
あたしは座ったままで夜空を指さした。
彼をあたしの前に立たせて「そこの鉄塔のの上に見える明るい星が彦星。あっちのジョージアの看板の上をある明るい星が織姫。わかった?」と尋ねた。
「あーあれがそうなんだ」
どうやらすぐにわかってくれたみたい。
あたしは看板に隠れているデネブを思った。
彦星がアルタイル、織姫がベガ、それにデネブを加えて夏の大三角というんだと別れた彼に教えられた。
あたしがベガで別れた彼がアルタイルなら横から現れて彼を奪ったのはデネブということになるのかな?
それとも結ばれなかったあたしがデネブなのかな?
見事な夏の大三角関係ということ?

ぼんやりしていたら男の顔が近づいてきた。
腰が抜けているから動けない。
目を瞑った。

あたしの目の下の涙を彼は何も言わずに人差し指でぬぐった。
目を開けると彼は困ったように小さく微笑んでいた。
その顔がすごく優しいものに思えた。

そして、あたしは声を上げて泣いた。
彼は泣き続けるあたしの頭をやさしく包み込んでくれた。

軽い震動で目を覚ますとタクシーの中だった。
隣には彼がいた。
あとでわかったんだけど、彼が車まで運んでくれたらしい。
泣き疲れて眠るなんて初めてだ。
今日は初めてのことが多い。自殺する人を止めたり、腰抜かしたり、泣き疲れて寝たり。
「ごめん。鞄の中から住所のわかるもの探して免許があったから今、家に向かってる」
免許? 実家のままだから。あんなところには帰りたくない。
「ぃ、家には帰りたくない」
声が上ずって変な感じになった。
「そう言われても」
「ごめんなさい」
「……じゃあ、うち来る?」
あたしは小さく縦に首を振った。
もどうでもいいと思っていた。自棄だった。

「何もしませんよ」
部屋に入るなり彼はそう言った。
「命の恩人をどうこうするつもりはありません。おねえさんの話を朝まででもなんでも聞きますから。今日はそういう感じで行きましょう」
「エッチしたいって言っても?」
「そんなに目を腫らした女性とは無理です。鏡見ますか?」
その言葉であたしは笑った。つられて彼も笑った。

小さなテーブルに対面で座ると彼は用意しておいたウィスキーをグラスに注いだ。
彼はストレートであたしには氷を入れてロックで。
「強かったら水で割ってください。うちこんなもんしかないんで」
一口飲んでみたら美味しかった。
そのまま伝えると「美味しくないって言われたら困るところでした」と言って彼ははにかんだ。
よくわからないけどなんとかの30年ものとか言っていた。
30年ものって高いよね?
飲んでもいいのかな。

「三笠トオルです」
「あ、浜田ヤヨイです」

今更の自己紹介がおかしくてあたしは笑った。
死にたいほど嫌なことがあったけど、人の命を救ったのは初めてだった。
そして人前で大声で泣いたのも。
きっと助けて安心して(ついでに腰が抜けて)張り詰めていたものがゆるんだんだ。

「俺は昨日会社を解雇されました。この先の仕事もわからない。そうやって不安に駆られていまたした。たまたま上を見上げたら明るい星が見えて、もっと見たくなって屋上に上がったら急に不安が押し寄せてきてそのまま死んでもいいかなって」
三笠くんはウィスキーをぐっと呷ると矢継ぎ早にグラスに注いだ。
明らかに年下だったから「三笠くん」でいいよね?
「三笠くんは何歳? あたしなんて32だよ」
「え? 25、6かと思ってました。あ、俺は24です」
「若っ! そんなに若いんなら死んじゃだめだよ」
実際若くて焦った。それくらいかとは思っていたけど知ると若さを痛感してしまう。
そりゃ、こんなおばさん抱きたくもないか。
「若いとか関係なくないですか。死にたいのは年なんて関係ないです」
「そりゃそうかもしれないけど」
「よく死ぬ気になればなんでも出来るなんて言いますけど、あんなの強者の論理で弱者には拷問以外のなにものでもないんです」
「でも、三笠くんは強いよ。あたしを巻き込まなかったじゃない。それに真面目で優しい。見知らぬ女が泣き疲れるまで付き合うなんて尋常じゃない優しさだよ」
「見ず知らずの俺を助けてくれたじゃないですか……強いですよ。ヤヨイさんは」
「そりゃ無我夢中で」
「そうですよね。すみません」
「そ、そんな。ほら飲もう。ね?」
「そうですね。飲みましょう」

それからはお互いに傷に触れるのが怖くなったみたいに、どうでもいい話をしたり、深夜の通販番組にツッコミ入れたりしながら飲んだ。

目が覚めると目の前に三笠くんの寝顔があった。
声が出そうになって慌てて口を噤んだ。
まつげが長いな−。うらやましい。
こうやってみると意外と整った顔してるな。
あ、ちょっと髭が伸びてる。
でも、腕枕ってどういう展開だ? 全然覚えていない。
床で寝ていたので体が痛い。

二日酔いにさえなっていないのは、まだ分解しきれていないアルコールが体内に残りまくっているからかもしれない。
床を見ると3本も空瓶が転がっている。

なんとなくちゃんとお別れを言うのが嫌でテーブルの上に書き置きを残して出ることにした。
テーブルの上にあった携帯に目を落とす。
そうだ。ちょっと悪いけどお守り代わりに。
三笠くんの携帯をいじってみる。ロックはかかってないか。意外と用心深くないな。
ふふふーん♪

よし。じゃあね。三笠くん。もう会うことないと思うけど元気でね。

さて、困った。ここどこだ?
近くのコンビニ探して駅を聞こう。こんな酒臭い女だからすごい迷惑だと思うけど。

と、言うことがあったのが1年前の今日。
あのあとは酷かったなぁ。メイクもぐずぐずだし酒の匂いも酷かったと思う。
目も腫れているしあの時のコンビニの店員さんには明け方のちょっとしたホラーショーだったに違いない。

……結局あたしは体よく子会社に出向させられた。
もう本社にも戻ることもないだろう。
職場が横浜だから通勤の関係で引っ越して今は横浜に住んでいる。
でも、悪いことばかりではない上手く家を出ることもできたし、子会社だけど周りはいい人たちばかりだ。
最初こそ腫れ物に触るみたいだったけど、半月もすれば慣れてきたのか周りの人と変わらない対応になった。まあ、あたしも自棄みたいな勢いで前向きになっていたからね。

で、今日は会社の女子会だ。
上は45歳から下は28歳の独女5人が集まる。
横浜のおしゃれな地中海料理の店に来たんだけど結局いつもの飲み会。
会社のあれがどうだとか、最近の芸能人がどうだとか他愛もない感じだ。
しかし、45歳って見えないよなあって感心する。男もあれじゃハードル高いよね。
みんな本当に美人だったりかわいかったりするけど共通項はだめんずうぉーかーだったりする。
一番年下のアヤちゃんだって二股かけられたみたけだけど、わからない。
あたしだったら首ったけになりそうなんだけどなぁ。
しかし、まあ一番のだめんずうぉーかーはあたしってことになっているけど。
確かに一番大きいのやらかしているしね。
すっかり傷はかさぶたになって、かさぶたもはがれてしまった気がする。
本当にこういう時の女仲間はありがたいと思う。

明日も仕事だけどこのメンバーで集まると二日酔いになるほど飲む。
今日もすごく飲んだ。
一人ワイン1本は飲んだと思う。女子だけで平日5本は飲み過ぎだよね。
休日だって飲み過ぎよね。
明日は普通に仕事だし終電もあるからと11時30分に店を出た。

横浜の駅前で空を見上げた。
明るすぎて星は見えない。
あの日見つけた星を思い出す。
先輩のあたしを呼ぶ声が聞こえた。
一つため息を吐き出してあたしは小走りに雑踏の中を進む。
もうすぐ七夕は終わってしまう。理由はわからないけど、心に小さな痛みが走った。

あたしは歩いて帰れるので駅前でみんなと別れた。

ダイエーの前を通り抜けてハンズの前を通り抜けて岡野町の交差点で信号が変わるのを待っていた。
あちゃー。変わった直後か。スクランブル交差点だか長いんだよねえ。
バッグに入れている携帯が震えていた。
メールじゃなくて着信だった。
さっき別れた誰かかな。帰りそびれたか?

携帯のディスプレイの文字を見てあたしは驚いた。
出るかどうか躊躇って結局出た。

「もしもし」
「もしもし。すみません。突然。三笠って言います……俺のこと覚えていますか? 自殺止めてもらったやつです」
「え? ああ、あのときの……その節はお世話になりました」
覚えてるも何もディスプレイに表示されたし、お守り代わりに時々見てたから忘れないって。
やばい。ドキドキしてる。そりゃそうだよね。
まさかの相手からだし。
てか、なんであたしの電話番号しってるんだろう?
「お世話だなんて。むしろ俺の方が……あ、あの、すみません。実は寝ているときに携帯いじって携帯番号みちゃったんです」
こっちは赤外線通信でゲットしてるっての。メアドも知ってるっての。
あの日お守り代わりに彼の番号を手に入れていた。
しんどいときや辛いときにそれを見たら心が落ち着いた。

「え? ああ、そうなんだ」
気まずい。こっちはさらに上を行く行動しているという事実が気まずい。
しかし、なんで今のタイミングで連絡してきたんだろう。
1年経ったから七夕だし会おうみたいな?
ロマンチストにもほどがあるし、そうだとしたら、もう少し早く連絡してくれてもいいのに。

ははは。現金だなあたし。男にあんなに酷い目に遭わされたのに、もうこうやって別の誰かにドキドキしてる。

「今日、もし今日まで会えなかったら諦めるつもりでした。だから、こうやって確認の意味で電話しました」
「え? 諦める? 確認って? もしもし? 三笠くん? 三笠くん?」
突然電話が切れた。よくわからないけどリダイアルしなきゃ。終わっちゃう。
終わらせたくないの? 自分でもよくわからないけど、でも。

「ヤヨイさーん!」

受話器じゃないところから三笠くんの声が聞こえた。
声のした方を見ると新横浜通りを挟んで反対側に彼はいた。
1年ぶりの再会。
大きな道がまるで天の川のようで織姫と彦星みたい。
じゃあ、この後は結ばれるの?
運命的すぎて嘘みたい。

信号が青になった。
彼が駆け寄ってくる。
あたしはなんて言うべきだろう。

目の前まで走ってきたときはそのまま抱きしめられるんじゃないかと思ったけど、ちゃんと減速して目の前で止まった。
え? どうしたの? 目が一瞬だけ合ってそこから横向くなんて……ちょっと。なんで耳まで赤く……照れてるの? かわい過ぎる。
こんなリアクション中学生だってしないんじゃないかな。
これであたしのこと好きじゃなかったら人間不信になるだろう。

「忘れたことなかった。ずっと考えてた。ストーカーみたいかもしれないけど実家の近くにも行った。どこにもいなくて正直今日で終わりにしようと思ってた。先輩の店の手伝いでこっちに来たから絶対に会えないと思ってたし。そしたら目の前にいた。でも、1年前に顔みただけだから自信がなかった。違ったらどうしようかと思って今日で諦める決めいていたから電話してみたんだ。そしたら携帯取り出して、どうしようかと思った。本当に目の前にいると思ったら……」

あ、やばい。絶対に告白される。
真剣で熱を帯びた眼差し。初めて告白されたときを思い出しちゃう。
今言われたらたぶんこの空気であたしは絶対に受け入れちゃうよー。
冷静になれ。相手は8歳も年下だ。
あ、でも、もう何か言うつもりだよー。どうする? どうする? どうする?

「ヤヨイさん」
「はひぃ」
声上ずった−。
明らかに向こうの緊張が移ってる。
「あ、あの。たった1回しか会ってないけど、1年間忘れられなかった。結婚してください」
「はい!……って、け、結婚!?」
「え? あ? あれ? 俺結婚って言いました?」
赤い顔がさらに赤くなる。
通り過ぎていく人はチラチラこっちを見てる。
あたしはおかしくて涙を浮かべて笑った。本当におかしい。
「あははは……うん。言ったよ」
「でも、ヤヨイさんとは8歳違うわけだし、明日結婚したって構わないです。それで「はい」って言ってくれじゃないですか」
「子供じゃないんだから」
「でも、付き合ってくれるんですよね?」
「それもどうしようかなぁ」
なんだか精神的に優位に立ったら妙にいじめたくなってきた。

「諦めませんよ。絶対に。やっと会えたんだし。電話もしたから、もう怖いものなしですからね」
すごいパワー。こんなに好かれる覚えがないから思わず聞いてしまった。
「なんで? こんなに好かれる覚えはないんだけど」
「俺もわかんないんですよ。ただ、運命とかってあるならこういうことなんじゃないかなって。正直泣いてる顔見て一目惚れだったんです。もし、これがただの偶然だったとしても、おれが運命に変えます」
あ、今のちょっとぐっと来た。
普通に聞いたらちょっと思い込みの激しい台詞だけど、あたしたちの場合は違う。
だって、あんな出会いでこんな再会なら運命って言葉もそう悪くない。

時計を見る7月7日は過ぎていた。

「終電大丈夫?」
「あー最悪先輩のところで朝まで過ごしますから気にしないでください」
「そうじゃないでしょ」
「え?」
「うちこの近所なんだけど。手は出させないけどね」
「たぶん無理です。あ、出来ないって意味で。こんなに好きすぎたら無理ですよ。顔もろくに見れないのに」
くーっ。むしろあたしが襲いたいくらいです!
それにしたって乙女か? あんなにアグレッシブに告白してきて、そこは乙女か?
好きだから手が出ないか……大事に思ってくれてるんだろうけど、好きなら繋がりたいって思うのは俗物的すぎるのかな?
……本当にこれが運命じゃないなら、なんだというのだろう。三笠くんの台詞じゃないけど「運命に変える」しかないんじゃないかな。

何度か見送った信号をあたしは三笠くんと渡った。

あたしは夏の大三角のデネブでいいと思った。
織姫と彦星だと1年に1回しか会えない伝説がつくけどデネブだけならないと思う。
大体外国人みたいな名前だし。伝説とか関係ないでしょ。

「そうだ。夏の大三角の話って実は四角っぽい話もあるんですよ」
「なにそれ?」
「デネブとヴェガを軸としてアルタイルを反転させた位置の近くに北極星があるんです」
「そうなの?」
「で、思ったんですよ。おれ、ヤヨイさんにとっての道しるべ北極星になります。見失わないでください」
「それって……」と言って口を噤んだ。
続く言葉は「ずっと考えていたんでしょ? バカ?」だけど、ちょっと得意そうにしている三笠くんのキラキラした表情が今はストライクなので飲み込んだ。とりあえず、ちょっと軌道修正は必要だけど基本は間違っていない。
三笠くんの存在は、あの日人を助けたあたしに生きるための大変さと強さを、三笠くんの無条件のやさしさは希望をくれた。
それを思い出すためにきみの携帯番号を見ていたんだよ。
そう言ったら彼はどんな顔するだろうか。

少し行き過ぎたところはあるけど、この先の道しるべになる北極星の手を繋いだ。

| レンアイ | 01:32 | comments(4) | trackbacks(0) |
side B24
JUGEMテーマ:小説/詩

 真実はいつも残酷な姿で目の前に現れる。
成田アヤの前に現れたのは二股をかけられたというものだった。
それを告知したのは下腹部を襲った痛みだった。

8割は症状が出ないと言われる感染症にかかった。
いわゆるクラミジアだ。

ここ最近男性と言えば彼氏しかいないから、相手にそのことを突きつけたとき最初はとぼけていたが、最後には観念して二股を白状した。
思いっきりひっぱたいてやろうかと思ったが、それで済まされそうな気がしたから何もせずに釈明もさせずに別れた。
後々これはこれでなんだか相手に都合がいいような気がして腹が立ったが、それも通り越すとだまされた情けなさと、悲しさでどうしようもないくらいに泣いた。

結果として別れたものの感情を爆発させなかったことが悪かったのか軽い人間不信に陥り職場と家の往復で後は引きこもりに近い状況になっている。

土曜日の午前10時テレビが無駄な情報番組を流していた。
少なくともどこにも出かけるつもりのないアヤにとっては音と映像の羅列でしかない。
布団にくるまりながらぼんやりと眺めるわけでもなく眺めた。
脳天気だなと思うくらいに晴れやかな笑顔で女の子たちが何かを紹介している。

携帯が震えた。
バイブにしていたので枕元でガタガタと震えている。
ディスプレイに表示されているのは友人の名前だった。
出る気になれず無視した。

留守電に切り替わると通話は途切れた。
たいした用事じゃないのだろう。
布団の中に潜り込もうとした。
再び携帯が震えた。
表示された名前は同じ友人の名前だった。
もう一度無視する。
本当に面倒だった。何もかもが面倒で部屋も汚れ始めている。
平均的に女子らしい部屋で明るめの色彩だが過度になりすぎない辺りは、いわゆる男子受けしそうな甘さを出した部屋になっている。
その部屋も脱いだ服やコンビニ弁当の容器がレジ袋に入れられてゴミ箱の近くに汚れていると認識できる程度に置かれていた。
布団の中に潜り込む。
携帯の震えが止むのを待っていた。
停止した。
再び震え出す。
観念して電話に出た。

「もしもし?」
「無視すんな」
「ううう。だって面倒だったんだもん」
「ナタリア。部屋でうじうじしてんでしょ」
「そ、そんなことないよ」
「あんたはわかりやすいね」
「ほっといて。もう寝るから」
「朝の10時に寝るバカがどこにいる」

ドアフォンが鳴った。
遅れて携帯の中からも同じ音が聞こえた。

「え? 外にいるの?!」
「なんだ。やっぱりいるんじゃない。開けなさい。開けないとドアフォン鳴らし続ける」
「無理無理。だってすごい汚いから」
執拗にドアフォンがならされている。ご近所迷惑も甚だしい。
「聞き分けがないと次はドアを叩き続けるよ」
一度ドアが叩かれた。
アヤは咄嗟にドアまで駆け寄ってドアガードをしたままドアを開ける。
「なっちゃんやめてよ。近所迷惑だから」
なっちゃんこと田野上ナツノはドアを叩き始めた。
「え!? わかった。わかったから」
ドアガードを外し扉を開けるとナツノは勝ち誇ったように「よし」と言って部屋の中に入っていった。

ナツノは中身のぎっしり詰まった大きなエコバッグを二つ持っていた。
それをテーブルに置くとナツノはベランダがある方に歩きカーテンを開け放った。
アヤはそのまぶしさに目を細めた。
ついでにナツノは換気のためにベランダのガラス戸を開ける。
「掃除と洗濯よろしく。私は水回りをキレイにして飯を作る!」
背中に日の光を浴びながらナツノはアヤにそう宣言した。

日に晒されると部屋の汚さが浮き彫りになる。
自分にしでかしたことに呆れつつも、高校時代からの親友であるナツノの勢いの良さに押し切られて部屋の片付けを始めた。
部屋を片付けることでなんとなく自分の中の何かを整理できていくような気がした。
12時には片付けも終わり、ナツノの料理も完成した。

小さなテーブルの上にあふれるかと思うほどの料理が並んでいた。
「なっちゃん。これ3日分くらいあるよ?」
「食べきれない分は冷凍するなりしておけばいいのよ」
食い道楽のナツノは料理を作ることが得意だった。探求心が旺盛なナツノは食べたものをそれらしく再現することを趣味としていた。
同じものを使えば同じようにできるが、それでは芸がないので安いコストで似た味を作ることに心血を注ぐ傾向にある。
「ご飯はちゃんと食べないと体だけじゃなくて心も弱るよ。いただきます」
「いただきます」
二人はテーブルを挟んで古い日本の食卓のように両手を合わせる仕草をした。
ちゃんとした食事をするのはどれくらいぶりだろう。
アヤはのろのろと箸をのばし煮物の入った深皿からにんじんを取り出した。
口に運ぶとにんじんらしいにんじんの香りがした。
安くていいものを買うとかいうのが彼女の考えなので、たぶん朝市に行ったのだろう。

「ご飯食べたら外出するよ」
「うん」

ナツノが男だったら間違いなくアヤは結婚したいと思っていた。
自分の意志を持ってはきはきしているナツノがうらやましかった。
それでいてそうはなれないから憧れていた。
自分を確立できているナツノに対して自分はぼんやりとした存在に思えてならなかった。
周りから見るとナツノに振り回されているように見えるかもしれないが、ナツノはナツノなりに気を遣ってくれている。それは十分にわかっていることだった。

キレイに三角食いをしながら次々と食べ物を口に運ぶナツノを見ていると何かあったのかもしれなとふと思った。
視線に気づいたナツノは口の中のものを飲み込んで口を開いた。
「どうかした?」
「ううん。なんでもない」
「そう? 早く食べて外に出かけるわよ」
「この量は早くは食べられないよ?」
「じゃあ、適当に」

食事をした後二人は出かけた。
何をするわけでもなくウィンドウショッピングしたりお茶をしたりして、夕食を食べた。
関内の安いイタリアンで食事をして、ナツノが行ってみたいというバーにやって来た。

SCRAP HEAVEN-

ネオン管にそう書かれていた。
雑居ビルの階段を上がりドアを開けると身長の高い細身のバーテンダーが目に飛び込んできた。
穏やかな声で「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ」と声をかけてきた。
アヤはナツノと二人でマスターの前に座った。

「何になさいますか。簡単なメニューはありますが、よろしければお好みでお出ししますのでどうぞ」
「それじゃあ、ジンフィズ」とナツノはあっさりとオーダーした。
アヤは慌てて「えーと、なにか甘くてさっぱりしたもので」と注文した。
数瞬の間が空いて長身のバーテンダーはアヤに尋ねた。
「そうですね……ラムとグレープフルーツジュースは平気ですか?」
「大丈夫です」
「では、それらを使ったカクテルをお出しします」
その後バーテンダーはナツノに向き直り「ジンは何か指定の銘柄はありますか?」と尋ねた。
「特にないです」
「かしこまりました」

ビフィータージン45ミリ、レモンジュース20ミリ、シュガー(粉糖)2tspをシェーカーに入れる。
もう一つのシェーカーにラム45ミリ、グレープフルーツジュース45ミリ、ガムシロップ1tsp、グレナデンシロップ1tspを入れる。

氷を詰めたタンブラーをあらかじめ用意しておきジンの入ったシェーカーを振る。
シェークし終わるとそれをグラスに注ぎ、炭酸水を注いでスライスしたレモンを沈めた。
次にラムの入っているシェーカーを振り、ワイングラスに注ぎ大きめの氷を一つ浮かべストローを添える。

二人の前にコースターを置きそれぞれのカクテルを差し出した。
「お待たせしました。ジンフィズです。そして、こちらはイスラ・デ・ピノスです」
「いすらでぴのす?」
「はい。イスラ・デ・ピノスです」
「そんなことより乾杯しよう」とナツノが横やりを入れてきた。

アヤは何度か口の中でカクテルの名前を小さくつぶやいてから、グラスを手に取り乾杯をした。

「おいしい」
「うん。こっちもおいしいよ」
二人はしげしげとグラスを見つめてから、顔を見合わせる。
「交換しようか」
「うん」
ナツノの案をアヤは二つ返事で受けた。
二人は交換したグラスのカクテルを飲む。
「おいしいね」
「うん」
再びグラスを交換してオーダーしたものが互いの手元に戻った。

「二つともいわゆる古いタイプのカクテルに属しますが、おいしいと思います」
バーテンダーは穏やかな笑みを浮かべてそう言った。
「すみません。実はこのカクテルそんなに好きじゃないんです。その店の技量がわかると聞いていたので、なんとなく頼んでいたんです」
「漫画のバーテンダーの影響ですか?」
「……はい」
「そういうお客様もいらっしゃいますからお気になさらずに。むしろそれで関心を持たれたことの方がこちらとしてはメリットだったりしますから。とはいえ、あまりでないカクテルオーダーされても困るんですけどね。忘れっちゃってるから」とバーテンダーは破顔する。
「でも、これはすごくおいしいです。今までいろいろ飲みましたけど一番です」
「ありがとうございます」

「カクテルに関しては横浜の中でじゃ、この店が一番だよ」
カウンターの端の方で女性バーテンダーと話している常連とおぼしき男が二人にそう言った。
「若い子だと話しかけるのやめたら? かっこう悪い」
「そこは他のお客さんの迷惑だからって言えよ。なんか嫉妬されてるみたいで気持ち悪い」
台詞とは裏腹に常連の男はどこか微笑んでいるように見えた。
そして、その常連の男と話している女性バーテンダーは左右の目の色が少し違うように見えるが、不思議な雰囲気のある美女だった。
二人は取っ組み合いでもするんじゃないかと思うほどの口げんかをしているが、どこか会話を楽しんでるようにも見える。

「すみません。いつものことなので気にならないような放置しておいてください」
カウンターの逆の端にいた美青年のスタッフがそう言った。
「気になるなら速攻で止めますので」
「シンゴ。そんなこと言わなくても止めるよ」
長身痩躯のバーテンダーは美青年にそう言うとけんかしている二人の方を見た。
その視線を感じて二人は口を閉じた。
これといって睨んだわけではない。ただ見ただけだった。
それがなおさら怖いもののような気がしたが、口を閉じていたのは一瞬だけでお構いなしに常連らしき男が口を開いた。

「空気悪くしちゃったな。申し訳ない。一杯おごらせてくれないかな?」と常連の男は女性二人に申し出た。
「いや、大丈夫です。なんかおもしろかったし」
ナツノはそう言って笑った。
「そう言ってもらえると助かる。いや、実際断られること前提で話してみたんだよ」
「じゃあ、ください」
「言うんじゃんかった」
ナツノはケラケラと笑った。
「お兄さんおもしろいね」
「なっちゃん。初対面の人に失礼だよ」
アヤはそう言ってナツノの袖を引く。
「そう? ナタリアは心配性だね。この状況でどうこうなるわけないじゃん」
「へー。ナタリアってハーフ?」
「ううん。この子成田アヤっていうんだけど、高校の自己紹介の時に咬んで「な、ナタリア……あ!」みたいなことになって、それ以来高校3年間ナタリアだったんだよね」
アヤはそれに対して不服そうに「それは言わないで」と避難の目で見ていた。
「生粋の日本人か。確かに濃い顔の美人だけど、外国人風ではないもんな」
「でしょ? もう高校時代の3年間そう呼んでいたから今更直せなくなって。町中でうっかり言っちゃうから恥ずかしくて」
「それは直さないなっちゃんが悪いんじゃない」
「そう? あーおもしろい……ちょっとトイレに行ってくるね」
飲みかけのジンフィズをぐっとあおるとナツノはトイレの位置を聞いてトイレに消えていった。
「すみません。水をいただけますか」
「かいこまりました。ちょっとお酒強かったですか」
「いいえ。前の店でも飲み過ぎたので」
氷の入った水をマスターは二つ用意して女性客二人の前に置いた。

ナツノがトイレに消えるのを見て常連の男はアヤに話しかけた。
「なーナタリア」
「もう呼び捨てですか? その名前なんですか?」
「あだ名に敬称をつけるのは変だろ?」
「せめてアヤくらいにしてくれませんか?」
「ナタリア。なっちゃんはなんであんなに無理してるんだ?」
「え? ……わかるんですか?」
「ああ。そういう匂いがするんだよ……失恋とか?」
アヤは「失恋したのは私の方なんだけど」と言いそうになった。

しかし、確かにおかしかった。
ストレスやメンタルが弱っているとナツノは無駄に料理を作る。
今日はその兆候が著しかった。
3日分にもおよぶ量を作ったのは見たことがなかった。
過去の傾向からすると失恋しても一度に食べられないような量だったが、さすがに3日分の量というのは見たことがなかった。
言われるとどんどん不安が鎌首をもたげる。

「ミツルいい加減にしなさいよ」
「ああ。人の領域に入り込むのは信条じゃないが、ああもバランスが悪いと見てられなくてな」
「何が言いたいかわかってるの」
「ああ、サキわかってるよ。すまない。迷惑かけるから謝っておく」

常連客のミツルと女性バーテンダーサキの会話はナツノがトイレから出てきたことで強制的に遮られた。
「マスター。アクアマリンって作れる?」
「できるけど……お節介じゃないか?」
「まあ、そう言わずに」
「やっぱりダメだよ」
「そうか……じゃあ、気が向いたら出してくれないかな?」
「向かないよ」
「ケチ」

ナツノは戻ってくるとミツルとマスターの顔を交互に見た。
「何がケチなんですか?」
「いや、さっき言われたから1杯だそうかなって思ったんだけど、オーダーしたカクテルは作れないって言われたんだよ」
「どうしてですか?」
マスターの顔を見ながらナツノは尋ねた。
「人様のオリジナルなのでちゃんと同じ味に作れないかもしれないので」
「カクテルなんていつか誰かが作ったオリジナルだろ。オリジナルを超える味を作り出す一流の贋作師が何を言うかな」とミツルはマスターに突っ込みを入れる。
「確かに一流だと思います。あ、贋作師という意味じゃなくて。バーテンダーとして」
ナツノが後を追うようにそう言った。
「ということで、彼女に出してあげて」
ミツルは間髪入れずにマスターにオーダーした。
それに続くようにナツノも同じことを言った。
マスターはため息を一つついてミツルを一時出入り禁止にしようかと考えた。
シェーカーを取り出しカウンターに置く。
ラム、ブルーキュラソー、シャルトリューズヴェールを並べる。
ライムを搾る。
ラム40ミリ、ライム20ミリ、ブルーキュラソー1tsp、シャルトリューズヴェール1tspをシェーカーに入れて氷を詰めてシェイクする。
ソーサー型のシャンパングラスに注ぎ氷を浮かべる。

「お待たせしました」

青色の液体の入ったグラスをナツノの前に差し出す。
「じゃあ、遠慮なくいただきます」
一口口に含んだのを確認してミツルは口を開く。
「このカクテルの名前はアクアマリン。アクアマリンは気持ちを素直にさせる力があるパワーストーンなんだよ」
キッとナツノはミツルを睨んだ。
すっとミツルは目を細める。
ミツルの元から微笑んでいるように見える顔つきが余計に笑顔に見えるようになった。
「どういう意味?」
「何をため込んでるのかは知らないけど辛そうに見えたんだよ」
「今日初めて会った人に何がわかるっていうの!」
「わからないから聞かせてくれないか」
「何も知らない人に教える理由はないわ」
「「理由がない」ね……ため込んでいることはあるってことだな。俺は兎も角高校時代から知っている彼女にも言えないのか……すまない。ちょっと卑怯だったな。苦手なんだよな。人がなんか無理しているのは」
「ずるい。先に謝られたら責められないじゃない」
ミツルは深々と頭を下げた。

「なんで世話をやくんですか?」
その言葉を聞いてミツルは顔を上げる。
「だから言ったろ。辛そうな女が嫌いなだけなんだよ」
「それだけで? お節介ですね」
「そうだよ。それだけだよ。バカみたいだろ」
「ですね。普通なら怒って帰りますよ」
「そうだよな。でも、よかったら話してくれないかな? これと言って解決できるとは思っていないけど、話をすれば気持ちは少しはましになることもあるだろ」
「そうやって女性を口説くんですか?」
「あいにくとこの店じゃ口説かない。いろいろ面倒だろ? 常連面させてもらっている店で色恋は御法度なんだよ」
ナツノはサキを見た。
肯定するようにサキは小さく表情を変えた。
それを見て一瞬何か不安げな表情になったが、観念したようにナツノは口を開いた。
「腐れ縁だった男と二度と会わない約束をした。それだけなんだけどね」
「それだけねえ……腐れ縁ってことは大抵一定の年月一緒にいて何らかの感情が存在したわけだろ。いわゆる「情」ってやつはそこに確実に存在しているはずだからな……たぶん、きみを辛くさせているのものの名前は喪失感だな」

ナツノは黙っていた。
ミツルはほぼ無色透明なロックグラスに入った酒を一口口に含んだ。

「理解したくないという気持ちが先にあるから得体の知れないものになっている。失ったものを失ったと認めたくないから気持ちが不安定になり辛くなる。なーに。名前を与えれば存在は確定するからじきに気持ちも落ち着くよ」
見る見るうちにナツノの顔が蒼白になってゆく。目が見開かれ心の中のざわつきと同じくからだが小さく震える。
喪失感という言葉で片付けられたくない。

この気持ちにその名前をつけないで。
勝手に終わらせないで。
言葉を口にしようとしても吐き出せない。
遠くで男の声が聞こえている。酷く間延びした声が聞こえるが何をしゃべっているのかわからない。

出会ったときに互いに恋人がいた。
つかず離れずの距離に甘えていた。
比較した。いつも比較して恋人に対する熱が冷めていった。
タイミングが悪かった。こっちが恋人と別れると相手に彼女ができた。
仕事も忙しかった。それにかまけて連絡をしないでいた。それが救いだった。
逃げ込んでいた。自分の気持ちと向き合った時にどうしようもないところまで来たのかもしれないと思った。だから、目の前から消えようと思った。
決心した。
二度と会わないでおこうと思っていた。
それなのに「付き合っちゃおうか」と言われたときに胸の奥に衝撃が走った。
決意を崩壊させそうなほどのインパクトだったが踏みとどまった。
恋人がいるのにそんなの無理に決まってる。
一瞬喜んでしまった自分の浅ましさに憎悪した。
感情が複雑になりすぎてきっと能面のように無表情になっていただろう。
喪失−
失って二度と戻ることのないもの……

「お客様!」という大きな声でナツノは現実に引き戻された。
声の主はこのバーの店主だった。

自分の真横辺りに空のグラスとそれを握っている手が見えた。
その手はアヤのものだった。
アヤの顔を見ると怒りが滲んでいた。
アヤの視線を追うとそこには濡れたミツルがいた。
一瞬何が起こっているのかわからなかったがアヤがミツルに水をかけたらしいことがわかった。

「なんでそんなこというの! ナツノだって辛いんだよ。あんたにそんなこと言われる筋合いなんてない!」

サキはミツルにおしぼりを渡そうとした。
「いいさ。じきに乾くだろ」
「そう。じゃあカウンター拭いてよ」
「そうする」
ひったくるようにおしぼりを受け取ると中腰になり、ミツルは顔から水をしたたらせながらカウンターを拭いた。
「顔くらい拭いたら? 結局カウンターに落ちて意味ないじゃない」
さらにおしぼりを渡したが、それをミツルは濡れていない場所に置いた。

「ナタリアごめん。行ってくる」
「え?」
ナツノは鞄から財布を取り出し5千円札を置く。
「なっちゃん?」
泣き出しそうな顔でナツノはアヤを見た。
「こんなに大事になってたなんて思ってもみなかった。バカすぎるけど行かなきゃ。ははは……初めて人の恋愛に割り込もうとしている。怖いね」
ミツルは一度鼻を鳴らし「誰かの不幸が自分の幸福に繋がっているとか言わないが、傷つかない人間関係だけなんてあり得ない。それは真剣になればなるほどに。恐れるな。自分に真摯でなければ他人と正面で向き合えない。気づいてんだろ」と言ってカウンターを拭いていた。すでに水がなくなっているので、ただのポーズに過ぎないのだが。
ナツノは一度深呼吸して「ごちそうさまでした」と言って店を出た。

ドアの閉まる音を聞いてミツルは席に腰を落とした。
使っていないおしぼりを広げながら天井を仰ぎ深く息を吐き出す。
そして広げたおしぼりを顔の上に乗せる。
「ただのおっさんね」
「おっさんだよ」
「かっこわるい」
「ああ、生まれてこの方かっこよかったことなんてなかったよ」
「ネガティブね」
「ペシミストだからな」
「そう」
「ああ」
マイナスな会話の流れだがどこか穏やかな日だまりの中にあるようだった。

「あのー」
取り残されて行き場を失い冷静になったアヤがおずおずと口を開いた。
「ナタリア。水いいタイミングだったよ」
おしぼりを取ってアヤを見た。
「すみません。ついカッとなって」
「計算外だったけど、効果的だったな。マスターの声は通るからなっちゃんをこっちに戻してくれると思ったんだよ。ただ、どうやって声を出させるか悩んでたら、まさに呼び水」
そう言ってミツルは笑った。いや、笑ったように見えただけかもしれない。元々ミツルの顔立ちは微笑んでいるように見えるからだ。

「なっちゃんはナタリアみたいに真剣に怒ってくれる友達がいて幸せものだな」
「あんなこと言われてるの見たら普通誰だって怒ります」
「そうね。この人は他人を怒らせる天才だから」
サキはアヤに同調して小さく笑いながらそう言った。
「それは今日に限っては褒め言葉として受け取っておくよ」
「いつも褒めてないから安心して今日も貶されてると思ってね」

アヤは少し離れたところにある窓を見た。正しくは窓の外を見たのだが。
「気になるか? 大丈夫だよ。彼女は上手く行っても行かなくても後悔しない。そして、根拠はないけど上手く行く。そう仕向けたのだから上手く行ってもらわないと困る」
「ううん。たぶん上手く行くと思う……」
「なんだ。寂しいのか。大丈夫だよ。ここに来ればいい」
アヤは少しどきっとした顔になったがすぐに怪訝そうな顔になった。
「お気に入りのお店じゃ口説かないんじゃないんですか?」
ミツルの微笑んでいるように見える口元がすっと上がる。
「口説いちゃいないさ。営業だよ。この店に新しい常連を作るね。口説かれたいなら店を変えようか」
本気とも冗談ともとれる口調で顔には笑みを浮かべてミツルはアヤに言う。
「ごめんなさい」
ちょっと間を置いてアヤは答えた。
「こんなのばかりじゃないから、店には来てね」
サキがフォローする。
「はい。是非。あ、でもご迷惑おかけしてしまったから……」
「お気になさらずに。悪いのはその男ですから」とマスターにしては珍しく少し語気に怒りが含まれているような気がした。
「マスター怒ってる?」
「わかるだろ」
「すみませんでした」
「いい加減にしないと本当に出禁にするからね」
「肝に銘じます」
ミツルは深々と頭を下げた。
「本当に頭下げるのだけは得意よね」
サキはその姿を見てため息と共にその言葉を吐き出した。
店に笑い声が響いた。

それからアヤはなんとなくこの店に足を運ぶようになる。
常連として今夜がその最初の日となった。

| Scrap Heaven | 00:22 | comments(1) | trackbacks(0) |
まああれな充実感
JUGEMテーマ:日記・一般

 階段の踊り場で背後からぎゅっと抱きしめて「このまま時間が止まればいい」と知らない女性に言いたいだいです。犯罪者だ。

さてーさてー。お気づきの方もいらっしゃるでしょうが本当にちょっと前に誕生日でした。
いえーい。
でも、誰からも祝福のメールとかもらえなかったので、自分からmixiのボイスでつぶやいてみたんですけど、あっという間に流れていきました。
悲しみって身近なところにあるんですね。

そういや、当日祝福してくれたのは母親くらいでした。
妹なんか3日も遅れて「ごめーん。忘れてた☆」みたいなのりでメールくれました。のりが若いが実年齢は高いだろってメール見て携帯へし折りそうになりました。
年を取るたびに心が鋭利になっていくようです。
このままだとジャックナイフとか呼ばれる日も遠くないような気がします。
触るもの皆傷つけずにはいられないよ?

あ、でも、当日は友達がちゃんとごちそうしてくれたし、前日は告知済みのサプライズパーティーも開いてもらったし、翌日はBBQでシャンパン飲ませてもらったし、その次の日はデートからの食事だったしで、あれ? 言うほど悲しくないかもしれない。
ちょっとリア充っぽい。
てか、リア充だ! これ。
いいんだよね? 彼女とかいなくても。
世間的にリア充でいいんだよね。

てかさ、彼女とかいいから家政婦欲しい。
ほら、あっちの処理までしてくれるような人ですよ。
メイドコスとかいらないから。
どうしようもなくなったときに処理を手伝ってくれるような人が。
いないかなぁ。金で解決出来るほど裕福じゃないから無理か。

さて、そんなおいらですが、KARAと少女時代とブランアイドガールズとアフタースクールを全部混ぜられたら見分けがつきません。
ちなみに東方神起と2PMとビーストを混ぜられても判断がつきません。
モー娘。をAKB48に混ぜてもわからない自信があります。

あと最近人の声が遠くなりました。
近くでものが見えにくくなりました。
物覚えが悪くなったし、昔は視覚と聴覚と嗅覚がバラバラで処理できたのに最近では視覚情報が圧倒的に優位になっている。

……これ老化?
てことは、家政婦さんがするのはもっぱら下の世話だ。

ははははは。
てか、違う意味の下の世話したりされたりしたいです。
こっちはまったくリア充してない。

| 雑記 | 17:25 | comments(0) | trackbacks(0) |