ブログランキング


CALENDAR
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< March 2020 >>
SELECTED ENTRIES
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK
CATEGORIES
ARCHIVES
メールフォーム
MOBILE
qrcode
PROFILE
OTHERS
SPONSORED LINKS

もすこみゅーるだんでぃー

だらだら垂れ流しています
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
海からくるもの(ほら話)
JUGEMテーマ:日記・一般

 十数年前の話。なので記憶も曖昧なので一部補完している部分があります。

場所は北海道の北の海水浴場。
友達は男3女3で海の家を借りて泊まりがけで遊びに行った。
その中に私はいない。
とりあえず、運転できない男はいらないということだったようだ。(てか、人数的にあぶれたのか?)

そこに行った男グループと飲むことになったとき友達が「行かなくて良かったな」と言った。
男の誰かが急ぎすぎて上手くいかず一族郎党のように誰も女子と上手いこといかなくなったのだろうと思ったら違った。

最初は渋っていたが酒が大分回ってきたころようやくしゃべる気になった。
こっちは酒が飲めないからじれていたのでやっとの思いだった。

北海道の北の海水浴場では湘南辺りの海の家なんか流行らない。
あまりにも夏が短いので儲けにならない。
そのためペンションのなようなものと海の家のようなものがドッキングしたようなものがあるそうだ。
人から聞いた話で十数年も前の話なので当てにならないが。

さて、そんな場所で足を水に浸すことくらいしかできないような冷たい海だが、それでも夏の海となれば、少しはテンションも上がるのが若気の至りというものだろう。

海+男+女+夜=火遊び
みたいな理屈でことが始まった。

もちろん花火だ。

食後のお楽しみとして花火をすることになった。
海の家の近くはコンクリなので、せっかくだから砂浜でやろうと少し歩いて砂浜に出た。
それどほ距離はないところですぐに砂浜になるからそこまで行くのは面倒ではない。
ほんの10メートルちょっとくらいのものだろう。

最初は楽しくやっていたが、途中から雲行きが怪しくなった。

20、30メートルくらいの距離に小型の漁船が何艘か置いてあった。
漁船と言っても大型のボートにエンジン(モーター?)を取り付けるようなタイプのそんなに大きなものあないやつだ。

参加していた女の子のAちゃんが「ねえ。なんかあそこからずっと人が見てるんだけど」と漁船の方に目配せしながら友人に話しかけてきた。
どれどれと男友達は漁船の方を見た。
「誰もいないじゃん」と男友達はそう言ってAちゃんを見た。

「うそ。あそこにいるでしょ!」とAちゃんは指さした。
男友達はそっちに視線を送るが誰もない。

男友達はなにか盛り上げるためにそんなことを言っているのかと思った。
「ほら。こっち見てるじゃない」とAちゃんは声を荒げて必死になっている。
「やだ。こっちに来る。ねえ。近づいてくる」とAちゃんはさらに声を荒げて必死に訴えるが男友達には見えない。

声が大きくなったので他の友達も何事かとAちゃんの周りに集まった。
「嫌! ここは嫌!」
そう言っているが動こうとはしない。
「じゃあ、海の家戻ろうか」と腕を取ったがやはり動かない。
「来る。こっちに来る」とAちゃんは大騒ぎをしているが、微動だにしない。
異常な状況に男3人が抱えるようにして動かそうとする。

するとぐずった子供のようにいやいやして掴まえられない。
「こっちに来る。こっちにーーーーーーーー」

さすがに常軌を逸していると思い1人が後ろから抱きつくようにして押さえ込み、1人が足を持ち上げたところで、もう1人が腰の辺りを支えるという不自然な形で無理矢理移動した。

船の方を見せると騒ぎ立てるので顔をそっちに向かないよう残った女の子2人が船と女の子の間に入るように壁になった。

「ぎゃーーーーーーーーーっ!」

再びAちゃんが悲鳴を上げる。
それは絶叫に近いものだった。

Aちゃんはちょうど海が見えるような体勢になっていた。

「海から。海から来る。たくさん来る」
そう言って暴れ始めた。しかし、Aちゃん以外誰も海には何も見えない。ただ小さな波が寄せては帰すばかりだった。
じたばたするAちゃんに振り解かれそうになるがここで振り解かれるとやっかいなので、力の限り押さえ込んだ。
結果Aちゃんの後頭部が船側になるよにして、女の子2人で海を遮りなんとか海の家までたどり着いた。

暫くAちゃんは「近づいてくる。どんどん来る」などと叫んだりブツブツ言っていたらしいが、突然気を失って倒れた。
とりあえず、寝室のAちゃんをベッドに寝かせて窓から外を見るがなんともない。

ダイニングというか海の家のように人が集まることのできる広間に残りのメンバーで集まり暫く話し合って花火の続きをしようかということになった。
どのみち花火を片付けないとならないから外に出なければならない。
人影もまったく見えない。
何より夏の思い出がこれでは台無しだ。それが勝っていた。

いざ外に出ようとドアに手をかけた。

「開けないで。入ってくるから」

いつの間にかAちゃんがいた。
見えない何かよりもいつの間にか背後に現れたAちゃんの方が怖かった。

「ほら、もうそこまで来てる。海からどんどん来る。窓のところ!」
泣きながら半狂乱でAちゃんはそう言った。
しかし、誰も何も見えない。

そして、この時点で全員の心は折れた。

見えていない方が間違っているような気になったからだ。
そうなると穏やかな夜の海が不気味なものに思えてならない。
波のリズムに合わせて水面に何かが出てきそうだった。
岩場の陰に何かが潜んでいるかもしれない。
漁船の陰に何かが潜んでいるかもしれない。
疑うとどんどん恐怖が濃くなり言葉は悪いが1人はAちゃんを見張り、残りの全員で鍵の確認をすることにした。
それから全員で広間に集まり朝まで寄り添って眠ることにした。
当然Aちゃんを見張る形で。いきなり起きてどこかに行ったりしないかという怖さがあった。

風の音でさえ何か悪意のあるものが起こした行動のように思えた。
海なのだから海風が吹き付けるのは当たり前だ。
しかし、海から上がってきたものが何かをしているような気がして震えた。
当然こんな状況で眠れるわけもなく朝を迎えた。
あれから目覚めることなくAちゃんは眠っていた。

恐怖の夜は明けた。
結局なにも起こらなかった。

「おはよう」

全員がAちゃんを見た。
「ごめんねー。なんか夕飯食べたら眠くなっちゃって。みんな花火したの?」

全員の頭に浮かんだのはそれだけだった。

1人の女の子が「ちょっと。Aちゃん昨日……」と言いかけて口を噤んだ。
きっと本当に覚えていない。
これが冗談だとしたら昨日の夜の出来事はいったいなんだったのか。
誰も得をしないことを敢えてやる理由が見あたらない。
後々わかるのだが女子の間ではこのメンバーの中で両思い確定なAちゃんがその空気を壊す理由はないとのことだった。
だが、こんな状況で意中の男がAちゃんに対する思いが変わったとしても仕方がなく、なんとなく疎遠になり2人は結ばれることはなかった。

結局Aちゃん以外誰も何も見ていない。
実際に見えていたのか。
何かが原因でヒステリーを起こして幻覚を見ていたのか。

ただ、これを書いているときに限って異常なくらいに肩が重くなりこんな文章なのに三日以上かかった。
何かに邪魔されたかな?

皆様の身に何も起こりませんように。

| ほら話 | 23:16 | comments(0) | - |
すずめない程度の話
JUGEMテーマ:日記・一般

基本全裸のだいです。脇汗止まらない。

夏なので例体験の話でも。

10年以上前に占い師に見てもらったところ色々と引きつけるけど、簡単に出て行く星の下に生まれたようで、わかりやすく言う「来る者拒まず去る者追わず」という運気の元にいるそうです。
これは人にも金にも言えるらしく、人脈などでものすごく裕福ではないが金には困らない運気を持つとか言われました。
まあ、これだけならいいなーと思いますが、どうもそれだけではないらしい。
霊に対しても同じようで助けを求めてやってくるが鈍感すぎて気づかずに霊が諦めて居なくなるらしいです。
霊感0のくせに依り代体質と言うところでしょうか。

そんな私が数年前のある日知人の通夜に行ったときのことです。
知り合いで固まって話していたときそろそろ通夜も始まると言うときに鞄から数珠を取り出しました。

パーンと数珠が弾けた。

数珠が弾けるなんていいことじゃないですよね。
ですから、一同がざわざわしました。
ですが、故人は大変いたずら好きでしたので、故人のいたずらということにしました。
それ以外には特に何があるわけでもなく通夜は終了しましたから、それでいいだろうと言うことにしておきました。

なにかで読んだのですが墓参りのあとはまっすぐに帰らず適当な所に寄った方がいいということを思い出して、通夜も似たようなものだろうと日曜にやっているバーに久しぶりに顔を出した。
時間は20時少し前だったような記憶があります。

私以外には誰もいないだろうと思って寄ったのですが、先客が居ました。
女性客で通常は深夜に顔を出す人だそうです。
バーの場合は同じ店の常連でも時間帯によって棲み分けでもしているかのように常連が違う。
私は比較的早い時間帯の常連だったので彼女とは初対面でした。

彼女も占い師でもあるようで暇つぶしに1杯ごちそうする代わりに占ってもらうことになりました。
ちなみに、前述の占い師とは違います。
彼女が言うには自分は近未来しか見えない。どんなにがんばっても2月先くらいの運気までしかわからないのだそうです。
さらにどんなに占ってもらいたいことがあっても別に気にかかることがあれば、それが優先して出てしまうと言われた。
例えば、ここのマスターは恋愛運を占ってもらったら仕事運のことしか出なかった。
私は総合運と言ったが出たのは何度やっても仕事関係の話で何度選んでも同じ結論にしかならなかった。ただ、実際に気にしていたことを言われたので少し驚きを隠せませんでしたけどね。

さて、そんな彼女と話しているときのこと。
やけに石のようなものを触っているので何か尋ねた。

「何を触ってるの? パワーストーンかなにか?」
「……岩塩です」
「岩塩? お清めとか?」
「え? うん。まあ……あまり空気が良くないのでちょっと触ってるんですよ」
「へー……もしかして、憑いている?」と言って私は自分のことを指さしました。通夜の直後だしなにか連れてきたのかもしれないと思い冗談半分だったのですが……
「え? ……ごめん。ちょっと祓っていいですか?」
「マジで? 是非お願いします。実は数珠が切れたんだけど」
「それはたぶん関係ないと思う。ただの劣化かな?」
そんなことを言って彼女は手に持っていた岩塩を私の手の上に置きました。
「持っててください」
そう言うと背中はパンパン叩きました。
「痛くないですか?」
「あ、遠慮せずにやってください」
「じゃあ、そうします。けっこうがっちり憑いているので力ずくではがします」

がっちりって。

そこから本当に遠慮がなくなりパンパンがバンバンに変わりました。
5分くらい布団でも叩くように彼女は私を叩きました。

息を上げながら彼女は「すみませんでした。痛くなかったですか?」と尋ねてきた。
どうやら終わったようです。
「いえ。そちらの手は大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫です。空気が良くなったから呼吸が楽になりました」
「そういえば心なしか空気が美味しいような気がします」
空気に甘みのようなものを感じました。たぶん、思い込みでしょう。
ついでに呼吸も楽になりました。これも、たぶん、思い込みでしょう。
取り憑いていたものが何かはわからないけど「たちの良くないもの」ということでした。

感謝をして話していました。
美人と言ってもいいくらいの女性でしたから下心がないというと嘘になるのですが、話の中でとんでもなく強力な守護霊がいるらしいので、そんな気持ちで近づくとなんかとっちめられそうでお茶を濁したような会話しかしませんでした。

それから暫く話して30分も過ぎた頃でしょうか。
この店で知り合った常連客の男性がやってきました。

彼と適当に挨拶をして彼女の方に視線を向けるとおもむろに岩塩を握っていた。

「おーい。おまえ。彼女にお祓いしてもらえ」
「え?」

彼女に聞いたらどうやら彼の方がたちが悪いらしい。
「今夜はなんなの?」
そう言いながら飲み仲間の背中を彼女はバンバンたたき出した。

よもや次に来た客もそうなるとはこのとき誰も想像していなかったんだ。

なぜ丁寧に書いているのかは謎です。

| ほら話 | 11:07 | comments(0) | - |
とりあえず

 自分のため息が深くて驚くだいです。ふー。

ここ最近非常に忙しく更新することもままなりません。
ついでにブログに対する熱も冷めておりますので、一端幕引きとさせていただきます。
なんとか月1更新はやってきましたが、どうにも対応ができないようです。
いい加減いい年にもなりましたし、阿呆みたいなことばかり書いていても仕方ないですしね。

何より書きたいこともいまいち見あたらないしね。

少し周りが落ち着いたら帰ってきたいと思います。

とりあえず、7月の番組改編で見るものが少なくなれば書けそうな気がします。

| 雑記 | 00:09 | comments(0) | - |
つれづれ

はー。月曜の朝のため息が異常なまでに深いだいです。大丈夫かしら?

金環日食見られましたか?
おいらのところは小雨で薄日が雲越しに漏れる程度の感じでした。
目がそんなに強くないのであまり長時間見ることはできません。
まあ、強くても見ちゃダメですけどね。
ムスカみたいに「目がー。目がー」ってなっちゃいますよ。
これが言いたかっただけなんですけどね。

日曜日は髪の毛を切りに行ったんですね。
地元密着型の美容室を利用しているんですよ。
この美容師さんと飲み屋で知り合ってから、かれこれ10年くらい通ってます。
カットしかしないので2000円とかで済ませてもらっています。
ありがたいことです。本当にいいのかなぁ?

今回は来月に控えた誕生日プレゼントももらってしまったし。
なんかスプレーみたいなものもらいました。
「育毛剤とかじゃなくて頭がすーっとする夏に使うやつだから使ってみて」
敢えて育毛剤とじゃないと言われたのが育毛剤が必要と言われたような気がして仕方ありません。
家に帰ってから使用方法を読もうとラベルを確認したら「育毛トニック」と書かれていました。
とどめを刺された気分です。

で、髪の毛を切っている途中で50代後半くらいの金髪で短髪のおっさんがやってきました。
この店は親子で経営しているのですが、お母さんの方と話していました。
聞くとも無しに聞いていると、どうにもちょっと胡散臭い健康商法とかやってる感じです。
そして、がっちりおねえ系でした。
全力だなぁ。テレビの濃いおねえと同じくらいにしゃべり方が濃かった。
フリーの状況で初めて見た。その手の店に行って見た時以外この手の人を見たことがほとんど無いから新鮮な衝撃でしたね。
変な絡まれ方もしなかったからいい人なんでしょう。

家に帰ってちょっとだけ寝ようと18時に寝たら21時に目覚めるという状況です。
眠気が強かったのですが、勿体ないからと起きていたら、今度は逆に寝付けなくなるという展開に陥りました。朝6時に起きるから2時過ぎると結構デッドラインなんですけどね。
すでに2時半です。あと30分くらいが本当にリミットだなぁ。

おまけにそんな時間だというのに何故か烏が異常に鳴いていてそれも相まって睡眠への導入はより困難に。
夜中に烏が鳴くって異常なんですけど、都会ならではの現象でしょうか。
セミも夜中に鳴くし。明るすぎるんですよね。

で、急に烏の声が小さくなっていった。
飛び去ったのか。
あるいは誰かが烏を捕まえたのかな。
途中で人の声が聞こえて烏の鳴き声が小さくなったからなあ。
これはこれでなんとなく怖いんですけどね。

あとやたらとサイレンが鳴っていた。

日食が近づいて動物全般のバイオリズムでも狂ったのかな?
満月の夜は犯罪が多くなるとかという話もありますし、太陽のフレアも電磁波でなんらかの影響も懸念されるので、何かがあってもおかしくないのかもしれませんね。
人に影響があることがこんなにあるんだから、おいらがちょっと鬱っぽくなっても仕方がないですよね。

もうどうにかして自分を正当化しないとやってられません。
何も思いつきません。
発想が脆弱になっています。
というか、何も考えたくない状況ですね。
妄想話さえろくに思いつかない。
逃げ込みやすいところに逃げたい心境ですし。

死にたいとかじゃないんですけどね。
何もかも諦めているような心境です。
絶望とか簡単に口にするような状況ですから生死の話は大丈夫です。
本当にやばくなったら口にしませんもん。

これも全て月と太陽の影響ですよ。
狂気を意味する言葉に"lunatic"という言葉があるように月は元来人を狂わせるとされています。
電磁波で脳がやられるとか言われているし。
ちょっとくらい心が壊れかけても仕方がないですよ?

とりとめもなくてすみません。
心に浮かぶよしなしごとですよ。今日は徒然ですよ。
最後になりますが、今心に浮かんだことといえばこんなことでしょうか。

女の子のおっぱいが揉みたいです。
月と太陽が狂わせるんです。

JUGEMテーマ:日記・一般

| 雑記 | 22:32 | comments(0) | - |
sideB 26
あれから手癖だけで作れるような作品でなんとかほぼ毎日徹夜で描き上げた。
ろくな作品ではない。
生み出しておいていうのも何だが読者にも作品にも申し訳のないものだった。
漫画好きには到底納得できないような内容で自分でも最低だと思っていた。

「クリスマスは家族と過ごすけど23日は泊まりに来るから好きなだけできるよ!」とメイは宣言していた。
「俺はそんなにセックス好きじゃない」とかいうと「私じゃ満足でないっていうの?」とか面倒な切り返しをしてくるのが目に見えていたから「友達の家に泊まるとか言うのか?ずいぶんと信用されているんだな」と言った。
「ううん。彼氏の家に行くってちゃんと言った」
「は?」
それが俺が出せた精一杯の言葉だった。
「私友達少ないし、泊まりがけで遊べるような友達は居ないの」
「そうなのか?」
「うん。みんなバカだし話が合う子は連むのが好きじゃないタイプの子ばっかりだし」
こめかみ辺りを強く抑えて目を閉じる。
俺の周りにはどうしてこうも生き方が不器用というかなんというか、そういうタイプの人間しかいないのだろうか。
「好きな人が一緒にいればそれだけでいいもの」
「幸せというのはこういうことを言うのよ」と言わんばかりの満ち足りた優しい笑顔でメイは言った。
メイと付き合っていなかったらメイは俺のストーカーになったんじゃないかと不安になることがある。
かといってそれらしい素振りは見せたことがないから、そんな心配はいらないのかな。
携帯をのぞき見したり、尾行されたりというのはない。
ただ、俺の仲のいい人を毛嫌いする傾向はある。
男なのに剣崎さんが筆頭にだったりするから、女心というかメイの考えはわからない。

「だから早く子供作ろう」
「なんでそうなるんだよ」と普通のツッコミをいれて言葉を続けた。
「高校生だろ。これから大学だって社会人になって色々体験した方がいいだろ」
するとメイはわかっていないとため息を一つついた。
「だって、私の人生は一度きりだよ。自分のしたいことを優先するなんて当たり前じゃない」
「出会った頃は世界一周が夢とか言ってなかったっけ?」
「そんなのセイちゃんが亡くなった後にだってできるじゃない」
「先に逝くの前提かよ。まあ年の差から行くと俺のが断然先だけど」
「そうでしょ。私はセイちゃんが亡くなるのを看取ることも人生に含まれているの。だって、セイちゃん私が先に死んだら生きていけないもの。セイちゃんと付き合って私の人生設計は変わったの。優先事項の一番はセイちゃんと家庭を作ること」
きっぱりとすっきりとさっぱりと言ってのけた。

「本当に俺の所に泊まるって言ったのか? 親はなんて言ってたんだ」
「避妊はしっかりしろって。あと近いうちに連れてこいって」
「ずいぶんと放任主義な親だな」
あっけにとられながらそう言った。
「社会適応能力の低い私のことを考えると嫁に早く出したいんじゃない。でも、世間体があるから学生のうちに子供は作らせたくない」
「おまえは斜に構えすぎだよ。もう少し愛されているだろ」
「うちは妹が体が弱いからそっちにどうしても気持ちが行っちゃうから。私もそれでいいと思ってるし、妹はかわいいし、両親が好きだから早く独り立ちしたいんだ」
「それでいて目指せ扶養家族はないんじゃないか?」
「遅かれ早かれなら若い奥さんもらった方がお得じゃない? それにちゃんと仕事はします。セイちゃん養えるくらいの稼ぎを目指さなくちゃだけどね。そうなると大学は出た方がいいか……うーん。家族計画が遠のいていく」
漫画のキャラクターのように首を深くひねって悩んでいる。
滑稽だがそれもよく似合う。
愛しさ半分おかしさ半分で吹き出したらメイがキッと睨んで飛びついてきた。
メイはこの上なくキスが好きだ。
ただ、それは俺が距離を置こうとするから安心が欲しいからなんだと思う。
中途半端に逃げようとするスタンスが彼女を拘束していることに気がついていた。
それでもそれを辞められない俺は孤独が苦手なクズなのだう。
孤独が本当に得意なやつなんていない。だから、誰かに寄り添いたい。
俺のようなクズはそうやって誰かを殺してゆく。
相手の時間を浪費させるのは死を与えるのと同じだ。
その人間の一生は限られている。それを俺が台無しにしようとしている。

「おまえは優しすぎる。他人の舞台で脇役演じてどうするんだよ」と剣崎さんに言われたことがある。
自分の舞台で主役を演じるより他人の舞台で脇役に甘んじている方が楽だった。
それが他人の時間を無為にさせるものだとしても。

メイの柔らかい唇が押し当てられる。
少し体温の低いメイの舌が滑り込んでくると脳の奥の方がじわりと麻痺にも似た感覚が広がる。
これが何かはわからない。罪悪感なのかあるいはもっと甘いなにかなのか。
そして、この後は必ずセックスに流れる。
ほら当たり前のように俺は反応している。

それから当たり前のように12月23日にメイは泊まりに来て二人きりで過ごすことになった。

クリスマスイブは結局一人で過ごしている。
日中はメイに引っ張り回されたが夜は一人になった。
分かれた後に一抹の寂しさがあったがそれは素知らぬ顔をしておくことにする。

けんちゃんの店で飯を食って酒を飲んだ。
「ミツルさんがいないと寂しいだろ?」
「いや、今日はちょっと会いたくないかな。それにデートだって聞いているよ」
「へー。それは奇特な相手もいたもんだ。まあ、確かにこんな夜に男三人ってのもつまらないからこれぐらがちょうどいいか」
「ああ。そうだろ」

なんとなくまっすぐ帰る気になれず剣崎さんに連れて行かれたバーを探してみることにした。
デートの時に自分のねぐらを使わないと前に言っていたからきっといないだろう。
別れたときに面倒くさいというのが剣崎さんの言だが、別れるのが前提で場所を選ぶ
人に連れて行かれると道を覚えない。
見つからなければそれまでだ。縁がなかったと諦めよう。

不意に一人の男が目に入った。

男は建物の入り口で佇んでいる。
首の後ろに一度右手を当てるとそこを二度掻いた。
掻いた右手を眺めて胸から倒れ込むようにして建物の中に消えていった。

男の挙動が奇妙でなんとなくそちらを避けて違う道を進んだ。
数分うろうろして結局見つからずあの奇妙な男のいた辺りに行くことしにた。

男のいた建物の前に近づくと目的の店だった。
ふとあの男のことが気になって階段の先を見上げていた。

気がつくと男と同じ姿勢になっていた。
右手で首の後ろを押さえて掻いていた。
なんだか気味が悪くて俺はその手を見た。その姿勢まで同じになったとき後ろから何かがぶつかってきた。たまらず前のめりに倒れそうになる。
数分前に見た男の挙動と一致していた。

「す、すみません」

振り返ると大きな鞄を持った女が立っていた。
かわいらしいタイプに属する女性だ。

「あ、いえ。大丈夫です」
実際に大丈夫だったが、それよりも男の動きと一致していることが気持ち悪かった。
俺の言葉を聞いてほっとした表情を浮かべてもう一度謝ると彼女は階段を登っていった。
行く先はどうやら同じらしい。
レトロ映画に出てくるような狭い階段を登ると「OPEN」の表示の看板が出ていた。

中から声が聞こえてきた。

「せ、先生ぇ。先に1人でお店に入らないで下さいって、あれほど言ったじゃないですか!!」
息を切らせて先ほどの若い女が声を上げていた。

「紹介するよ、ボクの助手をやって貰っている、美島麗ちゃん。あ、彼女については、ボクより皆さんの方が詳しかったかな?」
その声を発したのは先ほど見かけた奇妙な男だった。
正しくは覚えていないが間違いようがない。纏っている空気がここの階下で見た人物と同じで特異だったからだ。

「うん? おや。やはりきたかね。来ると思っていたよ。いや、来るべくして来たと言うべきかな」
漫画のキャラクターを切り抜いて外見を人間風に味付けしたようなタイプだ。
それ故に不安と不快感を与える。
人の姿をしているのに人ではないような雰囲気がそこにある。
これを異質と感じるのは当たり前だ。

「どういうことですか?」
「なにがだね?」
「さっきの言葉です」
「どの言葉かね?」

不毛な気がして俺は口を閉じた。
「大抵酔っていなければここでボクの相手をするのを諦める。きみは実に模範的だよ。」
「お客様」
マスターと思われるバーテンダーが割ってはいらければ店を出ていたことだろう。
「おっとこれは失敬失敬。美島君も来たことだしぼくは彼女との会話に興じよう」
「お断りします。あ、マスターご無沙汰しております。」
奇妙な男の待ち人と思われる美人は男の隣に座る前に一度深々と挨拶をした。
この男は一緒にいる女性を見習うべきだと思う。
「そうなると他にボクは話す相手を探さなくてはならないな」
「黙っていればいいじゃないですか」
「美島君は厳しいな」
「先生はただでさえ人を不快にさせるのですから黙っていた方がいいんです」
「おや。しかし、人は言語でコミュニケーションをおこなう生き物だよ。それができなければ社会不適合者じゃないか」
「それをして先生は不適合者じゃないですか」

所在なげに突っ立っていると長身のマスターが柔らかいバリトンで「こちらへどうぞ」と席へと促してくれた。
席はカウンターのやや中央あたりで常連らしき男の席をひとつ空けて座った。
「確か以前剣崎さんといらっしゃっいましたよね」
「え? 覚えているんですか? 1回しか来たことがないのに」
「たまたまですよ。常連の方と一緒の場合は気をつけているだけですので」
謙遜しているがたぶんこの人は一度あった人を忘れないタイプの人だろう。
漫画のような人がいるものだ。
「飲んだものとかは覚えてませんよね?」
「……ジントニック、ホワイトレディ、サイドカー、スティンガー、フェイマスグラウスの水割りだったと思いますが。なにか好みのカクテルがございましたか?よろしければお作り致しますが」
ドラゴンボールなら感嘆符が10くらい並んでいるような表情をしていたに違いない。
「すごいですね。よく覚えていらっしゃいますね」
「職業病のようなものですよ」
はにかんだように少し笑いながらマスターはそう言った。
記憶の良さが職業病ならバーテンダーになりたいものだ。
「ああ、えーとロングアイランドアイスティーを」
一瞬周りの空気が緊張感に包まれた。
何か地雷を踏んだのだろうか。
「美味しいって話だったので」
緊張から出た言葉が更に空気をただならぬものに変えた。
俺はこんなにも空気が読めなかっただろうか。

「ははは。いいじゃないか。ロングアイランドアイスティー」
そう言ったのはあの奇妙な男だった。
片手に持ったグラスは茶色の液体で満たされていて俺に向けて乾杯するように小さく上げた。
同じものをオーダーしたのかと後悔する。
カウンターを軽く見るべきだった。
それをしなかったことが悔いたが今となっては意味がない。

「かしこまりました」
マスターの声が後悔の坩堝にいた俺の耳に届いた。
ずいぶんと長い間待たされたような気もするがほんのわずかな時間だった。

マスターは手際よくボトルを俺の前に並べた。
ラム、テキーラ、ウオッカ、ドライジン、ホワイトキュラソーのボトルを並べる。
4大スピリッツをシェーカーに入れ、風味付けにホワイトキュラソーを少しだけ入れる。
レモンを搾りシェーカーに入れる。粉糖を少し入れ手早く混ぜ合わせシェーカーに氷を詰める。
長目のタンブラーにシェーカーから注ぎ、コーラを注いで軽く混ぜ合わせる。
レモンスライスとストローを入れて完成する。
一連の動作に淀みがなく美しい。

「お待たせしました。ロングアイランドアイスティーです」

シェイクしたことで口当たりが柔らかくなりコーラ以外の材料は十分混ぜられているので、炭酸も必要以上に攪拌しないで済むので飛んでいない。
アイスティーだからそれほど炭酸にこだわる必要はないのだが、気の抜けた炭酸はやはりまずい。
紅茶飲料であれば十分に通じる不思議な飲み物だ。
アルコール度数は決して低くなく、この飲みやすさは悪用できそうな印象だった。
実際に悪用するやつらもいただろう。

件の男が乾杯とこちらにグラスを上げて見せた。
断る理由もないのと酔いも手伝って乾杯した。
あの手の手合いは相手にすればしたで面倒だし、何もしなければそれはそれで絡んでくるので面倒だということはわかっている。
そして後者になった場合大抵ろくなことにならない。
執拗に絡まれる。
あの手の手合いは相手にすればしたで面倒だし、何もしなければそれはそれで絡んでくるので面倒だということはわかっている。
そして後者になった場合大抵ろくなことにならない。
間違いなく執拗に絡まれる。

そんな心を見透かしてか男は意味がありそうで全くないであろう笑みを浮かべてこちらを一瞥した。
仮に意味があったとしてもそれに関与するつもりはなかった。
それにこの手の連中は本来相手にとって意味のないことに意味を持たせることで、自分を優位にする。詐欺師かペテン師の類だ。

まっすぐ家に帰れば良かった。
今更だが俺は少しの後悔を酒で流し込んだ。

到底普通ではない男に対して隣にいる女性は普通に接している。
それが異常なことのように思える。
異常に対して正常な対応というのはどこか壊れているのではないか。
不可解なのはそういうことなのだろう。

女子高生と真剣に付き合うおっさんもそういう意味では異常なのかもしれない。
普通には見られない。
そういう意味では俺とあの男との差は見てくれくらないものかもしれない。

「そう。人間なんて見た目以外は大差ない。ことによっては見た目だって大差ない。他の人種の見分けが付きにくいように人は以外とどんな姿でも他者から見れば差がないように見えるものだ。差をつけるとすればそれが特殊な存在になったときだよ」

俺に話しかけたのかと思って男の方を見ると女性に向かって話していただけだった。
心を見透かされたのかと思ったがそうでもないようだった。
同じ人間とは思えなかった。さっきとはまるで違うことを考えている自分に驚く。
俺とあの男では住んでいる世界も生きるというベクトルさえも違うのかもしれない。
同じ時間軸に居合わせただけかもしれない。
二度と会うことはないかもしれない。
ただ、男の持つ特有の雰囲気のせいかもしれないがきっとこの男とは再び会うことになると思った。

「さて、今日はこれで帰るとするか」
「もうですか? 私まだ飲み足りませんよ」
「きみ。麗くん。なんでも満ち足りればいいというものではないのだよ」
「でも」
「そうだね。確かにきみはここに残ればいい。きっときみに聞きたいことが山ほどあるだろうから」
「……帰ります」
「いや、きみは残りたまえ。今日はそのために来たのだから」
「そんな。先生を帰して飲むなんてできません」
「まあ、いいじゃないか。本来ここにいるべき人物が飲むロングアイランドアイスティーを飲んだわけだし。ボクの役目は終わった。では、勘定は任せたよ。あとで請求してくれたえ」

そういうと男は風のように店からいなくなった。
残された女性は所在なげにその場に座るとカウンターの中の美人に声をかけられた。

ストローで一気に中身を無くすと俺は「ウォッカアイスバーグ」とマスターに向かって言った。
男のまねでここにいるべき人物が飲むであろう酒をオーダーした。

この後俺はこの歯磨き粉のような香りのする液体と暫く格闘しその後飲む酒の大半がその香りで汚染されるという中々に酷いクリスマスイブを過ごすことになった。

JUGEMテーマ:小説/詩

| Scrap Heaven | 11:30 | comments(1) | - |
思いの淵
壊れかけたブラインドから夕日が差し込んでいる。
布団の中でもぞもぞとメイは動いていた。
下着を身につけているのだろう。
俺はといえば素っ裸で腹ぐらいまで布団を掛けたままの姿勢でたばこを吸っていた。
まるでドラマで情事の後の男がするように。

「やめなさい」

冗談半分でメイは俺の股間にキスをしてきた。

「くすぐったい?」
布団の中からくぐもったような声が聞こえてきた。
「そうじゃない。勃つだろ」
「じゃあ、口でしてあげる」
「さっき出たばかりだから。こら」
既に口で始めようとしていた。
布団の中に両手を突っ込んでメイの脇の下に差し込み引きずり出す。
わざと止めていないフロントホックのブラがだらしなく肩からぶら下がっている。
その間から見える胸はお世辞にも大きいとは言えない。
「毎日揉んでもらって大きくするから平気」と言って毎日揉まされるが大きくなる気配はない。
それでも形がいいから時々参考にしそうになるが、さすがにそれはできない。

布団から引きずり出されたメイは脇を持ち上げられた猫のようにも見える。
重さをどこかに忘れてきたように思えるほどメイの体は軽かった。
細くしなやかな肢体だが夕日の影響で女性らしい陰影を濃くする。
そこはかとないエロティシズムを感じずにはいられないが「にゃー」と言って飛びついてから全てが後和讃になる。
そして、いくら軽いとは言え人ひとりの体重を踏ん張りがきかない状況では受け止めきない。
俺は強かに後頭部をベッドの角にぶつけた。
180センチを越える身長と辞めて久しいがラグビーで鍛えた体……といっても、今は無残なものだが。ただ、160センチちょっと越えるくらいのメイを受け止められなかったことにどこかショックを受けていたのは事実だった。

「いってー。危ないだ」
「危ないだろ」とは言わせてもらえなかった。
メイの少し湿り気のある唇が生々しい感触を持って俺の唇をふさぐ。
ちらっとだけ舌を滑り込ませてすぐに唇から離れて笑う。
いたずら者の猫が笑うとこんな感じだろう。そんな笑顔だった。

「間接フェ○チオ」

「はー」とうんざりしながら息を吐き出している間にメイは体を離しベッドから降りる。
雑にブラを止めパンツの中におしりのあまり肉を納める。
下半身デブというがそうでもないと思う。
女の子のコンプレックスはわからない。
俺は頭をさすりながら体を引き起こして着替えているメイを見ながら壁に背を預けた。

何かをハミングしながらブラウスの袖に腕を通しボタンを留めていく。
その姿を見る度罪悪感が胸にこみ上げてくる。

「なあ、いい加減やめないか。こんな関係」

鳩尾辺りまでボタンを留めた手が動きを止めて泣くような顔でこっちを見る。
そして勢いよく飛びついてきた。
「捨てないでー。もっとちゃんとご奉仕するから。終わった後もお口でお掃除するから。そのときちゃんと「お掃除させてください」って言うから。中出しもいいし、アナルも開発していいから。クンニされたら「らめええ」って言うから。イク時は大声で「イクッ」っていうし、中出されたら「熱い!」って言うから」
「いや、全部やらなくていいから」
「じゃあ、どうしたらいい?」
「どうもしなくていいよ」
「セイちゃんの描く漫画ってこんな女の子ばかりじゃない」と頬を膨らませながらメイはそう言った。
その顔が漫画のように滑稽で俺は吹き出した。
「いや、あれは仕事だから。俺はいたってノーマルだろ」
「セイちゃんが初めてで他の知らないからわからない」
なんだか罪悪感と気恥ずかしさで俺は奇妙な表情を浮かべたに違いない。
メイは再びベッドから降りてボタンを留め終えるとここら辺では有名な進学校のスカートを短めに調整して履いた。
リボンをしてブレザーを着ると普通の女子高生の完成だ。
ただ普通と言うには美人過ぎるのだが。
校則がうるさいと髪の毛は染めていない。肩胛骨まで伸びたさらさらとした黒髪が着替えの時に揺れていたシルエットがどこか昔見た心象風景のようで寂しくなった。

「じゃあ、帰るね。あ、そうだ。セイちゃん締切いつ?」
「来週の木曜日」
「じゃあ、今週末トーン張り手伝いに来ようか?」
「いや、あれを一緒に書くのはちょっとしたプレイのような気がするから止めてくれ」
「でも、それじゃあ週末一緒にいれないじゃない」
「そういう約束だっただろ……てか、本当に俺じゃなきゃダメなの?」
「うん。セイちゃん以外はいらいない」
力強く肯定して即決。メイはいつもそうだった。
目的のために手段を選ばないしたたかさも持っている。
「じゃあ、締切終わったら来るね」
俺の頬にお別れのキスをして部屋を出て行った。
きっと10分後にはメールが来て0時前におやすみの電話がかかってくるのだろう。

携帯を見ると剣崎さんから連絡が来ていた。
どうせ飲みの誘いだ。全く筆が進まないから飲みに出かけるか。

いつも使っている居酒屋に行くと剣崎さんはカウンターでビールを飲んでいた。
「お疲れ様です」
「よー犯罪者」
「剣崎さん。ちょっと」
「じゃあ。ロリコンか?」
「いい加減にしてください」
「冗談だよ」
「毎度それで入るのやめてもらえませんか」
「すまんすまん。別に羨ましいからやっかんでるわけじゃないよ?」
剣崎さんは面倒見は良いんだけど口の悪さと性格に難のあるところが玉に瑕だろう。
前に連れて行ってもらったバーで女性のバーテンダーと口喧嘩していたしなぁ。でも、あれは仲がいいんだと思えたからきっと彼女候補なんだろうな。
そんなことを思っていたら剣崎さんが勝手にオーダーを始めた。

「ビールでいいよな。けんちゃん。生とあと適当に料理見繕って」
「適当って賞味期限切れそうなもので出しますよ?」
「いいよ」
「まったく。はい。生。おまちどうさま」
そう言って店主のけんちゃんは俺に生ビールを出してくれた。
同い年とは思えない貫禄がけんちゃんにはある。これが一国一城の主というものだろうか。
「かんぱーい。っと、そういや締切は?」
喉を潤す間もなく剣崎さんは聞いてきた。そんなこと気にするなら呼ばなきゃ良いのに。
似たような業界にいるとそうなるのはわかるけど。
俺は生ビールを喉を鳴らして飲んだ。
「来週の木曜日です」
「描けてんのか? 今日が水曜日だから8日で大丈夫なのか」
「いや、一枚も」
「何ページ?」
「12ページです」
「大丈夫なのかよ」
「いやー。まずいですねえ。でも座っていてもなにも浮かばないので今日は飲んで明日から描きます」
「はー担当泣くぞ」
「毎度のことですから」
「編集として困るからちゃんと上げてやれよ」
「はは。剣崎さんの方はどうなんですか。毎日飲み歩いてるみたいですけど」
「俺はもう終わったからな。基本堅いところ向けだから原稿は確実に上がる」

けんちゃんが「とりあえず」と言って豆腐サラダのようなものを俺たちの前に置いた。
「これミョウガ? おれ苦手なんだよね」
「あれ? 剣崎さん苦手でしたっけ?」
けんちゃんが本当に意外そうな顔してそう言った。
「苦手だよ。全然食えない訳じゃないけどない方がいい」
「意外と偏食なんですね」
「嫌いなものが1つしかないのに偏食扱いかよ」
「いや、剣崎さんって美味いもののためなら食えないもの克服するタイプだろうなぁって思っていたから」
「大した偏見だな。まあ、納豆もニンニクも食べることができるようになったし、むしろ好きになったけどさ。まあミョウガはよけて食うから、早く次のもの出せよ」
「はいはい。じゃあミョウガ尽くしにしようかねえっと」
けんちゃんはそう言いながらカウンター越しのキッチンで料理を作り始めた。

料理と酒を十分に楽しんだ頃剣崎さんが思いがけない言葉を口にした。

「少年誌か青年誌に描きたいなら口添えするぞ」
あまり手を付けていなかった豆腐のサラダのミョウガも面倒になったのか除けることなく口にしながらそう言った。
他人の人生を背負い込むようなことはまずしない人にしては珍しい言葉だった。
嬉しかった。それでも俺は……
「いいですよ……もう、そっちの描き方忘れちゃいましたよ」
徳利を持って剣崎さんの飲みかけのおちょこに近づけた。
「そんなことないだろ。エロゲーだってエロをそぎ落として一般に売り出されるような時代だぞ」
「それとこれとは別の話ですよ」
「絵だけで描いたようなもんに価値なんかないだろ」
「エロ漫画はエロ漫画で必要なんですよ」
「本気で漫画を描けって言ってんだよ。びびるなよ」
「……疲れたんですよ。誰かに何かを期待されるのも期待するのも」
「違うだろ。おまえが期待して失望しているのは自分自身だろ。言わせんなよ。おまえは存分に他人に期待させるものを持ってるんだ。少なくとも期待してんだよ。俺は」
そう言って徳利を引ったくるように奪って自分のおちょこになみなみと注いだ。
追い詰めるようで持ち上げたり引き上げたり。
根がお人好しのくせに屈折しているから素直に表現できない。
けど時々出るストレートな言葉が愚直すぎて、こういうところが嫌いになれないところなんだよな。
長く付き合ってみないとわからないところだからなぁ。敵が多いんだろうな。

「それにメイちゃんのこと考えたらそろそろ潮時だろ」
「なんでメイのことが。関係ないじゃないですか。真面目にってことですか。俺はこれでもエロ漫画にプライドを持ってるんです」
「違うよ。メイちゃんがエロ漫画に反映される前に手を引けっていってんだよ。人間なんて身近にあるものが記憶にすり込まれちまうから反復するように見たり触れたりしたもんは気がつかないうちに出ちまうもんだろ。十代の女の子に背負わせるにはちょっと問題があるだろ」
「そんなこと……言われなくたってわかってますよ」
「仏頂面になるな。そんな反応するってことは危ないと思ってるんだろ」
的を射られすぎて反論さえできない。
剣崎さんは俺のおちょこに酒を注いだ。

「俺はおまえの人生を背負うことはできないし、付き合うつもりもない。それでも横にいるやつが転びそうなのに手を差し出さないほど鈍感にもなれない」
「すみません」
「謝るな。これは俺が勝手にやってることなんだから。こっちも転びそうなら手は離す」
「あー剣崎さんってそういうタイプですよね」
「わかってんな」
「そりゃ長いですから」

大学2年で足の靱帯断裂と骨折でラグビーは諦めた。
それからバカみたいに女と酒におぼれた。身長の高さと筋肉はそれなりに女子からの需要もあった。
半年もしないうちにそれは飽きた。そして金も尽きた。
同じ大学の先輩筋にあたるということで、何人かの先輩を経由して剣崎さんが紹介された。
小遣い稼ぎに趣味だった絵を生かしてバイトでイラストを描かせてくれたのは剣崎さんだった。

「イラストよりは漫画向きだな」の一言で俺は漫画家を目指すようになった。
いや、逃げ込める何かが欲しかったそれだけかもしれない。
簡単なアシスタント業務から入ってイロハを覚えた。
そして最初の作品で少年誌の入選した。
案外簡単なんだな。と思ったが結局大賞との違いの差を見せつけられて俺は萎縮した。
絵だけならと少年誌から同人誌へ移行して、そこから今の雑誌に拾われた。
ほとんど運だけでこの世界にいる。

逃げ込んだ先で更に逃げ出した。
本気になって裏切られるのは怖かった。
本気でラグビーに取り組んでいたときと同じように漫画に裏切られるのが怖かった。
努力だけでは超えられない才能という壁を恐れていた。
夢を語れず、浪費されるだけの取り替えの利く存在に身をやつしていた。
そんなものにファンが付くはずもなく、遠くない将来この仕事も辞めなければならなくなるだろう。
俺はいつでもスペアでしかない。そういう生き方を選んできた。
それでもこの世界から足を洗うことができないでいる。

俺が二十歳そこそこで知り合った剣崎さんとももう10年の付き合いになる。
もう30歳だというのにつぶしの利かない仕事を選んでいる。
両親からはいい加減に定職を見つけろと言われている。
エロ漫画を描いているとは言っていない。ただ、売れない漫画家で見せるような作品は書けていないというニートのような話をしていた。

積み重なった夢の瓦礫が手のつけようのないほど高くなっていた。
それをどうすることもできずに俺は立ちすくんでいる。

「兎に角1回エロ抜きで描いてみろよ。話はそれからだ」
「描きませんよ。俺にはもうそんな才能はないですから」
「才能のせいにしてんじゃねえよ。無骨でもなんでもいいだよ。届ける力を見せろ。その先は編集の仕事だろ。発信者に必要なのは届けようとする力でそいつを手伝うのが俺らなんだよ。編集信じろよ」
「自分を信じられないのになんで他人を信用できるんですか。だいたい剣崎さんは漫画の編集じゃないじゃないですか。わかるんですか?」
「わかるさ。編集じゃなくたってそんなもんは」
話が堂々巡りになりそうだった。
兎に角俺は自分に期待していなかった。
その期待さえしていない俺に期待していると剣崎さんは言う。
いつか剣崎さんが「おまえは俺に似てるんだよ。だから嫌いだけど放っておけない」と酷く酔いながら言っていたのを思いだした。
本心だろう。剣崎さんは俺のことを時々苦しそうに見ることがある。
剣崎さんほど不器用じゃないが生きにくいタイプに俺も属しているのは間違いない。
似ているところを見つける度に救えないもどかしさから苦痛を感じているのだろう。
剣崎さんはSっけたっぷりなのにどMでしかない。

少なくとも自分よりマシな生き方を選んでもらいたいと思っているのは感じる。
だから、エロ漫画家ではなく少年誌や青年誌で働いてもらいたいと思っているに違いない。

結局この日も剣崎さんとは物別れで終わった。
京浜東北線に乗り込む剣崎さんを見送り俺は京急の赤い電車に乗った。
上大岡まではそう遠くない。
酔った頭で締切間際のエロ漫画のプロットを考えていたが、剣崎さんの口添えするという言葉が頭の隅で鈍い痛みのようになって思考をとりとめのないものにしていた。

JUGEMテーマ:小説/詩

| 駄文 | 15:46 | comments(1) | - |
彼の思い彼女の思い
栗色の少年はわざとらしく大きなため息をひとつ漏らした。
隣を歩いている少年はここ数日同じことの繰り返しで飽き飽きしている言葉をそれでも口にした。
「どうした?」
「あーやっぱり今年もチョコ、ゼロの予感」
「いいじゃねえか。別にチョコなんて」
バレンタインデーだと言うのに男二人で歩いていた。
そしてチョコはもらえていない。
「バカ言え。バレンタインのチョコは古来より御チョコ様と呼ばれている格式高く霊験あらたかで、食べると寿命が10年単位で延びるという一品だぞ」
「バカはおまえだ。タカ」
「酷いなー。サトシはいつも冷たてえな」
明るい栗色の髪の毛で左右の耳に5ずつピアスをしている少年はグレーのカラーコンタクトの瞳で、睨み付けながら隣を歩く少年にそう言った。

サトシとよばれた少年は隣の派手な少年とは対照的にどこにでもいるような風貌だった。
端正とまではいかないがそれなりに整った顔立ちで、髪型もありがちなものだから若者が沢山いる場所なら探すのに苦労しそうだった。
服装だけならお互いの関係は逆転しそうなものだが、インテリヤクザとチンピラと言えば立場は逆転していてもおかしくはない。

サトシは普通であることを望んだ。
ただ、普通であることが良かった。
突出すれば叩かれる。その煩わしさを避けて通りたかった。
自分の限界がわかっているから無理をしない。
無理をしても辛いだけだ。
だから普通であることを選ぶようにした。
その普通の中でタカは異質だが、あえてそれを切り捨てるほど強くは普通を望んでもいなかった。

いわゆる一般人からするとタカのファッションは近寄りがたい雰囲気のあるものだった。
とはいえ、サトシはタカと幼なじみで生まれてこの方怖いと感じたことはない。
今でこそ体格は似たり寄ったりだが、タカは不思議とサトシのことを大きく感じている。
子供の頃の体格の差がすり込まれているからかもしれない。
それが災いしているのかタカは虚勢を張るために奇行とも思われるような特有のファッションに身を包んでいる。
サトシはこの奇抜なファッションに身を包まなければアイデンティティを保てないタカを少し不憫に思っていた。
そして、いつまでも自分に叶わないと思い込んでいてもらえればよかった。
実際のところ喧嘩しても勝てるだろうが、こちらも無事では済まない。
痛い思いをしてまで検証する必要のないだろう。
それに負けたら何故かタカが傷つきそうだと思っている。
だから虚勢でもタカの前では強くいる必要があった。
こういうことを考える度にサトシはタカに対する友情が正しい形をしているか悩んでしまうところがあった。

「あれ? 棚橋じゃね? おーい。たなはしー」
目に付いた知り合いに無条件に声をかけるようにタカは見た目に反して子供過ぎるところがある。
サトシは自分以外の連中からカモにされているのではないかと不安になる。

棚橋と呼ばれたのはすらりとした少女だった。
天は二物も三物も与えたのではないかと思うほど彼女は完璧に思えた。
見た目もさることながら学年で5位以下に落ちたことのない頭脳、芸術面でも才能を発揮し、料理の腕もそこら辺のカリスマ主婦なら裸足で逃げ出すほどだという。
まさしく才色兼備だ。

最大の欠点である協調性の欠落を除いては。

才色兼備には性格を表現する部分がない。
それは重大な問題だとサトシは棚橋を呼ばれた少女を見るといつも思っていた。

ツカツカと少女はタカの前に歩を進めパンと音がするくらいの勢いでタカの頭を掌で叩いた。
「なに私の個人情報を漏洩してるのかな?」
「個人情報って言ったって名字だけじゃん」
「もし、私が今日からストーカー被害にあったら、あんたの人生に暗い影を落とすような結末になったとしても全く問題ないと言えるの?」
「そんなことないだろ」
「絶対に? 絶対にないと言えるの? 私こんなに美人なんだけど」

自分で言いやがったとサトシは思ったが、事実だから仕方がないとも思った。
謙遜しても認めても美人は損をする。特に性格に難がある場合はそのことが顕著になる。

「おまえの性格知ったらストーカーだってストーキングしたこと後悔するだろ」
タカはおくびれもせずに笑いながらそう言った。
「どの口がそれを言うの?」
そう言いながら少女はタカの下唇の下の辺りを強くつまみ上げた。
「ひてててて。こめんこめん」
情けない声を上げてタカは謝った。
少女の腕を振り払おうと思えば簡単に振り払えた。
それをしなかったのは自分の力が強いことをタカが理解していたからだった。
「そのくらいにしておかないと指が涎まみれになるぞ」
「それは困るわ」
サトシの言葉に反応して少女は指を離した。
「いてて」
タカは強く握られた場所をさすっていた。
タカは見た目から想像が付かないほど女性に優しかった。
男に対しては動けなくなるほど殴り倒すのに、こと女が相手だとまるで無抵抗主義者のように何もしない。
「女は絶対に殴らない」という頑ななまでの男らしい一面をタカは持っていた。
タカは自分から喧嘩を売るようなことはしない。
タカは残念な方向に道を踏み外した好青年と言えるのかもしれない。

どこからか流行のJ-POPが流れてきた。
タカはズボンからスマートフォンを取り出すと電話に出た。
「もっしー。あーうん。大丈夫だよ……マジで? オッケー。じゃあ今から行くわ。そういやさ」
タカは途中一度サトシに目を向けたがすぐに電話に戻り片手を上げて二人の前から立ち去った。
サトシは少し苦い表情をしてそれを見送った。
「変な気を遣いやがって」とサトシは心の中でタカに悪態をつく。
サトシの心は少し重くなった。

サトシは無言で歩き出した。
その横を少女が歩く。
サトシはこのときばかりは帰り道が同じ方向であることを呪った。
無言を選んだのもその無言に耐えかねたのもサトシの方だった。
「うまくいってんのか?」
「心配される理由が見あたらないくらいに」
「そうか」
再び無言が辺りを支配した。
サトシは少し前に少女に告白して玉砕している。

「まだ私のこと好きなんだ」
少女は残酷な一言を少年に向けて言い放った。
「ああ」
サトシはなんの躊躇いもなくそう答える。
「そう。大変ね」
少女は自分には関係のないことのようにそう言った。
聞いておいてなんという言いぐさかとも思ったが仕方がないとも思った。

少女は援助交際をしていると噂があった。
さえないおっさんと腕を組んで歩いているのを目撃したという情報があった。
元々少女は敵が多いからそういう噂が立てられても仕方がなかった。
何度かそういうことがあったが事実無根であるといつの間にか噂は消えてなくなっていた。
それには彼女の与り知らないところで「棚橋盟友会」なる集団が動いているのだが、それは別の話であるのでいつか語ることにする。

そんな得体の知れない集団が何かしたかはどうでもいいことだし、もちろんサトシは噂をいちいち信じてはいなかった。
少女こと棚橋メイがやるならもっとわかりやすい方法に違いないからだ。
影に隠れるようなことはいちいちしない。
だから援助交際などあり得なかった。自分の目で三十代近いおっさんと腕を組んで歩いているのを見るまでは。

だが、そこにあったのは好きな人にしか見せない特有の表情であり、援助交際でないが自分の中にある恋心が実を結ばないものだと確信した瞬間でもあった。
援助交際ではないが明らかに年上の男と一緒にいた。それも男に付きまとっているのではないかと思うくらいに愛情のバランスは棚橋メイの方が大きいように見えた。

その直後に二人が別れたのを見てサトシは別の道を選んで帰ろうとした。
自分の中の動揺が隠しきれそうにもなかったからだ。
しかし、一瞬だけメイを見ようと彼女を見た時に目が合った。
顔を背けようとしたがそれはそれで酷く不自然に思えて極力自然を装い今気がついたという顔で手を挙げた。
「よう」
「見てたんでしょ?」
どう切り返そうか考えて時間がかかれば相手のペースにはまるのが見えていたし、嘘をついてもばれるだろうから正直に話をすることにした。
「ああ。見た」
「そう」
「彼氏か?」
自ら止め刺しに行くような行為だった。
「そうよ」
改めて本人から言われると胸の奥にざっくりとえぐられるような痛みがあり、そこが悲鳴を上げているのがわかる。
「なんであんなおっさんを」
「たまたま年が離れているだけだし、言われるほどおっさんでもないわ」
「まわりが普通には見ないぞ」
「関係ないわ。私の人生を私が生きるのになんの問題があるの」
「社会一般の通念の話だろ。そんなのわかるだろ」
「わかるけど、それがなに? 好きになったのがただの30近い男で職業がエロ漫画家なだけよ」
開き直りや逆ギレっぽくもあるがメイの反論に返す言葉がないのも事実だった。
「は? エロ漫画家!? 30近いってのだってどうかと思うけど職業が問題だろ」
とてもエロ漫画家には見えなかった。
180センチを超えるであろう身長と喧嘩したら負けそうなほどがっちりとした体つきだった。

「些末なことね。18歳のアラブの石油王の息子ならサトシは諦められたの?」
「それは……」
「結局サトシは相手が間違えているということで論破しようとしているのだけど、それは意味がないことよ。恋愛は異常な精神状態なのだから常に正しくないのよ。正しい恋愛があるならそれこそ異常なことよ」
勝ち誇るでもなく、熱を帯びたように浮かされたようになるわけでもなく、ただ淡々とそう言った。
サトシはメイに対して昔から芯が強くて揺るがなかった印象をもっていた。
昔と言っても小学校の中学年の頃だから10年も経過してはいないのだが。
当時から不思議な魅力と人を敵に回すところは変わっていない。

明確に好きだったわけではないが気になる存在ではあった。
好きだと明確に気がついたのはこのときだった。

「じゃあ、おれも異常なんだろうな。おまえのことを誰かに渡したくない」

既にあの男が彼氏だと宣言されているのに、そんなことを口走ったことに動揺した。
だが、言わずにはいられなかった。
サトシは自分にしては珍しく歯止めが利かなくなっている自分を感じていた。
「おれは確かに自分の金で生活できていない。でも、負けていないと思う」
身長や体格は負けていたがトータル的なルックスなら勝っている。
身長も175センチはいっている。割と細身だが貧弱ではない。
若いしメイの隣に並んでも遜色がない自信はある。
権力や金銭的な事情を持ち出されたら負けるがそれ以外なら勝てる自信があった。
喧嘩になれば若さでなんとかするつもりだった。

「何に勝って何に負けてもセイちゃん以外はいらいない」
「何がそんなにいいんだよ」
サトシは思わず声を荒げる。
それに臆することなくメイは淡々と言葉を続ける。
「私の何がいいの?」
「え?」
「私じゃないとダメなんでしょ?」
「え、ああ。そうだよ」
言葉の意味をサトシは掴みかねていた。

「じゃあ、私がセイちゃんじゃないとダメなのわかるんじゃないの?」
「それとこれとは別だろ」
サトシはふてくされたように言葉を出した。
「わかってるはずでしょ。私を諦めるように言っても私じゃないとダメだとサトシはいうのでしょ。私が他にいい人が現れるなんて言ってもサトシは想像できないでしょ。確かに私よりもいい人なんて早々見つからないと思うけど」
最後の言葉は余計だが事実今の気持ちが萎えることはないだろうと思った。

「私はサトシの思いを止める術を知らないの。だから、あなたが好きでいるのを辞めるまで私はその気持ちを放置するより他がないの」
「もうチャンスはないのか?」
「それはすなわち私が不幸になることを望んでいると受け取っていいのかしら?」
「そういう訳じゃないけど」
「じゃあ、どういう訳なの?」
「俺があいつよりいい男になって振り向かせるって意味だよ」
「それは無理ね。確かにセイちゃんよりもいい男になることはあるかもしれないけど、セイちゃん以外はいらない私に超えるとか以下とかは一切意味がないの」
サトシにとっては勝ち目がゼロと通告されたようなものだった。
「それでも俺はおまえのことを好きでいてもいいというのか?残酷だな」
「あなたにとっては残酷でも私にはなんの感慨もないわ」
「酷いな。でも、そのとおりだろうし、それでいいんだと思うよ」

メイは小さく笑った。

「なんだよ」
「物わかりがいい割にあきらめが悪いのはどうしてかなと思って」
「そりゃ……」
「相手がいい女だからだろ」と続けようとして飲み込んだ。
「そりゃの後はなに?」
「まあ、思考と感情は必ずしも結びつかないって話だろ」
「……そう、まあいいわ」
見透かしているのだろうと思ったがそれを口にして真意を当てられるのは癪に障るので黙っていた。
それはそれで見透かされていそうなのだが。

グーとメイのおなかが鳴った。
メイは鞄を漁ると茶色の包み紙に覆われたチョコレートを取り出して小さくそれを割ってそれを口に放り込んだ。
その動作を3回ほど繰り返したところで、少し大きく板チョコを割りサトシに差し出した。
「はい」
「え?」
「いらない? 物ほしそうにしていたから」
「ああ、もらうよ」
これでも寿命が10年延びるのだろうか。
まったく意味が込められていないチョコレートだとしても好きな子からのものなら効果はありそうだ。
詳細は伏せてタカには一つもらえたと言ってみようと思った。
悔しがるタカの顔を思い浮かべてサトシは笑った。
メイはそれを怪訝そうにそれから優しい目でそれを見ていた。

という話をバレンタインデーに上げようと思ったらこんなことに。

JUGEMテーマ:小説/詩

| レンアイ | 01:03 | comments(1) | - |
よろしく
JUGEMテーマ:日記・一般

 下痢ばかりのだいです。もう止まりません。

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

今更ですが新年の挨拶です。
言っちゃいけない人もいるかもしれませんけど、ここ見ているの最近はれいらくらいでしょうから大丈夫ですよね?

一応新年ですし一年の計は元旦にありなんて申しますから……元旦も糞もないですね。
うーん。書くことがない。

今年の目標も「変わらない」ですからねぇ。
進化はいいことですが変わらないで居続けることも重要です。
「ああ、ここはいつ見てもなにも変わってないなぁ」と思われるのは、相手が自分を見つめ直すのに必要な存在であると漫画のバーテンダーに書いてありました。
確かにそうだと思います。

基準になるものがあると自分がどれだけ変わったかを知ることができます。
成長した自分を見つけることもできます。
何かあって落ち込んだときに変わらないこと見つけると安心できます。

ドリフのコントと同じですね。ドリフ自体が既にないので変わりようがないですが。
あ、調べたらまだやっていたようです。すみません。
いかりや長介が亡くなったら終了だと思ってました。

まあ、面白みを感じないので見てないので書いてみたものの意味がありませんでした。
面白みを感じないというのも田舎との共通点ですね。
あと見たくないという意味では故郷に辛い過去しかない人と同じでしょうか。
同じものにするなというお叱りの言葉が聞こえてきそうですね。
どっちがどっちに対してかわかりませんが。

冗長で書くのはいつものことなのですが、とりあえず、内容はなくても1月に1回くらいの更新をしなくてはならないという強迫観念に駆られているので無理矢理書いています。

誰も読んでないので更新する必要ないのだろうけど。
ああ、そうか。誰も読んでいないというところが、毎年の目標の変わらないというところに合致するのか。
とほほん。

いつもよりも短かったので最近始まったドラマの感想を1話を見た時点で書きます。

平清盛
出家しても偉い人の性欲は強いんだなぁと思った。さすがタフマン。
某知事から汚いと言われたがそうかなあ?と思いました。武蔵も似たり寄ったりだったと思う。
とりあえず、2話まで見たはずですが毎回酔って見てるので記憶がありません。
江よりはいい。でも、大河だなぁ。

運命の人
もっくんの胴体ってあんなに太かったっけ?
やっぱり力(権力)のあるイケメンってもてるんだなぁ。どっちかあればもてそうだけど。
雨の日の情事の後が葉っぱから雫が落ちる朝って演出が古い。これは時代設定が古いからですか?
1話目でどろどろした展開になったので気分が重いから見るかどうかは考えよう。
この時間帯は戦後をやるのが好きなのか?

ステップファーザーステップ
TBSが時代劇の代わりに出した結論がこれです。
水戸黄門を終わらせる理由もよくわからない。
2時間ドラマで終わらせてもよかったのでは?
見られるときに見られたらいいなーくらいの継続視聴気分。
切り捨て候補。

ラッキー7
松潤が浮いている。
瑛太の体がすごい。女性に対してのサービスカットか?
脱恋愛路線の月9らしいから女性を掴まえるためにそういうサービスですかね。
ファーストカットに出てくる女の背中がエロくてよかった。
なんだかんだで善人の松潤が周りを変えていくというような有り体な話で進行するのだろうと見える。
メガネの女子が出ていたのでとりあえず継続視聴。

ストロベリーナイト
間違いなくあんな風に人は死なないだろうが、そこはドラマとして割り切ろう。
2時間ドラマもとんでもでしたが、これからもその路線ですね。
真木よう子、篠原涼子、竹内結子。刑事役でこいつらが着ている白シャツがなんとなくエロを感じさせるのは病気でしょうか。病気ですね。
病気が進行しているのか白シャツが見たいので継続視聴。

ハングリー
向井理が最初からシャワーを浴びているという一部女子のためのオープニング。
稲垣吾郎は悪役しかやらなくなったの?
ドラマの仕立ては酷い部類だが、料理が見たいので継続視聴。

孤独のグルメ
友達から「だいさんっぽい人が出てるドラマ」と言われて見たが、主演は松重豊で見た目は似てもにつかない。キャラクターもおいらはそこまで奇抜じゃないけど、食に対するスタンスが似ているという意味かな?
まあ、情報収集のために見る。(食的な意味で)

ダーティママ
タイトルはダーティーハリーあたりのパクリかな?
永作ってあんなにエラ張ってましたっけ?
内容が土曜の9時です。水曜10時ではないよね。
とりあえず、見ないことにした。

最高の人生の終わらせ方
山ピー(伏せ字)滑舌悪いなぁ。ジャニーズは敵に回したくないので。
あと前田敦子って最初わからなかった。地味すぎる。元からだけど。演技下手?
なんでトップなのかごにょごにょ。
榮倉奈々が刑事役で白シャツなので継続して見ることにした。

聖なる怪物たち
怪物くんを彷彿させるようなタイトルですが、医療ミステリーですね。
登場人物が主人公以外後ろ暗かったり壊れていたりでどろどろの予感がバンバンします。
ミステリーだからポップすぎても困るのだけど。
中谷美紀が美人と言うよりは無表情では虫類にしか見えない。怖い。
とりあえず、話がいい意味で酷くなりそうなので継続視聴。

最後から二番目の恋
中井貴一が主演かと思ったら小泉今日子だったのね。
しかし、老けたなぁ。キョンキョン。
真っ赤な女の子から紫色の女性に変わった気がします。
内田有紀のぼさぼさ頭がちょっとかわいいと思う変態だと気がついた。
恋愛というよりホームコメディとして展開して欲しいなぁ。
とりあえず、継続視聴。

恋愛ニート
うーん。確実にどろどろするでしょ。これ。
爆笑問題の田中は実際に猫好きなのでそのままのキャスティングだなあ。
仲間由紀恵がずば抜けて美人なので他の女性たちがどうやって恋愛に絡んでくるのか微妙だ。
仲間由紀恵の演技も微妙だ。苦手なのかなぁ。しゃべり方が。
佐々木蔵之介はプライドが高い男の役ばかりだなぁ。
継続視聴は微妙。

13歳のハローワーク
松岡君ってかっこいいけど横から見ると正面の方が絶壁ぽく見えるよね?
こうバブル時代を懐古するようなのはどうなんだろう?
タイムパラドックスは起こらないという辺りが斬新。
松岡くんも演技の幅が狭いような……いや、かっこいいんだけど。
ドラマの全体のオチは何も変わらなくて今の自分が努力してどうこうとか、バタフライエフェクトのように過去を元に戻すと言う辺りかなぁ。
とりあえず、見ないです。

理想の息子
これは最初から見てない。

とりあえず、こんなところかなぁ。

よし、無駄に書いたしこんなところで、今年もダラダラと垂れ流していきます。

| 雑記 | 00:36 | comments(0) | - |
side B25
JUGEMテーマ:小説/詩

 「明後日は来るの?」
12月22日の深夜にミツルはサキからそう尋ねられた。
「残念ながらその日は予定があるんだよ」
「そう。気を遣って損したわ」
「似合わないことするからそうなるんだよ」
「そうね。あんたに気を遣うなんてバカだったわ」
「そう自分を責めるなよ。おれだって予定があるなんって思ってもみなかったんだから」
おどけた調子でそう言うといつものようにウオッカアイスバーグを一口含んだ。
「確かに予定があるあんたが悪く思えてきたわ」
「助けなきゃ良かった。ところで、24日に来ると何かあるのか? プレゼントとか?」
「そうね。時間を潰すことができるなんてプレゼントがあるけど?」
「それは今ももらってるだろ」
「じゃあ、ほぼ毎日プレゼントを与えてるってことになるのかしら?」
「それなりの対価は払ってるだろ」
「そうね。それなりの対価よね。それなりの」
サキは「それなり」の部分の語気を強めてそう言った。

「サキ」
マスターの穏やかなバリトンボイスがサキをたしなめた。
名前を呼んだだけだが含まれる音の響きにそれがあった。
掛け合いはいつものことだが、新しい客が居るときにこの掛け合いは内輪すぎて引く可能性が高い。
だから客が誰もいないとは放置するが新規の客が居るときは、適当なタイミングで嗜める。
サキが叱られるとミツルは引く。
ミツルの察しの良さがわかっているからマスターはサキを嗜める。
それで十分だった。

ミツルはそれを契機に帰ることにした。
なんとなくタイミングとしてはそれがベストのように思えたからだった。
それに下手にサキにつっこまれるのを避けるためにはそれでいいように思えた。

そして、クリスマスイブになった。
ミツルは片瀬江ノ島の駅を降りた。
ちょっと張り切りすぎているくらいの女がいて声をかける。

「よう。ナタリア」
「おはようございます。その呼び方辞めてくれませんか?」
「ははは。そんなことより服装若干クリスマス仕様だね。似合ってるよ」
全体的に黒っぽい色が流行の中でもこの日だけは赤が女子の間では利用される。
そういうのは嫌いじゃないが好きでもなかった。
「ええ。せっかくですし」
「しかし、連休の中日だってのになんで片瀬江ノ島はこんなに人がいるんだ? 8割は江ノ水目当てか?」
「でも、江ノ島にも行けますよ?」
「そうだけど。まあいいか。とりあえず、飯に行こう。帝国ホテル上がりのシェフがやってる安いフレンチが近くにあるからそこに行こう」
「はい!」

片瀬江ノ島の駅から近くにその店はあった。
ナタリアは本日のランチを注文してミツルは魚のランチにした。
クリスマスらしく本日のランチは鶏のもも肉のコンフィだった。
魚は鱈のムニエルでケイパーを使ったバターソースが特徴の一品だった。

「今日は限定でグラスシャンパンもご用意しています」
「じゃあ、それを二つ」
ミツルはなんとなく注文してから少しだけ流れが問題のある方向に流れ出してきているような気持ちになった。

クリスマスイブに狙ってもいない女と二人で過ごす羽目になったのは、11月の下旬に世界大会で優勝したバーテンダーの店になんとか祝いに行った後ほろ酔い気分でばったりナタリアこと成田アヤに会ったことに起因する。

「あれ? 剣崎さん?」
「おーナタリア。これからスクヘブか?」
「どうしようかなぁって思って。ちょっとお腹も空いているけど今日シンゴさん休みでしょ?」
「そうか。じゃあ、なんかそこらの居酒屋に付き合ってやるよ」
「え? いや、大丈夫ですよ。リンガーハットとか行きますし」
「なんだよ。じゃあ、イタリアン行こう。パスタにしろ。パスタに」
アヤは押し切られる形でダイニングバーに近い形態のイタリアンに二人は行った。

ミツルはワインをボトルでオーダーしチーズの盛り合わせでダラダラと飲み始める。
始めてくる店でミツルと二人きりなことにアヤは少し緊張していた。

「適当に飲んでいいよ。まあ、常連面できるほど来てる店じゃないから、その辺は察してな」
「え。あ、はい」
上司と部下という感じに見えるかもしれない。
必要以上に敬語のアヤとフラットすぎるミツルは見た感じは恋人でもおかしくないが、空気感が上下関係を醸し出していた。
もちろんアヤが一方的にその空気を作っているのだが。

店内のディスプレイがどこかクリスマスムードになっているのに気がついてアヤが口を開いた。
「すっかりクリスマスムードですね」
「そうだなぁ。まあ特に関係ない行事の一つだけどな」
「今年も女子会ですよ。あれに出るとなんか負けた気がするんですよねぇ」
「そうなのか? じゃあ、なにかするか?」
「え? あ、えーと、じゃあ、お願いします」
少し照れたようにアヤはそう言ったのでミツルは少し訝しんだ。
「じゃあ、なにかしたいことはある?」
「えーと、水族館とか行きたいです」
「水族館?」

このときミツルは自分の言葉の足りなさを呪った。
「じゃあ、いつもの店で常連集めて何かするか?」と別口でパーティーを開くことを想定したつもりだったが、このタイミングで男が女を誘うとなればデート以外のなにものでもない。
しかし、気付くのが遅かったのとアヤを傷つけないようにするためにミツルは「水族館ねぇ。江ノ島水族館だと月9でやってたからなんかあったような?」とはじめからそのつもりだったように演じた。

そして現在に至る。

フルートグラスのシャンパンを一口含むときに天を仰いだ。
がっちりクリスマスの展開になりつつある。
昼だからさすがにムードはない。とは言いつつもこの先の展開を考えれば、相手が自分のことを心底嫌いじゃなければ、普通に急造カップルのできあがりまで行く自信はある。
それ故にミツルは敢えて店の予約をしなかったし、意味がこもらないようなプレゼントを選んだ。
不機嫌にならないように上機嫌にならないように努めた。
クリスマスイブに何をしているのか。

新江ノ島水族館は不必要に込んでいた。
当たり前だ。クリスマスで特殊仕様のイベントであふれかえっているし、八景島よりも安くてフレンドリーだ。庶民派水族館といえるのかもしれない。
すし詰め状態の水族館でも幸せムードが空間を支配していた。
それ自体は悪いことではないがミツルにとっては少し疲れる空間だった。
幸せになれていないとかそういうことではない。ただ、まわりの空気に圧力のようなものを感じた。
幸せを演出するというような感覚を感じていた。
幸せは悲しみと違って演出でいくらでも生み出せる。だからこの空間の演出された幸せの雰囲気に圧力を感じていたのかもしれない。
ミツルはぼんやりとクラゲの入っているグラスのツリーを眺めていた。
多くの人が写真を撮っている。アヤも携帯で撮影していた。
クリスマスカラーのライトに照らされたクラゲがゆらゆらと大型水槽で揺れていた。
喜んでいるカップルを画面越しに見ているような気分で眺めていた。

こういうところに来るとミツルは世界から隔絶された気分になる。いや正しくは自分から世界に線を引く。
逃げているだけかもしれないが幸せになる資格を拒絶している。いつか来る不幸を恐れているだけと言われたらそれまでだがそれでもミツルはそれを許容しがたいと考えている。
純粋にクリスマスの空気を楽しんでいるアヤを漠然とした不安とちりちりと焦がすような嫌悪を感じている。

繰り返す。ただ繰り返す。
「嫌うな。嫌うな。嫌うな」
繰り返す。ただ繰り返す。呪文のように。

「剣崎さんもどうですか?」
「ああ……いいよ。おじさんは人ごみ苦手だから」
「きれいですよ」
「……そうか。じゃあ見に行くか」

やや押し切られる形でミツルはクラゲやイルカのショーを見ることになった。
はしゃぐアヤを見て普通にかわいいこだなと思ったし、当たり前のクリスマスの幸せを受け入れていた。

夕方になり二人は水族館を出た。
「江の島行きませんか?」
「寒いし遠いからなぁ」
「せっかく来たんですから」
「うーん。まあ、せっかくだしな」
結局ここも押し切られる形だった。

紫色のイルミネーションにライトアップされたシーキャンドルを下から眺める。最速で20分待ちだといういうことで寒さも手伝い下から眺めるだけにした。
西側が赤と青のグラデーションに彩られカップルや家族が写真を撮っていた。
当たり前のようにある温かい光景で心が揺さぶられる。
塔の上のほうを見上げる。アヤは登りたかったかもしれないがさすがにそこまでロマンチックなことはできなかった。
ただでさえ流されているというのにこのままどこまで自分は流されていくのだろう。
ミツルはぼんやりとこのままいつものように流されて付き合いことになるのだろうかと考えていた。
アヤのような普通のいい子なら仮にそうなったとしてもうまくやっていけるのではないか。
こうした風景の中に自分も溶け込めるのではないか思った。

そのときある光景が浮かんだ。
そして、サキの顔が浮かんだ。
次にマスターとシンゴが浮かんだ。

サキだけなら自分の恋愛感情を疑うが店を最初に思い出したことで自分の流儀を思い出した。
そうだ。バーでの恋愛はご法度だ。
だからこの先は自分で流れを変えようと決めた。
少しだけ幸せに酔ったのかもしれない。しかも悪酔いだ。

「寒いし腹も減ったな。そろそろ行こうか」
「そうですね」

それから二人で居酒屋に行く。
Scrap Heavenに行くかという話もあったが今日は違う店にした。
普段よりも気を遣い過ぎていたのかミツルは泥酔した。

目を覚ますと見知らぬ天井があった。
喉がひどく傷む。
「おはようございます」
アヤの声だった。

ホテルか!?

アヤが上から覗き込んでいる。
「どこ?」
「覚えてないんですか? カラオケですよ」
「うん?……ああ、そういえば、なんかが上手いからとかで行くことにしたんだよな」
「ええ」
「どれくらい寝ていた?」
相変わらずアヤを見上げながらしゃべっていることが不自然だがどのタイミングで膝枕から脱出するべきか悩んでいた。
「1時間くらい……」

嘘だろう。

「ごめん。てか、ありがとうかなぁ。でも、やっぱりごめん」
「気にしないでください」
「気にするわなぁ」
そう言ってミツルは起き上がった。
「本当にすまなかった。今何時だ?」
「5時半くらいです」
「うわー。マジで今度穴埋めす……るわ」
「いや、いいですよ。楽しかったし、好き勝手に歌ってたんで」
「そう言われてもなぁ」
「じゃあ、今度スクヘブで1杯ください」
「……別の店にしないか?」
何かを感じ取ったのかアヤは「そうですね。じゃあ美味しいものごちそうしてください」と、少しいたずらっぽく笑ってそう言った。
少し高くつきそうだが、店でこの展開を詮索されるくらいなら安いものかとため息を吐き出さずに笑顔を作って「まあ、そんなに高い店じゃないけどそれで許してよ」とおどけてそう言った。

| Scrap Heaven | 02:21 | comments(1) | - |
等価交換?
オタクの女友達が欲しいだいです。てか、友達って何味?え?色なの?危うく恥を書くところじゃったよー。

もうね。眠い以外のなにものでもない。最近は仕事が遅いし、アプリで遊びすぎだしで日記書く時間がないよ!
あとバサラ3宴とか。
撮りだめた番組が1週間分丸々たまり続けたり。もう。疲労困憊ね。生活の至るところにゲームが潜みすぎていて。

そんなこんなで妄想とかしてられへん!ホンマえらいこっちゃで!
なにが?

そんな中なんかニュースないかなぁと思ったらたまに行くバーのバーテンダーが世界一になったよ。少し前のことだけど。
職場で休憩時間にNBA(日本バーテンダー協会)のホームページ見たら「速報!世界一になったよ」みたいなこと書かれていてマジで軽く興奮した。

彼が地区大会から出してきたカクテルについては大会前に必ず飲んでいた。
「よかったら大会に出すカクテルどうですか?」
たまたま地区大会の開催の近くに店に行ったときに何を飲むか考えあぐねていたら、そう言われた。
実のところ大会向けのカクテルは苦手だ。
基本的に一口しか飲まない審査員のために複雑で強めの味わいと腰を出すためのアルコールの強さが中盤以降しんどくなるからだ。

しかし、さすがはプロで横浜で日本一になる期待をされていただけのことはある。

やや重さはあるがそれでも最後まで飲ませる力は抜群だ。

日本一なったレオンは素晴らしいカクテルだと思う。
このカクテルも全国大会の前に飲んだ。
このカクテルは飲んで大会にこんなバランスのいい状態で出すのかといぶかしんだものだ。

彼はこの年アジアチャンピオンにもなってる。出場資格は前年度全国二位。まさに破竹の勢いで世界大会へ向かう。

ちなみに前年の横浜カクテルコンペディションの優勝者のカクテルも事前に飲んでいる。
「日本一になる前に飲んだんだよ」
「じゃああやかってもいいですか?」
「そんなんで役に立てたるならいくらでも」
試飲する。というか普通に金は払うけどね。
「美味いけど大会向けじゃないな。あと一味あるといい。少し重厚感を出すといいね」
「山田さんにも同じこと言われました。調整段階なので少し控えたんですけど増やしてみます」

で、横浜チャンピオンになった。
いやはや。こうなるとという感じでアジア大会の前に行き、世界大会の前にも飲みに行かなくてはならないと思い至る。

実力だろうけど運がないよりはある方がいいだろう。それくらいの話だが一助となれば幸いじゃないか。

おいらがその分運を減らしたって構わない!
明るい話題が増えればいいじゃないか。

そして、彼は優勝して、おいらは女友達と仲たがいし、担当業務じゃないもの担当になりその業務の影響で残業祭りになり、果てしなく治らない風邪をひいて、激太りして、携帯を閉じるとなぜか電源が落ちて再起動するという憂き目に遭っている。

ストップ!アンラッキー!
| 携帯 | 01:21 | comments(0) | - |