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もすこみゅーるだんでぃー

だらだら垂れ流しています
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海からくるもの(ほら話)
JUGEMテーマ:日記・一般

 十数年前の話。なので記憶も曖昧なので一部補完している部分があります。

場所は北海道の北の海水浴場。
友達は男3女3で海の家を借りて泊まりがけで遊びに行った。
その中に私はいない。
とりあえず、運転できない男はいらないということだったようだ。(てか、人数的にあぶれたのか?)

そこに行った男グループと飲むことになったとき友達が「行かなくて良かったな」と言った。
男の誰かが急ぎすぎて上手くいかず一族郎党のように誰も女子と上手いこといかなくなったのだろうと思ったら違った。

最初は渋っていたが酒が大分回ってきたころようやくしゃべる気になった。
こっちは酒が飲めないからじれていたのでやっとの思いだった。

北海道の北の海水浴場では湘南辺りの海の家なんか流行らない。
あまりにも夏が短いので儲けにならない。
そのためペンションのなようなものと海の家のようなものがドッキングしたようなものがあるそうだ。
人から聞いた話で十数年も前の話なので当てにならないが。

さて、そんな場所で足を水に浸すことくらいしかできないような冷たい海だが、それでも夏の海となれば、少しはテンションも上がるのが若気の至りというものだろう。

海+男+女+夜=火遊び
みたいな理屈でことが始まった。

もちろん花火だ。

食後のお楽しみとして花火をすることになった。
海の家の近くはコンクリなので、せっかくだから砂浜でやろうと少し歩いて砂浜に出た。
それどほ距離はないところですぐに砂浜になるからそこまで行くのは面倒ではない。
ほんの10メートルちょっとくらいのものだろう。

最初は楽しくやっていたが、途中から雲行きが怪しくなった。

20、30メートルくらいの距離に小型の漁船が何艘か置いてあった。
漁船と言っても大型のボートにエンジン(モーター?)を取り付けるようなタイプのそんなに大きなものあないやつだ。

参加していた女の子のAちゃんが「ねえ。なんかあそこからずっと人が見てるんだけど」と漁船の方に目配せしながら友人に話しかけてきた。
どれどれと男友達は漁船の方を見た。
「誰もいないじゃん」と男友達はそう言ってAちゃんを見た。

「うそ。あそこにいるでしょ!」とAちゃんは指さした。
男友達はそっちに視線を送るが誰もない。

男友達はなにか盛り上げるためにそんなことを言っているのかと思った。
「ほら。こっち見てるじゃない」とAちゃんは声を荒げて必死になっている。
「やだ。こっちに来る。ねえ。近づいてくる」とAちゃんはさらに声を荒げて必死に訴えるが男友達には見えない。

声が大きくなったので他の友達も何事かとAちゃんの周りに集まった。
「嫌! ここは嫌!」
そう言っているが動こうとはしない。
「じゃあ、海の家戻ろうか」と腕を取ったがやはり動かない。
「来る。こっちに来る」とAちゃんは大騒ぎをしているが、微動だにしない。
異常な状況に男3人が抱えるようにして動かそうとする。

するとぐずった子供のようにいやいやして掴まえられない。
「こっちに来る。こっちにーーーーーーーー」

さすがに常軌を逸していると思い1人が後ろから抱きつくようにして押さえ込み、1人が足を持ち上げたところで、もう1人が腰の辺りを支えるという不自然な形で無理矢理移動した。

船の方を見せると騒ぎ立てるので顔をそっちに向かないよう残った女の子2人が船と女の子の間に入るように壁になった。

「ぎゃーーーーーーーーーっ!」

再びAちゃんが悲鳴を上げる。
それは絶叫に近いものだった。

Aちゃんはちょうど海が見えるような体勢になっていた。

「海から。海から来る。たくさん来る」
そう言って暴れ始めた。しかし、Aちゃん以外誰も海には何も見えない。ただ小さな波が寄せては帰すばかりだった。
じたばたするAちゃんに振り解かれそうになるがここで振り解かれるとやっかいなので、力の限り押さえ込んだ。
結果Aちゃんの後頭部が船側になるよにして、女の子2人で海を遮りなんとか海の家までたどり着いた。

暫くAちゃんは「近づいてくる。どんどん来る」などと叫んだりブツブツ言っていたらしいが、突然気を失って倒れた。
とりあえず、寝室のAちゃんをベッドに寝かせて窓から外を見るがなんともない。

ダイニングというか海の家のように人が集まることのできる広間に残りのメンバーで集まり暫く話し合って花火の続きをしようかということになった。
どのみち花火を片付けないとならないから外に出なければならない。
人影もまったく見えない。
何より夏の思い出がこれでは台無しだ。それが勝っていた。

いざ外に出ようとドアに手をかけた。

「開けないで。入ってくるから」

いつの間にかAちゃんがいた。
見えない何かよりもいつの間にか背後に現れたAちゃんの方が怖かった。

「ほら、もうそこまで来てる。海からどんどん来る。窓のところ!」
泣きながら半狂乱でAちゃんはそう言った。
しかし、誰も何も見えない。

そして、この時点で全員の心は折れた。

見えていない方が間違っているような気になったからだ。
そうなると穏やかな夜の海が不気味なものに思えてならない。
波のリズムに合わせて水面に何かが出てきそうだった。
岩場の陰に何かが潜んでいるかもしれない。
漁船の陰に何かが潜んでいるかもしれない。
疑うとどんどん恐怖が濃くなり言葉は悪いが1人はAちゃんを見張り、残りの全員で鍵の確認をすることにした。
それから全員で広間に集まり朝まで寄り添って眠ることにした。
当然Aちゃんを見張る形で。いきなり起きてどこかに行ったりしないかという怖さがあった。

風の音でさえ何か悪意のあるものが起こした行動のように思えた。
海なのだから海風が吹き付けるのは当たり前だ。
しかし、海から上がってきたものが何かをしているような気がして震えた。
当然こんな状況で眠れるわけもなく朝を迎えた。
あれから目覚めることなくAちゃんは眠っていた。

恐怖の夜は明けた。
結局なにも起こらなかった。

「おはよう」

全員がAちゃんを見た。
「ごめんねー。なんか夕飯食べたら眠くなっちゃって。みんな花火したの?」

全員の頭に浮かんだのはそれだけだった。

1人の女の子が「ちょっと。Aちゃん昨日……」と言いかけて口を噤んだ。
きっと本当に覚えていない。
これが冗談だとしたら昨日の夜の出来事はいったいなんだったのか。
誰も得をしないことを敢えてやる理由が見あたらない。
後々わかるのだが女子の間ではこのメンバーの中で両思い確定なAちゃんがその空気を壊す理由はないとのことだった。
だが、こんな状況で意中の男がAちゃんに対する思いが変わったとしても仕方がなく、なんとなく疎遠になり2人は結ばれることはなかった。

結局Aちゃん以外誰も何も見ていない。
実際に見えていたのか。
何かが原因でヒステリーを起こして幻覚を見ていたのか。

ただ、これを書いているときに限って異常なくらいに肩が重くなりこんな文章なのに三日以上かかった。
何かに邪魔されたかな?

皆様の身に何も起こりませんように。

| ほら話 | 23:16 | comments(0) | - |
すずめない程度の話
JUGEMテーマ:日記・一般

基本全裸のだいです。脇汗止まらない。

夏なので例体験の話でも。

10年以上前に占い師に見てもらったところ色々と引きつけるけど、簡単に出て行く星の下に生まれたようで、わかりやすく言う「来る者拒まず去る者追わず」という運気の元にいるそうです。
これは人にも金にも言えるらしく、人脈などでものすごく裕福ではないが金には困らない運気を持つとか言われました。
まあ、これだけならいいなーと思いますが、どうもそれだけではないらしい。
霊に対しても同じようで助けを求めてやってくるが鈍感すぎて気づかずに霊が諦めて居なくなるらしいです。
霊感0のくせに依り代体質と言うところでしょうか。

そんな私が数年前のある日知人の通夜に行ったときのことです。
知り合いで固まって話していたときそろそろ通夜も始まると言うときに鞄から数珠を取り出しました。

パーンと数珠が弾けた。

数珠が弾けるなんていいことじゃないですよね。
ですから、一同がざわざわしました。
ですが、故人は大変いたずら好きでしたので、故人のいたずらということにしました。
それ以外には特に何があるわけでもなく通夜は終了しましたから、それでいいだろうと言うことにしておきました。

なにかで読んだのですが墓参りのあとはまっすぐに帰らず適当な所に寄った方がいいということを思い出して、通夜も似たようなものだろうと日曜にやっているバーに久しぶりに顔を出した。
時間は20時少し前だったような記憶があります。

私以外には誰もいないだろうと思って寄ったのですが、先客が居ました。
女性客で通常は深夜に顔を出す人だそうです。
バーの場合は同じ店の常連でも時間帯によって棲み分けでもしているかのように常連が違う。
私は比較的早い時間帯の常連だったので彼女とは初対面でした。

彼女も占い師でもあるようで暇つぶしに1杯ごちそうする代わりに占ってもらうことになりました。
ちなみに、前述の占い師とは違います。
彼女が言うには自分は近未来しか見えない。どんなにがんばっても2月先くらいの運気までしかわからないのだそうです。
さらにどんなに占ってもらいたいことがあっても別に気にかかることがあれば、それが優先して出てしまうと言われた。
例えば、ここのマスターは恋愛運を占ってもらったら仕事運のことしか出なかった。
私は総合運と言ったが出たのは何度やっても仕事関係の話で何度選んでも同じ結論にしかならなかった。ただ、実際に気にしていたことを言われたので少し驚きを隠せませんでしたけどね。

さて、そんな彼女と話しているときのこと。
やけに石のようなものを触っているので何か尋ねた。

「何を触ってるの? パワーストーンかなにか?」
「……岩塩です」
「岩塩? お清めとか?」
「え? うん。まあ……あまり空気が良くないのでちょっと触ってるんですよ」
「へー……もしかして、憑いている?」と言って私は自分のことを指さしました。通夜の直後だしなにか連れてきたのかもしれないと思い冗談半分だったのですが……
「え? ……ごめん。ちょっと祓っていいですか?」
「マジで? 是非お願いします。実は数珠が切れたんだけど」
「それはたぶん関係ないと思う。ただの劣化かな?」
そんなことを言って彼女は手に持っていた岩塩を私の手の上に置きました。
「持っててください」
そう言うと背中はパンパン叩きました。
「痛くないですか?」
「あ、遠慮せずにやってください」
「じゃあ、そうします。けっこうがっちり憑いているので力ずくではがします」

がっちりって。

そこから本当に遠慮がなくなりパンパンがバンバンに変わりました。
5分くらい布団でも叩くように彼女は私を叩きました。

息を上げながら彼女は「すみませんでした。痛くなかったですか?」と尋ねてきた。
どうやら終わったようです。
「いえ。そちらの手は大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫です。空気が良くなったから呼吸が楽になりました」
「そういえば心なしか空気が美味しいような気がします」
空気に甘みのようなものを感じました。たぶん、思い込みでしょう。
ついでに呼吸も楽になりました。これも、たぶん、思い込みでしょう。
取り憑いていたものが何かはわからないけど「たちの良くないもの」ということでした。

感謝をして話していました。
美人と言ってもいいくらいの女性でしたから下心がないというと嘘になるのですが、話の中でとんでもなく強力な守護霊がいるらしいので、そんな気持ちで近づくとなんかとっちめられそうでお茶を濁したような会話しかしませんでした。

それから暫く話して30分も過ぎた頃でしょうか。
この店で知り合った常連客の男性がやってきました。

彼と適当に挨拶をして彼女の方に視線を向けるとおもむろに岩塩を握っていた。

「おーい。おまえ。彼女にお祓いしてもらえ」
「え?」

彼女に聞いたらどうやら彼の方がたちが悪いらしい。
「今夜はなんなの?」
そう言いながら飲み仲間の背中を彼女はバンバンたたき出した。

よもや次に来た客もそうなるとはこのとき誰も想像していなかったんだ。

なぜ丁寧に書いているのかは謎です。

| ほら話 | 11:07 | comments(0) | - |
ほら話「左側」

 友達の友達の話。
その人は霊感が強い方ではないらしいのだが、怪談やその手のテレビを見聞きすると本物が絡んでいる場合サインがあるそうだ。
この手の番組は大抵悪霊関係なので良くないものが近くにいるのだと感じるときはサインが必ずあるみたいでそれを感じると「ああ、これは本物だなぁ」と思うそうだ。

実際にそのサインがあるだけで見えたり聞こえたりするようなことはない。
ただ、サインがあるだけなのだという。
再現話のドラマでもそれはあるそうだ。

例えば感動するような亡くなったお母さんの霊が助けてくれたとか、作り話の時はどんなに怖くてもそれは感じないが、大して怖くなくても、本物が関与していると左肩が重くなり痛みがでるそうだ。
重くなるので肩こりが悪化したような印象だという。
元々肩こりが酷い人物なので座っている姿勢が悪いのかな?と最初は思っていたそうだが、どんな体制になっても痛むのは左肩ばかりなのでどうやら姿勢のせいではないと気がついたのだという。

なので、サインだと気がついた。
これは何かあるときに痛みが出るのだと。
左肩越しに月を見るのは不幸になるというジンクスが西洋にはあるので、左肩に負荷がかかるのは悪い霊の象徴ではないかと思ったそうだ。
不幸と悪霊を一緒にしてはいけないが霊感のない人間からすれば似たようなものなのだろう。

更に彼は大変に験を担ぐタイプなので子供の頃に知り得たその左肩越しの話を聞いてからは、極力左肩越しに振り返ることがなかった。
すでに右から振り返ることが癖になっていた。
子供の頃からなので本人も今となっては無自覚に右から振り返るのが普通になっていたという。
たまに姿勢が左から振り返る方が自然な場合があるときに限って左から振り返るが基本的には右から振り返っていた。

夏のある日録画した怪奇現象の再現ドラマを昼間に見ていたそうだ。夜に飲み会があるのでそれまでの時間つぶしだった。適当に携帯をいじりながら流し見をしていた。
いつものように怖い話が続き亡くなったおばあさんだかお母さんだかが助けてくれる話になった。
普通この手の話なら肩は痛くならないはずなのだが、その日見たものの中では一番重く感じた。
だから、今までの悪霊を感じていたというのは勘違いではないかと思った。
ドラマはめでたしめでたしのような話でハッピーエンドを迎えた。

暫く左肩の重みはとれなかったが、飲み会があるので出かけて夜遅くに帰宅した。
左肩の重みはすっかりなくなり友人との飲み会でそんなことも忘れていた。
ずいぶんと酔った。自分の呼気に含まれる酒の香りでもう一度酔いそうだった。
コンビニで翌日の朝食と飲み物を少し買ってマンションについた。

同じマンションに6年住んでいる。入居したときは新築だった。

最近管理人の手抜きなのか廊下が汚れていたり、廊下の電灯が切れてたりしていることがあり、この日はエントランスに入ると電灯が明滅していた。
オートロックの鍵穴に鍵を差し込み解錠すると何事もなかったかのように開いた。不思議な話だが何故か開けてはいけない気持ちになった。
開いた自動ドアから流れてきた空気は外に比べて少し冷たい気がした。

エレベーターホールで上矢印のボタンを押す。
左肩が重くだるい。痛みはないのでストレッチのようにグルグルと回してみた。
少しはマシになったが違和感は変わらずに左肩にあった。

地下からエレベーターは上がってきた。
小さく電子音を立てて到着を知らせる音が鳴った。
ゴトンと重たい音がしてエレベーターのドアが開く。
中には誰もいなかった。
コンビニの袋を持った右手でそのまま5ボタンを押す。
「閉」のボタンを数回押した。
反応よくすぐにドアは閉まった。
そこである違和感に気づく。B1のボタンがない、
そうだ。この建物に地下階はない。なのに今、地下から上がってきたように見えたのは何故だろう。
酔っているのか?そう思った。

11階建てのマンションに着いているエレベーターだからそれほど早くはないが、遅くもない。
階層が上がる度に肩の違和感は増して行く。目を瞑って左肩を回す。
そろそろつく頃だと思い目を開くと4階と5階の間を通過するところだった。
そのとき大きく息をのんだ。
階層の間は暗い闇が広がっているため鏡のようになる。
そのエレベーターの窓ガラスを見たときに自分の左肩越しに一瞬だがぼさぼさの長い髪の女が映っていた。
いや、たぶん女だろう。女だったと思う。ちゃんと顔は見られなかったのだが女だと思った。
5階につくとエレベーターのドアが開いた。
早く降りたいが降りるとそれも一緒に降りてきそうで怖かった。
しかし、このままエレベーターに乗ったままではどうなるかわからない。地下に連れて行かれるかもしれない。

恐怖に駆られて閉まる直前に飛び出した。
廊下の電灯は所々消えている。気のせいかもしれないが暗がりには何かが息を潜めているような気がした。
夏だというのに鳥肌が立つように寒い。
背後で扉が閉まりエレベーターが下に動き出す。
その気配を感じて左側から振り返りそうになったときあり得ないほどの力で左肩を握られたような痛みが走った。思わず目を瞑る。

目を開けたときには既にエレベーターは下に降りていた。
1階で止まった。地下から来たのは錯覚だったのだろうか。
左肩は痛むが自分の部屋に早く帰り着きたい。

その思いだけで部屋の前にたどり着いた。
マンションは自体がL字の建物で彼の部屋は一番奥だった。
L字の折れているところを中心がエントランスで左右に伸びている。
一番奥の部屋のドアはどん詰まりのような位置にあり他の部屋の扉に対して直角の位置にある。
部屋の前の電灯が消えていた。
鍵穴も見るのは難しいが6年も住んでいたらなんとなく位置はわかる。
慌てているのかなかなか入らない。
闇の中で何かが居るような気がするので焦りだけが募ってゆく。
ガチャンという音を立てて鍵が開いた。
ドアノブは右手で開けるような位置にあるからコンビニの袋を左手に持ち替えて右手で扉を開いた。

ガチャン

背後で大きな音がした。
恐怖に支配されている彼にとってはどれほどのプレッシャーだっただろう。
思わず彼は振り返ってしまった。

左肩越しに。

右手でドアノブを持っている都合上そう振り向かざるを得なかった。
そしてそこにはそれがいた。

エレベーターの中で見かけたぼさぼさの髪の女。
髪の間から見える濁った瞳は焦点が合っていない。
くすんだ皮膚も生きている人のそれとはまるで違う。
もうダメだと思った。
隣の住人がこっちを怪訝そうに見ていることに気がついた。
彼はそのとき隣に誰が住んでいるのかを初めて知った。
隣の住人は女だったから視線の先が自分に向けられていることを不審に思ったのだろう。
実際には隣人の先にいる形容しがたい何かだった。
引きつった顔で自分の方を見ている人物を不審に思わないわけはない。
隣の住人に視線が動いたときそれも一緒に動いた。

そして、そのまま隣の部屋に入っていった。
それはまるで煙が風に流されるようにふわりとするりと動き隣の部屋に入っていった。
彼は隣の住人に何か言おうとしたが、隣の住人は彼を気味の悪い隣人ととらえたらしく足早にエレベーターの前に移動した。

彼はなにも言えずに自室に入り扉を閉めた。
そのままトイレに行くとその日口にしたもの全てを吐き出した。
正直助かったという思いと隣人に何かが起こるのではないかという不安からだった。

その日は一睡も出来なかった。
壁の向こうからやってくるのではないかと不安が心を締め付けた。
そして、隣人の身に何かが起こるのではないかという心苦しさからだった。
結果としては遅くに外出した隣人はその日は帰って来なかった。
翌日彼は不動産屋に行って即日入居可能な家を探した。
少しでも遠くに行こうと別の町の家を探した。
引っ越し先は程なく決まり彼はそのマンションを出ることになった。
家に帰るのは怖くてホテルに引っ越しの日まで泊まることにした。

それから友人に電話をしてことの顛末を全て話した。

彼は無事に引っ越しをすることが出来たのだが、引っ越してから彼の消息が不明になった。
引っ越し荷物もろくに解かれないまま彼はいなくなった。
部屋には無数の長い女の髪の毛が落ちていた。

あの日肩が痛くなったドラマの内容はいわく付きの物件に越したが祖母の霊によって助かったという話だった。
彼が反応したのはその悪霊で悪霊が彼を呼んだのだろうか。
そして、彼の祖父母は健在で彼を救う霊は現れなかったということなのだろうか。

| ほら話 | 00:58 | comments(0) | - |
ほら話「医務室」
JUGEMテーマ:小説/詩

 友達の友達の話です。

ある日の金曜日。
毎日の残業と上司とのつきあいの飲み会で疲労がピークに達したらしく友達の友達(仮にYさんとします。)は、どうしても眠くなって机でもうつらうつらするので、どうせ今日も残業だからと同僚に声をかけて医務室に行ったそうです。

医務室と言っても名ばかりの週に1回産業医が来るだけでものだったようです。
一応薬棚のようなものはありますが、鍵は産業医が持っているので勝手に取り出すことは出来ず、そのため休息するための仮眠室のようなものだったようです。
産業医は毎週水曜日の午後だけ来るのが通例なので、この日は誰もいません。
いるとすれば仮眠目的の人くらいなものです。

自社ビルですが古いビルで4階建ての2階の西側に医務室はあったそうです。
一応エレベーターはあるのですが、遅いし積載量も少ないので大抵の人は階段で上り下りをすることが多かったようです。

Yさんも疲れてはいましたが待つのが面倒で階段を使って3階から2階に降りていきました。
医務室の近くには会議室しかない構造だったそうです。

医務室に入ると夕方の割には温度が低いくらいで一瞬身震いしたそうです。
全館空調で発熱するものがほとんどないからこんなに冷えているのかと思ったそうです。

ベッドは3つあったそうです。
一番奥のベッドは誰かが使っているのかよくある医務室のようにカーテンで仕切られていました。
一番奥のベッドは窓に近いこともあるので、うっすらと人がいるようなシルエットが窓から差し込む西日でわかったそうです。
そうなると真ん中で眠るのも隣が気になるので間をひとつ空けて入り口に一番近いベッドで眠ることにしたそうです。

当然カーテンは閉じますが、カーテンレールはL字なので、入り口側と足下までしか来ません。
隣のベッドの方は丸見えで、それも気持ち悪いからと隣のベッドのカーテンも他人から見られないように真ん中のベッドのカーテンを足下の手前まで下げたそうです。
少しだけ隙間ができましたが窓から遠いこともあって光は遮られたように思えたそうです。

おかげですぐに意識を失うように眠ったそうです。
そのとき隣のベッドに誰かが来たような気がしたらしいのですが、襲ってくる睡魔には勝てなかったそうです。

それからどれくらい経ったかわかりませんが酷く寝苦しくて目を覚ましたそうです。
全身汗まみれで目を覚ましたそうです。
先ほどより薄暗くなっていて部屋の温度は相変わらず低いままだったそうです。

寝汗の意味がいまいちわからないまま、ふと視線を感じてそちらを見ると隣のベッドとこちらのベッドの足下の方のカーテンの隙間から覗いている顔が上下に並んで2つ見えたそうです。
隙間から見ているので顔は半分しか見えません。
上の人は右側だけが見えて、下の人は左側だけが見えたそうです。
髪の長い女性だったようです。
充血したように赤い目でじっとことらを睨むように見ていたそうです。

バチン

上の方から金属が飛ぶような音が聞こえたそうです。

バチン

もう一度。

音のした方向がわかったのでそこを見るとテニスラケットのトップよりも大きな手が隣のカーテンの上部をつかんで下に引き下げようとしていたのです。
見たこともないような大きくいびつで節くれ立った泥のような色の肌をした手がカーテンを引きちぎろうとしてそれに耐えきれなかったカーテンレールの金属部分がはじけ飛んだ音だったようです。

逃げ出したかったのですが、足下の方には覗き込んでいる女性がいます。
もう一度そちらを見てYさんは気を失ったそうです。

上下に見えた顔はよくよく見ると同一人物で上下とも顔のない方はただ空間が広がっているだけだったからです。

目を覚ますと既に日は暮れていたそうです。
隣のカーテンは何事もなかったかのように普通にそこにあり、足下を見ても誰もいません。
Yさんは怖かったのですが、思い切って隣のカーテンを開けました。
そこには誰もいませんでした。
誰か板気配さえなかったそうです。
ふっと息を吐いて安心した時のことです。

ガシャン

一番奥のベッドのあるところから音が聞こえたそうです。

街灯に照らされて浮かび上がったのは無人のベッドが宙に浮き落下するというものでした。
最初はゆっくり落下していたものが、持ち上げ叩き付けるように激しくなったそうです。

ガシャン
ガシャン
ガシャン

それに反応するように室内の机や薬棚がガタガタと揺れ始めたそうです。

さすがにYさんは怖くなってベッドから飛び出して着の身着のまま会社を飛び出したそうです。それまでの間は一度も振り返らなかったそうです。

運良く正門は開いていました。

ゼイゼイと荒い呼吸で会社を振り返ると、ほとんどの明かりが消えていてそうです。

ただ、明かりの消えた会社の窓の全から真っ赤な目がYさんをじっと見つめていたそうです。

友達はこの話を聞いてからYさんとは会っていないそうです。
というか、行方不明になったそうです。

そして、友達からこの話を聞いてからうちのカーテンの隙間から赤い目が見えるようになりました。

あなたは大丈夫ですか?

| ほら話 | 10:01 | comments(3) | trackbacks(0) |
ほら話「サンタ」
JUGEMテーマ:小説/詩


サンタクロース
ボクはわるい子だからサンタはこないとパパとママにいわれた。
だから、まいとしクリスマスプレゼントはないんだって。
みんなはもらっているのにボクだけない。
みんなにまけないようにがんばった。
でも、ほしいものなんかなにもないから、サンタはいてもいなくてかんけいないんだ。

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| ほら話 | 20:55 | comments(5) | trackbacks(0) |
ほら話「5階」
どういう理由かはわからないが、この建物の5階は倉庫として使用されている。
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| ほら話 | 00:50 | comments(5) | trackbacks(0) |
ほら話「お盆」
晴れているのはいいが、この茹だるような暑さはどうにかならないものだろうか。
家に帰っても誰もいないし、エアコンが効くまでの間は汗が止めどなくでる。
タイマーなんて気の利いた機能を使えばいいかもしれないが、そんなものは家を出るときにすっかり忘れている。

だから、家に帰ってせめてもの涼をと思いビールを飲むことに決めた。

家に帰ってきて冷蔵庫を開けたがそこにはビールの姿がなかった。
迂闊だった。
昨日全部飲み干していた。

エアコンのスイッチを入れてコンビニに出かける。
相変わらず暑いが戻ってくる頃には幾分か涼しくなっていることだろう。
コンビニへ脱ける近道の公園には浮浪者の姿しかなく、いつもなら時間を持てあましている少年少女の姿はなかった。

お盆だし田舎に連れて行かれているのだろう。

薄暗い街灯が明滅を繰り返している。
そこに蛾が狂ったように体をぶつけていた。
その光景を見る度に思うことは痛みや苦しみなどを感じないのだろうかということだ。
少なくともあの電球は熱いだろう。
そうなるときっと体当たりする度に火傷をしていると思うのだ。

実際に虫がどの程度で火傷をするかは知らないから平気なのかも知れないが。

不意に視線を落とすと玄関の軒下に胡瓜と茄子が飾ってあった。
迎え盆だ。
胡瓜の馬と茄子の牛。
馬は早く帰ってきてください。
牛はどうぞゆっくりとあちら側へ行ってください。
そんな意味が込められていたと記憶している。

朝には浮浪者に食われているかも知れない。
そんなことを思いながら虫の集る供え物を尻目にしばらく歩いてコンビニに入った。

コンビニは身震いしたくなるほどの寒さだ。
体に悪そうなほど寒い。
酒のコーナーに足を進めプレミアムビールを2本、普通のビールを2本、発泡酒を3本買った。
一晩では飲めないが少しどうせ酔っていいものがわからなくなるから、最後はいつも発泡酒にする。

適当につまみも買って帰り道での出来事だった。

件の胡瓜と茄子の家の前に近づきつつあった。
目をこらすと何者かが胡瓜と茄子をいじっているように見えた。
さては浮浪者かと思い、何の気なしに怒鳴り飛ばしてやろうかと思って息を吸い込んで、そのまま飲み込んだ。

どうにもそれは人には見えなかったからだ。
成人男性の胴体ほどの頭を持った人間などいるわけもない。
体はそれに反して子供のように小さい。
頭を大きく揺らしながらずた袋を右手に持っていた。
その袋は中に何か居るのか大きく動いていた。
大きさから言えば大人1人が想像できる。

それはなにやら野菜に話しかけている。

その後その家の玄関から家に入っていった。
あれが一体なんのかはわからない。
ただ、普通に家に入り何事もないようだった。

少しして浮浪者が胡瓜と茄子を持ち去った。
その場でただ黙って見ていた。
何故その場を動かなかったのかはわからない。
ただ、その場に立ち尽くしていた。
太ももにあたる缶ビールの冷たさや水滴が濡らす感触を感じながらも、その目の前の違和感に立ち尽くしていた。

浮浪者が立ち去ってコントのようなタイミングでそれは家から出てきた。
あったはずの物がなくなっている。
そのことに疑念を抱きながらもそれは再び家の中に入っていった。

ようやく動くことが出来た。

そのまま家に帰りビールを床に投げ出し布団にもぐりこんだ。
冷房が効きすぎているくらいに部屋は寒かった。
それはもしかすると感じた恐怖による心の寒さだったのかもしれない。

そう。それは間違いのない恐怖だった。

確かにあれが家を出てきたときに持っていた袋が大きくなっていた。
大人が2人分くらいの大きさになっていた。
| ほら話 | 07:32 | comments(10) | trackbacks(0) |
ほら話「視界にあるもの」
いつからだろう。青空が嫌いになったのは。
この都会のビルの隙間から見える切り取られたような青空に慣れた頃からかな。

何もない青空は心を不安にさせる色だ。
晴天。
快晴。

空を見上げる。
ぱっと視界が広がりなにもない空が目に飛び込んでくる。
その止めどない広がりが心の拠り所をなくしバランスを喪失させる。
きっとそういうことなんだろう。

子供の頃家の裏は町営の体育館のグラウンドだった。
時代に取り残された防空壕跡もグラウンド整備の時になくなった。
防空壕跡は小さな丘に扉がついた形をしていた。
自然の中に人工の扉がある。
それがとても奇異で怖かった。

実際その扉は誰でも開けられるもので、それでいて誰も触りたがらなかった。
「幽霊が出る」というのは、当たり前のように流れた噂で、恐がりだったからその扉に触れることが出来なかった。

それでもその丘の上から見る景色が好きだった。
見上げる空が好きだった。
けれど、それは失われようとしていた。
だから、あの日意を決して扉に触れた。

壁に明かりのスイッチがある。
触れると裸電球に明かりが灯る。
淡いオレンジ色の光が無機質なコンクリートの壁を照らす。

地の底からはい上がってくるような冷気が足下にからみつく。
ぶるりと身震い一つ。

片手に持った懐中電灯で階段の奥底を照らす。

明かりが地の底には届いていないのか一番下までは見えなかった。
大きく深呼吸をして階段を一歩下りた。

二歩目。
三歩目。

一段降りる度に冷気が体をはい上がる面積が増えたようだった。
もちろん子供だからイメージでしか捉えられない。
プールの消毒層の冷たい水を連想させた。
腰から肩までと冷気ははい上がってきた。
やがて消毒層ではあり得ない頭の先まで飲み込まれた。

全身に湿気を含んだ冷気がまとわりつく。
降りてみれば、それほど深くない底は、少しずつ感覚を麻痺させる毒が含まれているような冷たくてねっとりとした空気で満たされていた。

本当に水中にいるかのようにゆっくりと地下を照らす。
壁は思ったよりも遠くにあるようだった。
思い切って奥まで歩いてみることにした。
奥までたどり着いたが結局怖がるようなものは何もなかった。

来た道を帰ろうと振り返った時に目の端に何かが映り込んだ。

何かがいた。

足音も何もなく影と光の狭間にそれを見た。
怖くなり駆け出す。
左の目を少しだけ後ろに向けると目の端に何かが居るように見える。
階段で何度も躓きながら外に飛び出した。

そのまま家に帰る。
布団をかぶりがたがた震えた。

何もないまま日々は流れた。

結局それがなんだったのか今でもわからない。
それは今でも左目の端に見え隠れしているのだが。
| ほら話 | 22:15 | comments(5) | trackbacks(0) |
ほら話「しみ」
買って2ヶ月の家にしみが浮かんできた。家と言ってもマンションだが。
この家は新築で前に入居者はいなかったはずだ。
やれやれ手抜き工事か。
業者を呼んで説明をさせる。

業者は困り顔で壁を見る。
話し合った結果壁紙を剥がすことになった。

剥がしてみたがそこはただのコンクリートの壁だった。
染みの原因になりそうなものは何もない。
2人で顔を見合わせて壁を触ってみるが、乾燥した質感があるだけだった。
結局壁紙が悪かったと言うことに落ち着き無償で張り替えてくれた。

それから1週間後同じところに同じような染みが浮き出てきた。

再び業者を呼んだ。
同じ人物が現れた。

同じように壁紙を剥がす。
同じように何もない。
何かあれば変化があるはずだ。
それが何もない。

壁の向こうに水道管でも走っているのかと聞けばそうでもなさそうだ。
それもそうだ。2LDKのリビングの裏には走らせるようなものではないだろう。
また壁紙を貼り替えることになった。

その壁紙の裏は汚い水に浸されたようにぐずぐずになっていた。

2回目の壁紙を貼り替えてからそれはなくなったらしい。
「らしい」というのも、それを見ていないからだ。

営業に言われるままに新しい高層マンションへ引っ越したからだ。
新しいマンションから見える眺望はなかなかのものだ。

口止め料ということだろう。

2回目に張り替えた壁紙の裏にはお経がぎっしりと書かれていた。
| ほら話 | 22:23 | comments(3) | trackbacks(0) |
ほら話「かぐや姫」
月が地上を照らしている。
なのに雨は降り注ぐ。

これが雨ではないと気がつくのにそれほど時間は必要なかった。

これは月の光なのだ。
月の光が天から降り注いでいるのだ。

手のひらを通り抜け、肋骨を通り抜け、肺を通り抜け、背中を通り抜け大地に降り注ぐ。
この一粒一粒が人の命の輝きであることを知っているだろうか。
人は死に月に登り再び大地に帰ってくる。

かぐや姫の話は生まれて死ぬまでの話なのだ。

竹から生まれたかぐや姫。
まっすぐ天に向かうその姿は生と死を繋ぐ架け橋。
人は大地に生まれ架け橋に至り天へと帰る。

どのようなことをしても結局人は死ぬのだという教え。
死は人に与えられた普遍の現実。
財は薬であり延命の方法を指し、かぐや姫は死そのもの。
結局彼女をつなぎ止められるものはなかった。

そう。人は死にあらがうことが出来ない。

あの夜天に帰ったきみ。
あまりに美しくて誰の手にも渡したくなった。
物語のとおり誰の手にもきみは落ちなかった。

ただ、きみが月に帰ることに関与出来ただけマシなのかもしれない。

そして今夜こうやって光の粒になってきみは帰ってきた。
お帰り。かぐや姫。

ああ、きみはそこにいる。
また、きみを月に帰そう。
| ほら話 | 00:01 | comments(0) | trackbacks(0) |