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もすこみゅーるだんでぃー

だらだら垂れ流しています
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等価交換?
オタクの女友達が欲しいだいです。てか、友達って何味?え?色なの?危うく恥を書くところじゃったよー。

もうね。眠い以外のなにものでもない。最近は仕事が遅いし、アプリで遊びすぎだしで日記書く時間がないよ!
あとバサラ3宴とか。
撮りだめた番組が1週間分丸々たまり続けたり。もう。疲労困憊ね。生活の至るところにゲームが潜みすぎていて。

そんなこんなで妄想とかしてられへん!ホンマえらいこっちゃで!
なにが?

そんな中なんかニュースないかなぁと思ったらたまに行くバーのバーテンダーが世界一になったよ。少し前のことだけど。
職場で休憩時間にNBA(日本バーテンダー協会)のホームページ見たら「速報!世界一になったよ」みたいなこと書かれていてマジで軽く興奮した。

彼が地区大会から出してきたカクテルについては大会前に必ず飲んでいた。
「よかったら大会に出すカクテルどうですか?」
たまたま地区大会の開催の近くに店に行ったときに何を飲むか考えあぐねていたら、そう言われた。
実のところ大会向けのカクテルは苦手だ。
基本的に一口しか飲まない審査員のために複雑で強めの味わいと腰を出すためのアルコールの強さが中盤以降しんどくなるからだ。

しかし、さすがはプロで横浜で日本一になる期待をされていただけのことはある。

やや重さはあるがそれでも最後まで飲ませる力は抜群だ。

日本一なったレオンは素晴らしいカクテルだと思う。
このカクテルも全国大会の前に飲んだ。
このカクテルは飲んで大会にこんなバランスのいい状態で出すのかといぶかしんだものだ。

彼はこの年アジアチャンピオンにもなってる。出場資格は前年度全国二位。まさに破竹の勢いで世界大会へ向かう。

ちなみに前年の横浜カクテルコンペディションの優勝者のカクテルも事前に飲んでいる。
「日本一になる前に飲んだんだよ」
「じゃああやかってもいいですか?」
「そんなんで役に立てたるならいくらでも」
試飲する。というか普通に金は払うけどね。
「美味いけど大会向けじゃないな。あと一味あるといい。少し重厚感を出すといいね」
「山田さんにも同じこと言われました。調整段階なので少し控えたんですけど増やしてみます」

で、横浜チャンピオンになった。
いやはや。こうなるとという感じでアジア大会の前に行き、世界大会の前にも飲みに行かなくてはならないと思い至る。

実力だろうけど運がないよりはある方がいいだろう。それくらいの話だが一助となれば幸いじゃないか。

おいらがその分運を減らしたって構わない!
明るい話題が増えればいいじゃないか。

そして、彼は優勝して、おいらは女友達と仲たがいし、担当業務じゃないもの担当になりその業務の影響で残業祭りになり、果てしなく治らない風邪をひいて、激太りして、携帯を閉じるとなぜか電源が落ちて再起動するという憂き目に遭っている。

ストップ!アンラッキー!
| 携帯 | 01:21 | comments(0) | - |
さよなら、さゆりさん
さゆりさんとの出会いは10年前……いや、9年前のちょうど今ごろの季節だった。
あの頃より少し温暖化は進んだかな?
暑かったり寒かったりして嫌になるよ。
そして洒落にならない災害も起きたこの年にきみはいなくなった。

あの日と変わらない姿できみはただ物言わぬ姿になった。前から少し調子が悪そうだったから心配していたけど、前にもやばいことがあったから今回も大丈夫だとおもったけど二回目の奇跡は起こらなかった。

誰かが言ってた。
「奇跡は1回しか起きないから奇跡なんだよ」
そうだ。ぼくはあまりにも奇跡を信じていた。叶わないものが叶うから奇跡であってそれにすがれば盲目に宗教にはまる人間と変わらない。
変えようのない出来事をただ一度の奇跡を信じて。

たゆまない努力のもとにしか結果は訪れない。何かしたか?ボクは何かしただろうか。
ただ漫然と彼女が動かなくなるのを見ていただけじゃないか。

3年前に一度死にかけた時だって本当は彼女は死にたかったのかもしれない。無理矢理延命させたにすぎない。ボクはボクのエゴで彼女を助けてしまった。

死にたがっていたのかもしれない。ボクに彼女助ける権利や義務があったのか?

有り体に寿命と言って切り捨ててしまうべきではなかったのか。生まれてすぐに終わるものもいる。事故や病気だって寿命と言えるのではないか。

それならあの時……

言っても栓なきことだ。ボクにはあの時そうすべきだと思っていてそうしてしまったのだから。

だから最期の時まで彼女に付き合うことにした。
あの時元気に見えたのに目をそらした瞬間気づかないうちに彼女は最期の時を迎えた。

ヒルクライムじゃないが何度季節を越えたろう。
思い出をあげられることはない関係だったけどいつも側にいてくれてありがとう。

もう無理はしなくていいんだ。
謝ることしかできないけど、君かいてくれて本当によかったと思うよ。
ごめんだけじゃ足りないからちゃんと感謝とお別れを言うよ。

ありがとう。
本当にありがとう。

そしてさようなら。
さようなら。さゆりさん。

ボクのVAIO。

(車に名前つける人の心境で自分のパソコンが壊れた話を書いてみました)
| 携帯 | 22:37 | comments(1) | - |
今年の春の
世の中は震災で不幸が荒れ狂っている。
不条理に命を奪われるより、この春の人事は遥かにましというものだろう。
過労による自殺が増えたとき、ストレスチェックのようなものが流行り肉親の死別と同程度のストレスが離婚と仕事の内容の変更だったと記憶している。

そんなストレスを感じるほど明確な左遷だった。
仕事人間ではないがそれなりにやって来たはずだ。
いくら腐るなと言い聞かせたところでダメなときはダメだ。
いつもより早く家を出ないとならない。
何度かの乗り継ぎをして降りた駅は田舎というには中途半端にごみごみしていて丸の内あたりの整然とした感じはない。

ひとつため息をついてみたが現実は変わらない。

仕事も干されたようなものだ。
計画停電の対応以外はまるでいる必要のないような感じで、やる気の入社3年目青年もポカンとしていた。まあ、そうなるだろうさ。
仕方なしにそいつを誘って二人で定時きっかりに職場を出て二人きりの歓迎会をした。
まあ、二人とも来た側の人間だから言葉は正しくないのだが。

そして、部下の愚痴を聞き、元気付けて別れた。
仕方がない。仕方がないさ。世界は公平になんかできちゃいない。
天才とかそんな言葉があるんだから当たり前の話だ。運がいいとか下らないくらいに世界は不公平だ。不平を言っても始まらないが、それでも口から出るのはため息と少しの不満だった。

普段ならら間違いなく関わらない店に入る。
所謂ソープといわれる店だ。
ぼったくられてもいい。
ただ、店に入ったときなんとなく「借金のために働いてる女にしてくれ」と言った。
わかってる。最悪だと言うことも。
間近で自分より不幸な人間を見たいだけだった。

「お客さん。うちにはそんな子いないよ。あんまり変なこと言わないでよ」

いささか剣呑なものを飲み込んだような目をした男が愛想笑いを浮かべながらそう言った。

「じゃあ美人にしてよ」
「はは。好きだねえ。うちはかわいこちゃんしかいないよ。でもお薦めはサクラちゃんかな。指名料かかるけど損はさせないよ」
指名がどのくらいかかるかわからないが、どうでもよかった。

部屋に入りぼんやりと天井を仰ぐと朱色の天井だった。
鳥居のような色でなんだか不謹慎な気分で背徳の甘美に酔えそうだった。

結局男は下半身で考える生き物なのだと彼女が入ってくるまで思っていた。
サクラことユカリとの出会いだった。

つづく

↑というのがウソ
| 携帯 | 23:29 | comments(1) | trackbacks(0) |
short heaven 4
「シャンパン・ア・ロランジェ」
3月9日の深夜ミツルはいつものバーのいつもの席に腰かけていた。
普段ならまずそんな言い方では注文しないカクテルをオーダーした。

日本ではミモザと言った方が認知度が高い。「シャンパン・ア・ロランジェ」はフランス語で語感が美しいように思えるかもしれないが日本語にすれば「シャンパンのオレンジ割り」だから想像の余地がない。

ワクワク感がまるでないからと言う理由だけでミツルなら選ばない言い方だった。
そもそも気取ってフランス語を選ぶことはしない。

それだからマスターとサキはそのオーダーに驚いた。この店でそのオーダーの仕方をするのはゼロと呼ばれたもういない男の専売特許だからだ。
そして声はまるで似ていないのだが、発音がまるでそのいなくなってしまった男のそれと同じだったことに特に驚いた。

サキは磨いていたグラスを落としそうになった。声の質感も何もかも違うのに動揺したのは声に込められた何かが、例えるなら言霊と言うようなものを感じたからかもしれない。
サキは極度に霊力が強い。正しくはないが、それは別の話しで今ここで語るべき話ではない。
とにかく所謂霊能力類いが備わっているのだと思ってもらえばいい。

言葉に込められた力のベクトルがゼロのそれと変わらぬもので、霊力に頼りそれを聞いたならゼロと間違えかねなかった。
居るはずのない人間がそこに現れた錯覚に陥る。
サキは一呼吸分の間を取り「そんな言い方あんたらしくないじゃない」といつもの声音で言った。

「ゼロっぽかったか?」
どこかいつも微笑んでいるように見えるミツルの顔に嘲笑にも似た表情が顔に貼りついていた。

ミツルは時々言わなければ平穏に終わるはずのことをぶち壊すのが好きだった。
今も冷静を装うサキの微かな動揺を見て言わなければいいはずの言葉を口にした。
相手が傷ついても傷つかなくてもミツルは傷つく。
見えないナイフで相手を切りつけるが、そのナイフは握り手も刃でできている。だから相手を傷つけられなくても握った自分は必ず傷つく。
放った言葉に責任を無駄に感じるタイプだった。

「そうね」とサキが呟くようにいうと「ごめん」と返した。

実のところミツルは傷つけたと思ったが、サキはなんとも思っていなかった。自分の琴線に触れたのは言霊と呼ばれる霊的なものの方で、ゼロと被ることなど本来あるわけがなかった。

あるとすれば……

すっと部屋の角を睨み付けると蚊でも叩くように両手をパンと合わせた。
所謂柏手と言われるものを略式で行なった。
これで彼女しかわからない存在の彼のいたずらは消えるはずだ。
色々な作法にはちゃんと理由がある。それを正しく行えば正しい答えが導き出される。

それを略して行うことで答えを導くことが出きるのは頭にちゃんと構成式が浮かばなければならない。それができて初めて答えを一足飛びに導き出せるのがこの手のまじないの特徴とも言えた。

柏手は正しく行えば邪なものを退ける。転じて弱い魔術を断ち切る効果もある。

サキは少しゼロの悪戯にムッとしたが、マスターの「お待たせしました」という声で現実に引き戻された。

ミツルは目の前に出されたグラスをサキの前にそのまま置いた。
怪訝そうにサキはそれを見つめる。

「一日遅れたけど、フェスタデッラドンナだ」
「一日遅れじゃ意味がないじゃない」
「厳しいな」

フェスタデッラドンナはイタリア語で「女性の日」を意味する。
その日は感謝の思いを込めて男性から女性にミモザの花を贈る。
それに準えようとして見事に失敗した。

ミツルの場合この手のことを下心なしで行える。意図的に下心を少しだけ見せるときもある。
理由は微かな下心は女性を女性足らしめると考えているからだった。
自分に関係あってもなくても女性がキレイであるためには誰がちゃんと見ていると認識させるべきであるとミツルは考えていた。
相手に対する好意の大小はあれ嫌悪以外であれば多少の洒落っ気は増す。特にミツルは容姿端麗とは言えないが醜男ではない。
いつも微笑んでいるように見えるから悪意を感じさせにくい。
だから、相手を勘違いさせることもしばしばある。

ミツルは女性が勘違いする程度に相手にやさしさを向けられる。
勘違いをさせたことに気がついたときには大抵「好きでもないならやさしくするな」とか言われる。ミツルはただ女性が楽しくしているのを見るのが好きなだけだった。
それは確かにある種の罪なのだろう。自覚がいつも遅いだけでいわゆる罪作りなタイプであることには間違いがないのだから。
好きとか嫌いとかは越えていかないとミツルの側に居ると傷つくことになる。
もちろん両想いになれれば問題ないが、半数以上が片想いのまま終わったり、早々に見切りをつける。自分以外の女性に自分と同じ態度をとっているのを見れば気がつくものだ。

だから、ミツルのことを理解している数少ない女であるサキに対して感謝の意を込めてプレゼントした。
そしてサキは受け取らなかった。
それをミツルは想定していた。
無理強いせずミツルはグラスを引き取り、小さくグラスを持ち上げ乾杯の仕草をする。
予定調和でミツルは日常から脱却する。
バーを楽しむために杯を勧めて断られる。客からサキも時々貰うことはあるがミツルからは何故か受け取らない。
いや、ミツルの日常の脱却の手伝いをしているだけのことだから、そこに理由は存在している。
ただ、互いに口にしないだけで、それでよしとしていた。
サキは貸し借りなしのスタンスでいるのがいいと感じていた。
だから、受け取らない。
まったく手のかかる客でしかないが、それでも見捨てることはできなかった。いや、見捨てるとかそんなものではない。
ミツルはひねくれて育ちすぎた。素直を履き違えるところがある。
恋人のように受け止めるわけでもなく、家族のようにありのままを認める。ただそれだけだった。

ミツルはミモザを水のように飲み干し、空のグラスを差し出しながら「アイスバーグ」と次のオーダーをした。

ミツルの非日常が始まりバーの日常が始まった。
| 携帯 | 00:03 | comments(1) | trackbacks(0) |
意味ないです
右の頬をぶたれたら「お願い」と言うとか言わないとかのだいです。左の頬もー。

2月も寝込んだり吐いたりしてました。
飲みすぎと風邪と厄年の3Pですよ。
男女男か女男女のどちらかなら……ね?

鼻水とか出るけどくしゃみがないから花粉ではないでしょう。
ただ、タバコの煙が滲みます。
無駄に噎せる。

しかし、昔はあれだけタバコ吸っていたのに今はこんなに毛嫌いしている自分の驚きます。

バーでこんなに嫌だと思うとは!

家に帰ったらシャワー浴びて洗濯したくなりますよ。
スーツやコートが臭って残念な気分になります。
どんだけだ!
でも、友達に止めろとか、だからといってバーの客に文句を言うつもりもない。

昔はやっていたからね。

そう昔は。

とりあえず、月曜日から普通に働いて、寝込んだ翌日だけど終電まで働きました。

働くしかヨテイがないんで。

しくしく。
| 携帯 | 23:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
徐行運転
前厄!やーだいです。大台ですよ!個人情報漏洩!

新年明けてひたすら風邪で寝込んでました。
あ、言い過ぎました。でも咳が止まらず死にかけていました。
今も電車の乗り降りや家に帰ると咳が出たりします。
特に会社に入ったときとかすげー出ます。

「すごい。こんなにいっぱい」とか脳内で女の子に言わせる暇もないくらい咳き込んでます。

そのうち咳して血でも吐くのではないかと思いますが、結核とは思えないので肺と言うよりは喉の炎症から痛め付けすぎて出血みたいな感じです。
実際ピーク時には口の中血の味したしね。
あ、なんだ出血してんじゃん。

初潮は済ませたみたいな?

すみません。勢いだけで言いました。
そうそう出血と言えば携帯買い換えたんですけど、こいつの角が痛いんですね。サクサク刺さって。長い間片手だけで支えていたら手に穴空くんじゃないかと思うほどです。
痛し前の携帯と同じメーカーなのに使い方が圧倒的に違って使いにくいし!

ネット接続しすぎか朝満タンでも夜中にはからっけつですよ。前の携帯に比べても明らかに電池の消耗が激しい。ディスプレイがでかくて解像度が上がったからか?ネットの反応とキーの反応も心なしか鈍い気がするしさ。

前の携帯がディスプレイ崩壊でもなければ、冷静に考えてスマホでよかったのではないかと思う。
ちなみにiPhoneは絶対に持ちませんよ。流行りに迎合するものか。いやするんですけどね。するけど、持ちません。
反体制主義ですから、天下人には歯向かいますよ。

基本ことなかれ主義なのにね。

いまさらじゃん!
こんなタイミングで持つの恥ずかしいじゃん!
ジャンバル・ジャン!

やべーあまりのつまらなさに吐血するかと思った。
血を吐くのが病気じゃなく自分のネタなんて、まさしく厄年フル回転だね。

ちなみにおみくじによると今年は待ち人は差し障りがあってこないそうです。
酒と女に溺れたら大変なことになるらしく、いつもどおり妄想で済ませろってことみたい。
旅行と引っ越しが吉みたいなこと言ってるから仕事辞めて隠遁生活を送れと言ってるのかしら?

とかいって、携帯とパソコンばかりいじるニート引きこもりのできあがりですよ。
ええ、携帯でもネットに接続してるだけでまるで意味がないに違いありませんよ。

だから、やっぱりスマホにすべきなんですよね。

あーダメだ。ニート向きの発想してちゃ。まじで厄年になるよ?

ということで、こんなおいらですが、今年もよろしくお願いします。

ちなみに初夢はじらすだけじらして全裸で女の子とキスするだけの夢でした。
おみくじの結果が確実に影響しているとしか思えません。

生きるのって大変だ。
| 携帯 | 00:37 | comments(0) | trackbacks(0) |
クリスマスの国の少年
右手に息を吐きかけ少年は空を見上げる。白い息が煙のように吐き出された。
髪も眉毛も睫毛も白い。肌も陶器のような美しい白色だった。
白い少年は少年と呼ぶには幼すぎるかもしれないがその瞳は同世代の子供が持つような輝きではなく覚悟を決めた者が持つ特有の光を携えていた。

その瞳でちらちらと降る真っ白な雪の向こうにある空を見ていた。灰色の雲が空を覆っていた。

いつからそれを見ていたのか思い出せない。
足元が新雪に覆われてる程度にそこに立っていた。

左手がくいっと引っ張られた。

空から目をはずし、手を引っ張った存在に目を移す。

少年よりさらに小さな女の子がいた。
眠たげな目を少年に向け目を擦っていた。

「どこ?」
「クリスマスの国だよ」

最初は理解できずにいた女の子に雪のように白い肌に興奮による朱が指す。
真冬に似つかわしくないひまわりのような明るく力強い笑みを浮かべながら「ほんと!?」と何度も少年に尋ねる。そのたび少年は「そうだよ」と静かに返した。

「寒くない?」
「?……寒くないよ」
「そう」

女の子は楽しそうに少年の手を振り切り降りしきる雪の中で、空をあおぎながら手を広げてクルクルと回っていた。

クリスマスの国は1年中雪が降っていた。
雪は子供たちの叶わなかった夢の結晶でなくなることはなかった。
だから、この国は雪で閉ざされていた。

女の子の顔を雪の結晶が滑り落ちる。溶けずに地表に落ち他の結晶と一緒になり、すぐに見分けはつかなくなる。
ただ雪と雪が重なっているだけで握っても塊にはならない。夢はそれぞれ交わることないからだ。それでも足元が沈み込まないのは、叶わない思いが他の思いを繋ぎ止めるからなのだろうか雪はしっかりと大地を覆っていた。

「ねーサンタさんは?」
「……これから会いに行くよ」

女の子は凄く喜んでまた雪の中を踊り始めた。純白のコートが女の子に合わせヒラヒラと舞う。白い世界で頼りげなく揺れ動いていた。

少年のコートが吹き付ける風にはためいた。
元の色は美しい白だと思われるファー付きのコートも煤けた灰色は白色の世界にあって黒い染みのようだった。

少年は一頻りはしゃいだ女の子の手を握り歩きだす。

吹雪の平原に差し掛かったが、少年はそのまま気にせず歩みを止めずに進んだ。

女の子の前に少年は立ち風よけになるように歩いた。何かに急かされるように。

吹雪といっても地表にある雪が舞い上がっているに過ぎないのだが、それが永遠に続く。
舞い上げられた雪が上から降り、地表に落ち舞い上がる。

少年は呼吸を乱しながらも歩き続けた。溶けない雪は口に入ると子供の悲しみの分だけ体を冷やし、吸い込みすぎると動けなくなる。
少年はボロボロのコートを引き上げ口に入らないようにしながら歩いていた。
目に入ると瞳を傷付けるからゴーグルをかけた。

女の子の体を密着させて少年は歩みを続ける。止まることを知らぬように。

幸いだったのは吹雪の平原には成れの果てはいない。雪さえ防げれば安全と言えた。
だが、小さな女の子をかばって連れ歩くにはこの国の雪は同じくらいに凶悪な存在だった。

自分も倒れることができなかった。ここで自分が倒れれば女の子は吹雪の平野を抜けることができず倒れるだけだった。
夢喰いや成れの果てに比べれば対処のしようはあるが、対処できるだけで、状況がいいわけではない。

吹雪の平野を抜けたとしても、安全が約束されるわけではない。最後の関門を突破できなければ、ここで終わりにした方がいいかもしれない。

叶わなかった夢で出来ている雪に晒されていたから、少年の思考はマイナスに傾き始めていた。

挫けそうになる。心が折れそうになる。
繋いだ女の子の手は冷たく、何故だか遠くに感じられた。

体から離れたかと思い立ち止まる。
振り返ると腰に手を回し抱きつくようにしていた。

では、自分が握っている手は何か?

少年は手を見た。
そこには何もなくただ雪がまとわりついていた。
それは手には見えなかったが、包み込むように付着していた。
それを静かに払うと少年は再び歩き出した。
何度もそれを繰り返し、やがて平原を抜けた。青空はそこになく曇天があるだけだった。雪は降っていない。
少年は酷く疲労していた。
乱れた息を調える。
女の子はまるで何もなかったかのように少年の横にいた。

少年は何でもないという雰囲気で少しだけ笑って見せた。

先を急ごうと少年は女の子の手を取る。
微かな温もりを感じた。

少年は焦りを感じていた。

「サンタさんは?」
「……もうちょっとかかるかな」
女の子は頬を膨らませて小さく震えた。

寒さを感じているのは問題だった。危険を回避して吹雪の平野を突破したのも寒さを感じていないなら女の子ならリスクが減ると判断したからだった。

温もりを手にする前にサンタの元に連れていかなければならない。
それが自分に与えられた唯一のことだった。

サンタのいるところまではあと少しかかる。

しかし、これ以上女の子の体温をあげる訳にはいかなかった。
吐き出す息が白くなる前に連れていかなければならない。

迷っている暇はなかった。

コートのうちポケットから成人男性の親指程の小瓶を取り出すと、じっと見つめた。
底の方に僅かに無色透明の液体がある。

「ちょっと待っててね」
そういうと少年は女の子の手を離し、小瓶の封をしてあるコルクの栓を抜いた。
それから近くの雪を空いている左手で一摘まみして、それに小瓶の中の液体を垂らした。
雪は瞬く間に固まり白色の錠剤のようなものができた。

「はい。口を開けて」

女の子は疑いもせずに口を開ける。
少年は女の子の口に錠剤を入れる。
しばらく口の中で女の子は転がしていたが、少年の「飲み込んで」という言葉で飲み込んだ。
急激に女の子の顔から表情がなくなり、そのまま倒れた。

少年はコートを雪の上に広げた。
するとコートは一枚の布に変わった。
女の子を布の上に載せると布は蠢き女の子を包み込んで袋になった。
サンタが持つ袋に似ていた。
それを無造作に担ぎ上げる。
重さを感じていないようだった。実際重さはない。サンタが無数のプレゼントを入れているのに平気なのはこの魔法の布のおかげだった。
質量を減らすことができ、あらゆる形に変わる布だった。

袋を担ぐと少年は走り出した。

サンタのいる作業場が見えてきた。このまま行けるかと思ったとき、最後の関門が現れた。

人の上半身にトナカイの立ち上がったような下半身と頭を持つ生き物がいた。
左の角が折れているが、それは手に握られている複雑な形をした斧とも剣ともつかない奇妙な武器になっていた。
折れた角の付け根から左目の上を経過して頬まで大きな裂傷があった。そのためか左目はおぞましい赤色に染められていた。

赤目と言われる門番の獣人で関門として一番会いたくなかった存在だった。

「成り損いよ。どこへ行く」
大地を震わせるような声で赤目は少年に問いかけた。
仮にこの場に野生のライオンが居たとしても逃げたしたに違いなかった。
だが、少年は踏みとどまり赤目を見つめ返してそう言った。
「西のサンタのところまで」
「袋の中はなんだ」
「プレゼントの道具です」
「成り損いの言葉を信じろと?」
相手に望むのは言葉ではなく行動であると言っているのだ。
神以外の言葉は全て行動が伴わない限り偽りであるように彼らは考えていた。

少年は袋を開けた。
中には動かない女の子がいた。
赤目はしばらくそれを見つめていたが、納得したようだった。

「ようやく役に立つことをする気になったか」

トナカイが大きな口を開けて笑った。酷く邪悪な笑みに見えたが、少年はそれを無視して歩み出そうとした。
門を通り抜ければあとはサンタのもとに行くだけだった。

そのとき赤目が少年を呼び止めた。

「袋を置いていけ。やつらを呼び寄せる餌にする」

少年は足を止めた。赤目たちはこの国のいかなるものを支配する権利を有していた。
サンタの生死さえも彼らに委ねられていた。
サンタはただの配達人であり、プレゼントを創るだけの存在でしかない。
門番にして支配者が彼らであった。
サンタはいえば家畜と同じだった。

「今年は別にもうプレゼントはいらない。成れの果てを狩る餌にするから置いていけ」
「来年も必要になりますから」
「来年は来年でどうとでもなる」
これ以上逆らえば確実に殺される。
それ以前に疑念を抱かれたらお仕舞いだ。
心に諦めが過る。

そのときトナカイの顔が歪んだ。
少年は気づかれたと思って死を覚悟した。

「行っていいぞ」

既に少年の方を見てはいなかった。
喉の奥から興奮と憎悪を煮詰めて作り出したような濁った音をさせ赤目は走り出した。

目の前に狩るべき存在である成れの果てが現れ、赤目は倒しに向かった。
千載一遇のチャンスだった。

成れの果てはサンタが家畜から野良に変わり、プレゼントを造るための道具である人の子供を襲う。
子供は雪を固めるための涙を流すための道具に過ぎなかった。
この国にいる子供は不幸でしかない。いや、それさえ感じることはない。涙が枯れ果てれば雪像となり砕けてなくなる。

少年は襲い来る成れの果てと迎え撃つ赤目を振り返ることなく門を通り抜け、サンタの元へ向かう。

途中で袋を開けて女の子の口に残りの液体を入れると、女の子は咳き込み小さな粒を吐き出した。

子供の涙は雪を固める効果はあるが、誤って飲み込んだ雪を体外に排出させる効果もある。

あと少し時間がたてば女の子は雪像となっていただろう。
成れの果てに感謝しなくてはならない。

女の子はぐったりしている。吐き出す息が白くなっていた。
体温が戻ってきている。
喋りたくても喋れないだろう。

この国、この世界にいられなくなっている。

袋の口を閉じてサンタがソリに積んでいる袋の1つに混ぜた。

これでいい。

あとはサンタが出掛ければ女の子はもとの世界に戻れる。

少年はため息をついてサンタが出掛けるのを待った。
定刻以外で出掛けない。

早くしなければ赤目が帰ってくるかもしれない。
その不安は的中した。
全身を赤に染めて片方の角しかない獣人はやってきた。

「やはり子供を寄越せ。まだ足りない」
殺し足りないという意味だろう。
「その中か。取り出せ」

忌々しそうに赤目は少年に言った。
獣人はソリに触れることができないルールになっている。ルールを逸脱することは彼らは出来ない。世界を統べる代わりに与えられたのはルールを越えることのできない壁だった。

しかし、少年を殺すことは容易にできた。

だから、駆け引きのようなものがこの場には存在した。
ルールを曲げられない獣人とルールのない成り損いに駆け引きが成立していた。
いや、例え死んでも女の子は渡すつもりはなかったから、賭けは少年の勝ちだった。
苛立ち、赤目は右手に握った武器を振り上げた。

絶望して命乞いをすると思った赤目の目に写ったのは勝ちを確信した少年の笑みだった。

怒りに任せ赤目は右手を降り下ろす。

少年の頭に当たろうかとしたとき、その動きが止まった。

「ちくしょう。時間か……」

サンタが赤目に触れていた。
バキバキと音をたてて赤目の姿が変わっていく。
巨大なトナカイに赤目は変わっていた。

片方だけの角と赤い瞳はそのままで、トナカイとなった赤目はサンタの手によってソリに繋がれた。ルールの1つにクリスマスにサンタに触れられたらソリをひくためのトナカイになることがあった。

サンタは少年にウインクした。
サンタは時間より少し早い出発をした。

クリスマスの国はあの世とこの世の狭間にある。
女の子はまだ引き返せた。
少年は帰したかった。

まだ生きる望みのある女の子を両親のもとへ。

少年は遠く飛び立ったソリを見つめて「父さん母さん。僕は生まれてこれなかったけど、妹は守れたよ」と呟いた。





あ、クリスマス終わってる。
携帯だと文字数制限があれだなぁ。
| 携帯 | 00:41 | comments(1) | trackbacks(0) |
笑う
アツシの家で飲み会をしたとき時々一緒に飲む10歳以上年下の女子がいた。
女子と言うにはいささか年を食い過ぎているのだが。
所謂可愛らしい美人の部類で綺麗とは違うが、軒並み人が見れば好みの如何を問わずかわいいか美人と言う言葉を使える程度に整っている。若干斜視気味だが、容姿における多少の減点がむしろ人間らしくもあり、彼女を真の佳人たらしめないところでもあり、距離感を程よくさせている。

性格はサバサバしていると言えば聞こえはいいが、彼女は言葉が凶器であることを再認識させるほど歯に衣を着せない。思ったことを口にするし、時々ピンポイントで弱点を攻撃してくることもある。
観察眼が鋭いと言えるのかもしれない。

鍋の間、当たり障りのない会話に終始し、翌日に適度に悪影響が出そうなほど日本酒を飲んだ。
割りと好きなラインナップの酒を提供された。酒の種類は、鳳凰美田の亀の尾純米吟醸と上喜元の山田錦純米吟醸、豊盃の純米吟醸と酔うには十分だった。

翌日が休みじゃないのが残念だったがそれでも4人で4号瓶3本、しかも大半はこの場にいた男3人で消費したから十分に酔ったはずだ。
だが、どこか冷え冷えとした覚醒した感じがある。
頭の真がやけに冷たく冷静だった。疲れるくらいに作り笑顔を浮かべる。見抜けるわけはない。生きている大半をそうしてきたのだから。
ほら誰もわからないじゃないか。
なんだかどうでもよかった。時間が潰れればなんでもよかった。
だからだろう。時間はゆっくりと流れていた。むしろ罰ゲームのように。
時刻は11時になろうとしていた。
「じゃあ、そろそろ帰るね」
「あ、マサルさん悪いんだけど、リエ送ってよ」とアツシが俺に言った。
「あ?……いいけど」
「面倒くさい」と口から出そうになったのを飲み込む。
アツシの家の目の前が地下鉄の駅だから送る理由がない。挙げ句に家に入るのに一々ドアフォンを鳴らしてドアを開けてもらわなくてはならない。
アツシのムダな紳士ぶりに辟易しつつも近くだからと了承したのは事実だし、リエも断らなかった。
距離がなくても酔っぱらいや不審者がまったくいなくならない土地柄だけに不安なのかもしれない。
そう思うとかわいくも思えてくるから不思議なものだ。

上着も羽織らずに外に出た。
30秒くらいだし、寒いといってもたかが知れている。

地下鉄の駅に向かおうとしたら、そこを無視してリエは歩いていってしまった。

「どこ行くんだよ」
「JRの駅だけど。帰り一本で済むから」
「まさかそこまで?」
「もちろん。いや?」
「いやいや。もちろん送らせていただきますよ」
30秒が7分くらいに変わった。しかも、自分の家の前を通過するおまけ付きだ。
こうなると、そのまま帰る支度をしておけばよかったと後悔した。少し考えればリエがJRを選択するのは当たり前のことだとわかったはずだ。
今日の会話で彼女の家はここから最寄りの駅から距離はあるものの何も考えずに一本で帰れるという話をしていたばかりだった。
ただ、これといってリエに興味がなかったからアツシが地下鉄というような雰囲気で話したと思い込んで了解した自分のミスだと諦めた。

いざ二人になると何を話していいかわからない。
スケベなことは容易に想像できるのに普段の会話はまったく思いつかない。
自分に自信のない人間は嫌われないように頭を回転させる。そして小心者はその答えを口にするに窮する。自信のない小心者はただの会話でさえ思い悩む。
女性にしては歩みの早いリエも同じなのか会話はない。
そのときリエの携帯が鳴った。
リエは携帯を取り出して翌日の予定の確認のための話をしていた。安心する自分に嫌気がさしていた。

ポケットに突っ込んでいた腕が引っ張られた。
腕を組まれてこっちを見て「はやい」口だけ動かしてた。

ペースを落とす。

知っても仕方のない個人情報がドンドン入ってくるが、スケベ心は組まれた腕に当たる胸の感触に一直線で、なんの情報よりも優先していた。
電話が終わっても腕を組まれていた。
「腕」
「いや?」
「いやじゃないけど」
「じゃあいいじゃない。荷物の重さを半分になるし」
「それかい。なら荷物持つけど」「全部は悪いじゃない。だから半分」
「そっか。じゃあそれでいいか」
「そうでしょ?」
リエは無邪気に笑いながらさっきより少しだけ身を寄せてきた。
「寒い」
どんな表情を浮かべればいいのかわからず僕は笑顔を浮かべた。

「最初に会ったときも笑ってたよね。なんかね。この人とケンカしちゃいけないって思った」
「なんで?」
「ほら。ケンカみたいになったでしょ?」
「そうだっけ?」
「そうだよ」

覚えていた。だけど、忘れたふりをした。実際なんでそうなったかは忘れていたので、微妙なところだ。

「こっちがムキになっても、笑ってたし」
「そうだっけ?忘れたよ」
「それでこの人に逆らっちゃダメだなぁって思ったんだよ」

笑うときは困っているか、何かを考えているときだ。
笑うと言う行為は歯を剥き出しにしする。それは攻撃の意思を現すものと何かで読んだ。
笑うことで自分の優位を確保したかった。そう思い込みたいのかもしれない。
だから笑う。
それは気づかれてないようだ。

腕がほどかれたのは、駅についたときだった。

何故だかデートの約束を取り付けられて別れた。
そんなに気に入られる要素はないはずだ。だが、どうやら好かれているようだ。
何度か振り返り手をふる彼女を見送る。

それから駅の近くにある少し高めの花壇のブロックに腰かけた。
家飲みだからと楽なかっこうで汚れても平気なジーンズだからよかった。

久しぶりの胸の感触に思わず笑えないくらいに勃起していた。
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虚無或いは
朝から熱っぽくあったが、食えば元気になるかと思い食ったオニギリをきっちり吐いた。
朝からの嘔吐はそこそこ慣れたものだが、それは明確な二日酔いの朝だけで体調が悪いだけの朝には特にない現象だった。いよいよ限界に近づいているのかと思いながら、出勤のために着替えたスーツのままベッドに倒れた。
見慣れた天井が少し遠くに感じてギシッと軋んだきり音をたてなくなったベッドには不安になるような静寂だけがあるだけだった。

スーツがシワになるとかどうでもよく脱ぐのがただただ面倒で奇妙に冷えた左手の甲がヒンヤリとしていて気持ちがよかった。
明らかに遅刻が確定した頃ようやくスーツを脱いでベッドに横になった。
吐く息がおき火を孕んだかのように熱い。
深く息をすると体の奥底にある氷のような悪寒が大きく口を開けて笑う。その笑いが体を震わせる。
気がついたら始業時間だ。
慌てて職場に連絡すると上司から休んでもいいと言われた。
何度か謝ったが、何をどう言ったか記憶にない。

通話を終えると睡魔と悪寒が手を繋いでやってきた。
漫画やアニメならポップなキャラクターがやってくるかもしれないが、ただの現象が一辺にやってきただけのことだった。

いつの間にか寝ていた。寝ていた事実を知り得たのは起きたからだ。
起きたのには理由があった。
滅多に鳴らない家の電話が騒ぎ出したからだ。
動くのが辛かったので無視していたら留守電も入れずに切れた。

こんな電話はろくなもんじゃない。無視して正解だったが、体は辛いが眠気がなくなったので、どうでもいい情報番組を垂れ流していたら携帯が低い振動音を発した。

メールはサイレントでバイブすらない。震えるということは電話だ。

職場からだろう。出たくはなかったが無視するわけにもいかず、手に取りディスプレイを見ると幼稚園からの幼馴染みからの電話だった。

さすがにバカじゃないから、この時間に仕事をしていることは知っているし、メアドも知っているから何か火急の用件だろう。ゆっくりと不吉な目をした蛇が鎌首をもたげるように何かが起き上がる。
早くでなくては。
留守電になる。
慌てて通話ボタンを押した。

「おう。どうした?」
「あ、今大丈夫?」
「家で寝込んでるから大丈夫」
「大丈夫か?」
「まあな。で、どした?」
すぐに言葉は続かなかった。
何を言うか言葉を探す間が嫌だった。
身近な人間がこの手の間を持つときは必ず良くない話しかない。
深く一つ息を吐くと一拍間を開けて話し出した。
「……ヒロが死んだ。これから旭川に通夜に向かう」
「は?マジで」
自分でもバカなくらい不細工なコメントだ。
「ああ」
冷静に答えられた。それがより自分を滑稽にさせた。
ヒロとは中学くらいからの付き合いだった。
大して仲が良かったわけではない。友達の友達くらいの繋がりでしかなく、実際に仲がよくなったのもヒロが胃潰瘍で入院して、友達に付き添う形で見舞いに行ってからだ。
ヒロも俺も人見知りで人と仲良くなるのが苦手だった。
だから、互いに友達が多くない。
見舞い客もあまりいなかったらしく随分と退屈を持て余していたから、些細なネタでひどく笑った。
あまり笑いすぎるからナースに怒られた挙げ句に、ヒロの傷口が開いてしまい後日しこたま怒られた。

それからなんとなく見舞いに行ったりした。学校の帰り道だったから気が向いたときに顔を出していた。

地元の高校でご多分に漏れず少なからず青春を謳歌して、よくつるむ連中の一人にヒロはなっていた。

俺の家は高校から近くて、ヒロの家は広かったのでどちらかの家が溜まり場になっていた。
大抵はうちで夕方を過ごして夜はヒロの家に集まるというのがパターンだった。

それくらいは仲が良かった。
だが、就職でおれが東京に出た辺りから疎遠になり、いつしかヒロは田舎から家族ごといなくなった。
そこから音信不通になり、友達の間でも話題に上らなくなっていた。
とはいえ、田舎から続いている友達の中には人生の転機というやつもいて、名前だけは上がっていた。だから完全に忘れることもなかった。

そしてこの日を迎えた。

熱に浮かされぼんやりとした頭で事実の整理をする。
死因は不明だが、明らかに理解していた。
死因ではなく死に至る行為であったことを。
理由も方法もわからない。ただ、明確に何故か彼が死に至った言葉だけが頭に過った。

ただ、おれも友達もそれを見て見ぬふりをしていた。
死んだことさえ納得していない人間がそこに至る経緯を、最も口にしたくない言葉を、口にするわけなどない。

少なくともおれは理解していた。
理由を告げられないまま友達に死を伝えてきたヒロの両親のことを考えれば容易に結論は出た。

「じゃあ、わかったら後で連絡する」
そう言って電話は切れた。

死因か。
死に至る理由か。

天井が遠い。

ヒロの死を受け入れていないのかわからないが悲しみがまるでない。空虚だった。
無意味に流れる情報番組の司会者の声が耳障りだったが、そのまま意識を失った。

タモさんが話してる。
正午を回ったか。

体の中は暑いが背中は寒い。

連絡はなかったらしい。携帯は無言のままそこにある。テレビのリモコンを手にした。電源を切ると目を閉じた。

目覚めると部屋の中は闇が支配していた。
連絡はない。
思い出して弔電を打つことにした。
田舎の妹に連絡をする。両親には気まずくて連絡しにくかった。
知らぬわけではない息子の友達の死と病気で倒れている息子では、久しぶりの会話が重たくなるだけで、ヒステリックに母親が心配するのを想像すると今日の状態では受け止めきる自信がなかったからだ。

それでも妹には仕事をしているふりをしてメールで連絡した。
どこにどれだけ気をつかっているのだろう。正直疲れた。

弔電は当日では間に合わないが、翌日の10時にはつくらしい。いや正しくはわからない。
ただ翌日つくので問題はないだろう。

……そうか。
なんだ。悲しみがないだけではなく世間体だけじゃないか。
どこまで腐っているのか。

ああ。たぶんあいつとあいつには連絡した方がいい……

特番のお笑い番組を眺めながら笑っていた。
何をするわけでもなく空虚に時間だけが流れた。
22時過ぎに友達から電話がかかってきた。
深いため息とわずかの沈黙の後、友達は「自殺だった」と一言だけ呟いた。
電話越しからも沈痛な表情がうかがい知れるほどの苦痛に彼はいた。
友達の自殺を伝えるのが苦しいだろう。
チリチリと自分の中の何かが燻っている。
わからないが友達の沈黙に苛立ちを覚えていた。
理由はわからない。明確なのは苛立ちがあることだけだった。

おれには癒せない傷を見せつけられたからかもしれない。
そんなに偉くはないし、徳もない。できるのは嘘でも彼の悲しみに寄り添うだけのことだった。

それは苦痛だった。
早くここから抜け出したかった。
だが、それをしなかった。生きる術がそれを拒んだ。
糞だ。実に糞だ。

何故悲しめない。
祖母を失ったときも、妹を失ったときも、友を失ったときも、去来するのは悲しみではなかった。

ただ空虚だった。

自分以外の人の感情が強いほど、心は凪ぎになろうとする。
感情に振り回されるのを嫌い、強い感情に触れるのが苦手だった。

幸いというか友達の電話は早めに切れた。

深いため息と年末に田舎に帰ってこいと言って、約束をさせられて通話は終わった。

別の友達に連絡した。
ショックを隠しきれずにいたが、悲しみよりも怒りと後悔が滲んでいた。
助けられなかった後悔と自殺を選んだ友への怒り。

静かに長く熱を持つ炭火のような感情だった。

何故か努めて明るく接したり、共感したりを繰り返していた。

近いうちに飲もうと言い、冬は彼にとって住む家のない田舎に帰って同窓会をしようということにした。

夜中だった。
眠りに落ちる前にもう一人友達にメールをしたら、直ぐに電話がかかってきた。

泣いていた。
こいつは感情的で素直ないいやつだ。間違いなく友達の中でずば抜けていいやつだ。
ただ、その涙が今夜は疎ましかった。たっぷり彼の悲しみを受け止めた20分は長くも短くもない20分だった。

電話を終え静寂が帰ってきた。

死んだことを羨ましいと思っていたから苛立っていたかと思ったがそうでもない。
苦痛から逃げ出したことを侮蔑する気もなかった。

たぶん誰がどう死んでもいいのだろう。自分の未来に期待も希望もない。今を生きるわけでも過去にすがるわけでもない。

ただ死ねないだけなのだ。
死にたいと思いつつ、死ぬことを拒む。理解しがたいものは恐怖だから容易にそこには近づかない。
死ねないし世間体だけで生きている。
苦痛だけしかなくても生きている。
笑えるから大丈夫と笑う。

いつか確実に破壊されるその日までおれは死なないのだろう。
いや、死ねないのだろう。

今の仕事をして。
今のように飲んで。
今のように何かを書いて。

毎日その繰り返し。

いつか終わるその日が来るまで。
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もういや
汗のかき方だけなら負けないだいです。15分に1回は着替えたいです。

さて、一応週休2日だというのに土曜日に出勤してます。
部下の休みのためのカバーなんですが、本来業務が滞り後手後手にまわり休日出勤の憂き目にあってます。

うちの建物は全館空調なんてものを使っておりまして、オーナーの意向で休日は空調カットされてます。

まあ、こんな日ですから前述のとおり汗かきですから、地獄のような状況です。
風があるのが救いで、窓から入る空気が若干室温を下げますが、エアコンに慣れた体には雀の涙ほどの効果もないです。

誰も来ないだろうと内側から鍵をかけて上半身裸に。
醜い裸体ですから見せるわけにはいきませんからね。

それから2時間くらいした頃ですかね。
急に頭痛がしてきたので毎日のように飲んでいるバファリンを飲んだんですね。
水分とると同時に大量の汗が出るから嫌なんですけど背に腹は代えられず、渋々飲んだらやっぱり汗が止まらないわけです。

あー上半身裸でよかった。全裸の方がよいけど、流石に職場で下半身は出せないからなぁ。

なんて汗を流しながらパソコン仕事していたら、なんとなくドアに目がいったんですよ。
いや、本当になんとなくなんですけどね。薬もまだ効いてないからディスプレイを見るのも確かにしんどいのはあったんですけどね。
だから目をはずしただけかもしれません。

そしたら、なにかがドアを開けようと「ガチャガチャ」と動かす音がするじゃないですか。

やばい。

よろしくない何かを感じたのかどうかはわかりませんが。

動きが止まりました。

同僚が来たのかもしれないと思ってい慌てて服を着て、ドアを開けたら誰もいない。

エレベーターホールまで探しに行ったけど誰もいない。
わずか数秒の出来事で、事によっては守衛のところに行ってしまったかもしれないと思って鍵を開けてまっていたけど、結局どれだけ待っても誰も来なかった。

暑さに負けてまた上半身裸になって作業をしていたら22時を超えた。書類にミスを見つけたのでコピーを再度とり始めていたら、隣の会議室から壁を叩く音が聞こえた。

……うーん?

こんな時間に会議室誰もいないよね?

お、コピー機異音を発している。大丈夫?

あ、なんとかなったね。
で、壁はそろそろ止まない?

……よし。帰るか。終電も近いし。

明日も出勤だしね。
行きたくねえなぁ。

明日はもっと派手になったらあれだなぁ。

リアルな話でした。たははん。
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