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もすこみゅーるだんでぃー

だらだら垂れ流しています
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sideB 26
あれから手癖だけで作れるような作品でなんとかほぼ毎日徹夜で描き上げた。
ろくな作品ではない。
生み出しておいていうのも何だが読者にも作品にも申し訳のないものだった。
漫画好きには到底納得できないような内容で自分でも最低だと思っていた。

「クリスマスは家族と過ごすけど23日は泊まりに来るから好きなだけできるよ!」とメイは宣言していた。
「俺はそんなにセックス好きじゃない」とかいうと「私じゃ満足でないっていうの?」とか面倒な切り返しをしてくるのが目に見えていたから「友達の家に泊まるとか言うのか?ずいぶんと信用されているんだな」と言った。
「ううん。彼氏の家に行くってちゃんと言った」
「は?」
それが俺が出せた精一杯の言葉だった。
「私友達少ないし、泊まりがけで遊べるような友達は居ないの」
「そうなのか?」
「うん。みんなバカだし話が合う子は連むのが好きじゃないタイプの子ばっかりだし」
こめかみ辺りを強く抑えて目を閉じる。
俺の周りにはどうしてこうも生き方が不器用というかなんというか、そういうタイプの人間しかいないのだろうか。
「好きな人が一緒にいればそれだけでいいもの」
「幸せというのはこういうことを言うのよ」と言わんばかりの満ち足りた優しい笑顔でメイは言った。
メイと付き合っていなかったらメイは俺のストーカーになったんじゃないかと不安になることがある。
かといってそれらしい素振りは見せたことがないから、そんな心配はいらないのかな。
携帯をのぞき見したり、尾行されたりというのはない。
ただ、俺の仲のいい人を毛嫌いする傾向はある。
男なのに剣崎さんが筆頭にだったりするから、女心というかメイの考えはわからない。

「だから早く子供作ろう」
「なんでそうなるんだよ」と普通のツッコミをいれて言葉を続けた。
「高校生だろ。これから大学だって社会人になって色々体験した方がいいだろ」
するとメイはわかっていないとため息を一つついた。
「だって、私の人生は一度きりだよ。自分のしたいことを優先するなんて当たり前じゃない」
「出会った頃は世界一周が夢とか言ってなかったっけ?」
「そんなのセイちゃんが亡くなった後にだってできるじゃない」
「先に逝くの前提かよ。まあ年の差から行くと俺のが断然先だけど」
「そうでしょ。私はセイちゃんが亡くなるのを看取ることも人生に含まれているの。だって、セイちゃん私が先に死んだら生きていけないもの。セイちゃんと付き合って私の人生設計は変わったの。優先事項の一番はセイちゃんと家庭を作ること」
きっぱりとすっきりとさっぱりと言ってのけた。

「本当に俺の所に泊まるって言ったのか? 親はなんて言ってたんだ」
「避妊はしっかりしろって。あと近いうちに連れてこいって」
「ずいぶんと放任主義な親だな」
あっけにとられながらそう言った。
「社会適応能力の低い私のことを考えると嫁に早く出したいんじゃない。でも、世間体があるから学生のうちに子供は作らせたくない」
「おまえは斜に構えすぎだよ。もう少し愛されているだろ」
「うちは妹が体が弱いからそっちにどうしても気持ちが行っちゃうから。私もそれでいいと思ってるし、妹はかわいいし、両親が好きだから早く独り立ちしたいんだ」
「それでいて目指せ扶養家族はないんじゃないか?」
「遅かれ早かれなら若い奥さんもらった方がお得じゃない? それにちゃんと仕事はします。セイちゃん養えるくらいの稼ぎを目指さなくちゃだけどね。そうなると大学は出た方がいいか……うーん。家族計画が遠のいていく」
漫画のキャラクターのように首を深くひねって悩んでいる。
滑稽だがそれもよく似合う。
愛しさ半分おかしさ半分で吹き出したらメイがキッと睨んで飛びついてきた。
メイはこの上なくキスが好きだ。
ただ、それは俺が距離を置こうとするから安心が欲しいからなんだと思う。
中途半端に逃げようとするスタンスが彼女を拘束していることに気がついていた。
それでもそれを辞められない俺は孤独が苦手なクズなのだう。
孤独が本当に得意なやつなんていない。だから、誰かに寄り添いたい。
俺のようなクズはそうやって誰かを殺してゆく。
相手の時間を浪費させるのは死を与えるのと同じだ。
その人間の一生は限られている。それを俺が台無しにしようとしている。

「おまえは優しすぎる。他人の舞台で脇役演じてどうするんだよ」と剣崎さんに言われたことがある。
自分の舞台で主役を演じるより他人の舞台で脇役に甘んじている方が楽だった。
それが他人の時間を無為にさせるものだとしても。

メイの柔らかい唇が押し当てられる。
少し体温の低いメイの舌が滑り込んでくると脳の奥の方がじわりと麻痺にも似た感覚が広がる。
これが何かはわからない。罪悪感なのかあるいはもっと甘いなにかなのか。
そして、この後は必ずセックスに流れる。
ほら当たり前のように俺は反応している。

それから当たり前のように12月23日にメイは泊まりに来て二人きりで過ごすことになった。

クリスマスイブは結局一人で過ごしている。
日中はメイに引っ張り回されたが夜は一人になった。
分かれた後に一抹の寂しさがあったがそれは素知らぬ顔をしておくことにする。

けんちゃんの店で飯を食って酒を飲んだ。
「ミツルさんがいないと寂しいだろ?」
「いや、今日はちょっと会いたくないかな。それにデートだって聞いているよ」
「へー。それは奇特な相手もいたもんだ。まあ、確かにこんな夜に男三人ってのもつまらないからこれぐらがちょうどいいか」
「ああ。そうだろ」

なんとなくまっすぐ帰る気になれず剣崎さんに連れて行かれたバーを探してみることにした。
デートの時に自分のねぐらを使わないと前に言っていたからきっといないだろう。
別れたときに面倒くさいというのが剣崎さんの言だが、別れるのが前提で場所を選ぶ
人に連れて行かれると道を覚えない。
見つからなければそれまでだ。縁がなかったと諦めよう。

不意に一人の男が目に入った。

男は建物の入り口で佇んでいる。
首の後ろに一度右手を当てるとそこを二度掻いた。
掻いた右手を眺めて胸から倒れ込むようにして建物の中に消えていった。

男の挙動が奇妙でなんとなくそちらを避けて違う道を進んだ。
数分うろうろして結局見つからずあの奇妙な男のいた辺りに行くことしにた。

男のいた建物の前に近づくと目的の店だった。
ふとあの男のことが気になって階段の先を見上げていた。

気がつくと男と同じ姿勢になっていた。
右手で首の後ろを押さえて掻いていた。
なんだか気味が悪くて俺はその手を見た。その姿勢まで同じになったとき後ろから何かがぶつかってきた。たまらず前のめりに倒れそうになる。
数分前に見た男の挙動と一致していた。

「す、すみません」

振り返ると大きな鞄を持った女が立っていた。
かわいらしいタイプに属する女性だ。

「あ、いえ。大丈夫です」
実際に大丈夫だったが、それよりも男の動きと一致していることが気持ち悪かった。
俺の言葉を聞いてほっとした表情を浮かべてもう一度謝ると彼女は階段を登っていった。
行く先はどうやら同じらしい。
レトロ映画に出てくるような狭い階段を登ると「OPEN」の表示の看板が出ていた。

中から声が聞こえてきた。

「せ、先生ぇ。先に1人でお店に入らないで下さいって、あれほど言ったじゃないですか!!」
息を切らせて先ほどの若い女が声を上げていた。

「紹介するよ、ボクの助手をやって貰っている、美島麗ちゃん。あ、彼女については、ボクより皆さんの方が詳しかったかな?」
その声を発したのは先ほど見かけた奇妙な男だった。
正しくは覚えていないが間違いようがない。纏っている空気がここの階下で見た人物と同じで特異だったからだ。

「うん? おや。やはりきたかね。来ると思っていたよ。いや、来るべくして来たと言うべきかな」
漫画のキャラクターを切り抜いて外見を人間風に味付けしたようなタイプだ。
それ故に不安と不快感を与える。
人の姿をしているのに人ではないような雰囲気がそこにある。
これを異質と感じるのは当たり前だ。

「どういうことですか?」
「なにがだね?」
「さっきの言葉です」
「どの言葉かね?」

不毛な気がして俺は口を閉じた。
「大抵酔っていなければここでボクの相手をするのを諦める。きみは実に模範的だよ。」
「お客様」
マスターと思われるバーテンダーが割ってはいらければ店を出ていたことだろう。
「おっとこれは失敬失敬。美島君も来たことだしぼくは彼女との会話に興じよう」
「お断りします。あ、マスターご無沙汰しております。」
奇妙な男の待ち人と思われる美人は男の隣に座る前に一度深々と挨拶をした。
この男は一緒にいる女性を見習うべきだと思う。
「そうなると他にボクは話す相手を探さなくてはならないな」
「黙っていればいいじゃないですか」
「美島君は厳しいな」
「先生はただでさえ人を不快にさせるのですから黙っていた方がいいんです」
「おや。しかし、人は言語でコミュニケーションをおこなう生き物だよ。それができなければ社会不適合者じゃないか」
「それをして先生は不適合者じゃないですか」

所在なげに突っ立っていると長身のマスターが柔らかいバリトンで「こちらへどうぞ」と席へと促してくれた。
席はカウンターのやや中央あたりで常連らしき男の席をひとつ空けて座った。
「確か以前剣崎さんといらっしゃっいましたよね」
「え? 覚えているんですか? 1回しか来たことがないのに」
「たまたまですよ。常連の方と一緒の場合は気をつけているだけですので」
謙遜しているがたぶんこの人は一度あった人を忘れないタイプの人だろう。
漫画のような人がいるものだ。
「飲んだものとかは覚えてませんよね?」
「……ジントニック、ホワイトレディ、サイドカー、スティンガー、フェイマスグラウスの水割りだったと思いますが。なにか好みのカクテルがございましたか?よろしければお作り致しますが」
ドラゴンボールなら感嘆符が10くらい並んでいるような表情をしていたに違いない。
「すごいですね。よく覚えていらっしゃいますね」
「職業病のようなものですよ」
はにかんだように少し笑いながらマスターはそう言った。
記憶の良さが職業病ならバーテンダーになりたいものだ。
「ああ、えーとロングアイランドアイスティーを」
一瞬周りの空気が緊張感に包まれた。
何か地雷を踏んだのだろうか。
「美味しいって話だったので」
緊張から出た言葉が更に空気をただならぬものに変えた。
俺はこんなにも空気が読めなかっただろうか。

「ははは。いいじゃないか。ロングアイランドアイスティー」
そう言ったのはあの奇妙な男だった。
片手に持ったグラスは茶色の液体で満たされていて俺に向けて乾杯するように小さく上げた。
同じものをオーダーしたのかと後悔する。
カウンターを軽く見るべきだった。
それをしなかったことが悔いたが今となっては意味がない。

「かしこまりました」
マスターの声が後悔の坩堝にいた俺の耳に届いた。
ずいぶんと長い間待たされたような気もするがほんのわずかな時間だった。

マスターは手際よくボトルを俺の前に並べた。
ラム、テキーラ、ウオッカ、ドライジン、ホワイトキュラソーのボトルを並べる。
4大スピリッツをシェーカーに入れ、風味付けにホワイトキュラソーを少しだけ入れる。
レモンを搾りシェーカーに入れる。粉糖を少し入れ手早く混ぜ合わせシェーカーに氷を詰める。
長目のタンブラーにシェーカーから注ぎ、コーラを注いで軽く混ぜ合わせる。
レモンスライスとストローを入れて完成する。
一連の動作に淀みがなく美しい。

「お待たせしました。ロングアイランドアイスティーです」

シェイクしたことで口当たりが柔らかくなりコーラ以外の材料は十分混ぜられているので、炭酸も必要以上に攪拌しないで済むので飛んでいない。
アイスティーだからそれほど炭酸にこだわる必要はないのだが、気の抜けた炭酸はやはりまずい。
紅茶飲料であれば十分に通じる不思議な飲み物だ。
アルコール度数は決して低くなく、この飲みやすさは悪用できそうな印象だった。
実際に悪用するやつらもいただろう。

件の男が乾杯とこちらにグラスを上げて見せた。
断る理由もないのと酔いも手伝って乾杯した。
あの手の手合いは相手にすればしたで面倒だし、何もしなければそれはそれで絡んでくるので面倒だということはわかっている。
そして後者になった場合大抵ろくなことにならない。
執拗に絡まれる。
あの手の手合いは相手にすればしたで面倒だし、何もしなければそれはそれで絡んでくるので面倒だということはわかっている。
そして後者になった場合大抵ろくなことにならない。
間違いなく執拗に絡まれる。

そんな心を見透かしてか男は意味がありそうで全くないであろう笑みを浮かべてこちらを一瞥した。
仮に意味があったとしてもそれに関与するつもりはなかった。
それにこの手の連中は本来相手にとって意味のないことに意味を持たせることで、自分を優位にする。詐欺師かペテン師の類だ。

まっすぐ家に帰れば良かった。
今更だが俺は少しの後悔を酒で流し込んだ。

到底普通ではない男に対して隣にいる女性は普通に接している。
それが異常なことのように思える。
異常に対して正常な対応というのはどこか壊れているのではないか。
不可解なのはそういうことなのだろう。

女子高生と真剣に付き合うおっさんもそういう意味では異常なのかもしれない。
普通には見られない。
そういう意味では俺とあの男との差は見てくれくらないものかもしれない。

「そう。人間なんて見た目以外は大差ない。ことによっては見た目だって大差ない。他の人種の見分けが付きにくいように人は以外とどんな姿でも他者から見れば差がないように見えるものだ。差をつけるとすればそれが特殊な存在になったときだよ」

俺に話しかけたのかと思って男の方を見ると女性に向かって話していただけだった。
心を見透かされたのかと思ったがそうでもないようだった。
同じ人間とは思えなかった。さっきとはまるで違うことを考えている自分に驚く。
俺とあの男では住んでいる世界も生きるというベクトルさえも違うのかもしれない。
同じ時間軸に居合わせただけかもしれない。
二度と会うことはないかもしれない。
ただ、男の持つ特有の雰囲気のせいかもしれないがきっとこの男とは再び会うことになると思った。

「さて、今日はこれで帰るとするか」
「もうですか? 私まだ飲み足りませんよ」
「きみ。麗くん。なんでも満ち足りればいいというものではないのだよ」
「でも」
「そうだね。確かにきみはここに残ればいい。きっときみに聞きたいことが山ほどあるだろうから」
「……帰ります」
「いや、きみは残りたまえ。今日はそのために来たのだから」
「そんな。先生を帰して飲むなんてできません」
「まあ、いいじゃないか。本来ここにいるべき人物が飲むロングアイランドアイスティーを飲んだわけだし。ボクの役目は終わった。では、勘定は任せたよ。あとで請求してくれたえ」

そういうと男は風のように店からいなくなった。
残された女性は所在なげにその場に座るとカウンターの中の美人に声をかけられた。

ストローで一気に中身を無くすと俺は「ウォッカアイスバーグ」とマスターに向かって言った。
男のまねでここにいるべき人物が飲むであろう酒をオーダーした。

この後俺はこの歯磨き粉のような香りのする液体と暫く格闘しその後飲む酒の大半がその香りで汚染されるという中々に酷いクリスマスイブを過ごすことになった。

JUGEMテーマ:小説/詩

| Scrap Heaven | 11:30 | comments(1) | - |
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そうきましたか!!

ニマニマしながら読みました☆
| れいら | 2012/05/14 11:25 AM |